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映画「マッドマックス 怒りのデスロード」感想(大々的にネタバレしてます)

旧シリーズは見ていません。
タイトルは聞き覚えはあるけれど、荒野を車が爆走する映画?そんな認識しかありませんでした。
この「マッドマックス 怒りのデスロード」についてもなんの予備知識も無く、巷の評判が良いようなので気になって見に行ってみた…

そしたら、今後、「好きな映画は?」と尋ねられたら、間髪入れずに「マッドマックス!」と答えられそうなくらい、とんでもない映画だったのでした。

以下、ネタバレしまくっていますので、まだこの映画を見ていない方は回れ右!です。
 
 
 
なんとなく、近未来は近未来でも、もう少し現代に近い近未来でもっと文明の痕跡がある世界でカーチェイスするお話しかと思っていたのですよね。
まさか、あそこまでの荒廃っぷりとは。

なにしろ、見渡す限り砂漠砂漠砂漠!

水が無い。
燃料が無い。
地球規模で放射能汚染が進み、植物は枯れ果て、人間の寿命は半分に。

主人公のマックス(トム・ハーディ)は元警官。
警官なんて職業が機能しているような世界には見えないんだけれども、本人がそう言っているのでそうなんでしょう。
守れなかった人たちの幻覚を抱えながら、『生き延びる』という本能にのみ支えられて砂漠を彷徨っていたところ、絶対的な支配者イモータン・ジョーの手下『ウォー・ボーイズ』に捕らえられて砦に拘束されてしまいます。

イモータン・ジョーは命綱である『水』を掌握することで、人々を支配下に置いてるんですね。

人間は物扱い。
マックスは輸血無しでは生きられない『ウォー・ボーイズ』たちの『血液袋』にされる。
その『ウォー・ボーイズ』たちは一様にスキンヘッドに白塗りの風貌で、ジョーへの忠誠心を叩き込まれほとんど洗脳状態。その様子はカルト教団のようです。
女たちは乳牛扱いされるか、ジョーの血筋を残すための道具。

そんな中、『ウォー・ボーイズ』を率いる大隊長フュリオサ(シャーリーズ・セロン)が反旗を翻します。

フュリオサはジョーが妻として囲っていた5人の女性を連れて、砦から逃走を図る。
怒り狂ったジョーは、自らウォー・ボーイズを率いてこれを追いかける。
ウォー・ボーイズの1人、ニュークス(ニコラス・ホルト)は、血液袋マックスを車に括り付けて参戦。

こうして、砂漠のカーチェイスが始まるのです。
 
 
ストーリーは極めて単純。

女たちが逃げ、ジョー&ウォー・ボーイズがこれを追いかける。
自分も逃げたいマックスは女たちに手を貸し、手柄を立てたい一心でしつこく絡んでくるニュークス。
フュリオサの生まれ故郷である『緑の地』を目指して砂漠を突っ走る一行に、次々と試練が降り掛かって〜

という、ただそれだけ。

容赦なく破壊される車。
吹っ飛ぶ人間。
だけどあんまり悲壮感がない。
洗脳状態のウォー・ボーイズが、死を恐れず突っ込んで来るからなのでしょう。
盛大なBGM付きで、ドンチャン騒ぎしているようにしか見えない。

くどくどした状況説明も無いし、マックスの心情が語られるワケでもない。

じゃぁ、この映画が中味すっからかんの、単にヒャッハーしてるだけの映画なのかって言ったら、絶対に違うのです。

まず、フュリオサの存在感がすごい。
むしろ彼女が主人公なんじゃないかというくらい他を圧倒しています。

子供の頃に盗賊に攫われて来た彼女は、生き延びるためにその手を汚して来たのでしょう。
けれど、彼女の過去については何の描写も無い。
左腕が義手なのだけれど、どうしてそうなったのかも、一切語られることは無い。

それでも、女性の身でありながらジョーお抱えの戦闘部隊ウォー・ボーイズを率いる大隊長の座に納まっているという事実や、短いセリフの端々からも、彼女の半生がいかに過酷であったかが容易に想像できます。

薄っぺらいセリフで説明する必要など無い。
超一級の戦士と思われた彼女が、故郷『緑の地』が既に無いと知って慟哭する。
その姿を見せるだけで十分です。
 
 
それから、ジョーの5人の妻たち。
どこかしら身体に不具合を抱えた者が多い中で、彼女たちは極めて健康で美しい。
見た目も性格も個性がハッキリしていて、自分の意志を持って行動しています。
没個性的な『ウォー・ボーイズ』たちとの対比が面白い。

特に際立っているのが、ジョーの一番のお気に入りのスプレンディドでしょう。
5人の中の長女的な立ち位置で、誰よりも強くジョーの元を離れることを望んでいたのが彼女ではなかったかと思います。
身重でありながら、フュリオサをサポートし、他の女の子たちを守るために積極的に動きます。
とても賢く、機転が利く。
スプレンディドの行動力の伴った強さには、マックスも一目置いていたようです。

最初は何も出来なかった他の子たちも、逃走劇の中で次第に自分の役割を見いだし、しっかりと行動するようになって行きます。
実によろしい。
自分の意志で檻から飛び出し、砂にまみれ、必要とあらば男と取っ組みあいの喧嘩も厭わない。
王子様の助けを待ってるだけのお姫様たちじゃないのですよね。
 
 
そして、忘れてはいけない、鉄馬の女たち!
どう少なめに見積もってもアラフィフ以上と思われる女性ばかりの武装集団が大型バイク乗り回しているって言うね!
しかも、戦闘能力がめったやたらと高くてね!
追っ手の男どもをガンガン返り討ちにしちゃうんだわ。

この映画の女どもは強くて逞しくて美しい!
 
 
じゃぁ、男どもはなにやってたかというと…

マックスはとにかく寡黙。
なに考えてんだか分からない。
重火器や車の扱いは上手いんだけど、正体不明。
名前さえ名乗ろうとしないし、妄想憑きだし。
ただ、なんとなく信用しても良さそうな男ではある。
少なくともジョーの配下の男どもとは違う。
最初のうちは警戒心を抱いていたフュリオサたちも、次第にマックスに信頼を寄せるようになって行きます。

マックスは徹底してフュリオサのサポートに回ります。
俺が!俺が!と前に出て来ない。
たとえば、射撃の腕前は自分よりフュリオサの方が上だと悟り、サッと銃を渡して自分は銃身がブレるのを抑えるために肩を貸すシーンがあります。
そういうことをごく自然にやってしまうマックスは、相手を男性だから女性だからという区別無く人として対等に見ているということでしょう。
そこが、すごく良い。格好いい。
それでいて、やるべきことはキッチリやってるしね。
この男を信頼しないで、いったい誰を信頼するって言うんだ。
 
 
もう1人のキーマンであるニュークス。
単にマックスを砂漠に連れ出すだけの役回りかと思ったら、ぜんぜん違ったw

ウォー・ボーイズの一員である彼は、病に身体を蝕まれていて輸血でやっと生きながらえているような状態で、死期が近いことを自分でも悟っています。
手柄を立てて華々しく散り、そうすればヴァルハラへ行ける。
そう信じている彼は、これが最後のチャンスとばかりに、血液袋マックスを愛車に括り付けてデスロードに飛び出して行きます。

ところが

フュリオサの運転するタンクに突っ込んで自爆しようと試みるも不発に終わり、文字通りマックスに引きずられるような格好でフュリオサ一行に接近したものの女たちの反撃を受けて砂漠に放り出され、再度タンクへ潜入しようとしたらコケて失敗。
自分がヘマしたせいでジョーのお気に入りのスプレンディドを死なせてしまい、その一部始終をジョーに見られたとメソメソ泣いているところを、ジョーの妻の1人ケイパブルに発見されるという、見事なまでの情けなさ (;´▽`A``

でも、このニュークスのキャラが、ストーリーの中ですごく生きているのです。

馬鹿だけど純粋でなんとなく可愛くて憎めない。母性本能くすぐられる。
心優しいケイパブルが、こんな男を放っておけるはずも無い。
ニュークスにしても、(恐らく)今まで見たことも無いような綺麗な女の子に優しく慰めてもらったりなんかしちゃったら惚れないワケが無いでしょう。

ウォー・ボーイズとして生きるのに必要な知識しか与えられて来なかったニュークスは、一般的な知識は相当怪しい(なにしろ tree が何なのか知らない)けれど、車に関してはプロフェッショナルです。

そのプロフェッショナルな技能を生かして、大好きなケイパブルを守るために頑張っちゃう。
その単純さも良いよね!

Witness me!

ウォー・ボーイズの面々は死の覚悟を決めるとそう叫びます。
字幕では「俺を見ろ!」となっていました。
本来なら「俺の死に様を見届けろ!」くらいの強い意味合いだと思うのですが、なにしろ皆さんMAXハイテンション状態で叫んでるので、そこまでの重みが感じられません。

ニュークスも2回ほどこの言葉を口にします。
序盤で自爆しようとした時と、終盤、砦の目前で。

ジョーを妄信し、ただ華々しく散ることだけしか考えていなかった時と
大切な人を守るために自分の命を使おうと覚悟を決めた時

同じ言葉だけれど重みはまるで違う。

最後のあのシーンでは、お馬鹿で無邪気なニュークスが最高に男らしく見えました。

ニコラス・ホルトは、この愛すべきニュークスというキャラクターを実に魅力的に演じていたと思います。
 
 
『いつか故郷に帰る』ということだけを支えに、今まで生き抜いて来たであろうフュリオサ。
その故郷がもう無いと知り打ちのめされますが、それでも彼女は立ち上がる強さを持っていました。

ところが、新天地を求めて更に東へ進もうとする彼女に、マックスが釘を刺します。
希望を持つのは良い。
けれど、根拠の無い希望は、それが叶えられなかった時に狂気を生むだけ。
狂気を抱えているマックスだからこそ分かるのでしょうね。

どうせなら、多少無茶でも少しでも実現可能な希望の方に賭けてみたらどうよ?

ということで、だいぶ無茶ですが砦に戻ることに決めた女たち。

それぞれに覚悟を決めて、自分の意志で、自分の進むべき道を行く女たち。
強い。かっこいい。
そして、その女たちを支えるマックスとニュークスもかっこいい。
 
 
ジョーを打ち倒し自分の過去にケリを付けたフュリオサは、救世主として砦に迎え入れられます。
これまでの行いを償うためにも、彼女はこの砦を新しい自分の故郷として守って行くことでしょう。
鉄馬の女のおばあちゃんが大事に持っていた植物の種も持ち帰ったので、この地が『緑の地』になるのもそう遠くない未来かもしれません。
生きるために誰かのものを奪わなくても良い、そんな楽園に。
 
 
楽園とは無縁のマックスは、ひっそりと砦を去って行きます。
べたべたとしたお別れのシーンは無い。
並の映画だったら、マックスとフュリオサが良い感じになって、2人で砦で暮らすことになってめでたしめでたしなんだけど、そうはならない。そこが良い。
  
  
ごく単純に、ド派手カーアクションの娯楽超大作としてヒャッハー\(;゚∇゚)/するもよし。
とにかく、息をつく暇もないほど、派手にドカドカバカスカ暴れまくりのぶっ壊しまくりですから。

セリフでは語られない、映像の端々から伝わって来るメッセージを汲み取りながらジックリ見るもよし。

老若男女、誰が、どういう見方をしても楽しめる。
見ると、なんか勇気が湧いて来る気がする。
そして、また見たくなる。
そんな中毒性のある映画です。

砂まみれの荒れ放題の世界なのに、何故かまたあの世界にダイヴしたくなる。
きっと、そんな荒廃した世界で、したたかに逞しく前を向いて生きている彼らの姿に、心が揺さぶられるのでしょう。

どんな場所にも希望はある。
そして、その希望は自分自身の手で摑み取るものなのだ。

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