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ドラマ「流星ワゴン」第9話 感想

どうしてだろう?
原作を読んだ時は(細かいところは忘れているけど)泣きながら読んだ記憶があるんだけれど、このドラマではほろりとも泣けない。
 
 
自分が死ぬのだと悟ったカズ(西島秀俊)は、ワガママ言って最後のポイントへ。
強く願えば行けますよ!って、もー、なんでもアリだな。

前回はチュウさん(香川照之)のやり方を真似て丸く収めたけれど、それは本当の自分ではない。
今度こそ、自分らしいやり方で妻と息子に気持ちを伝えたい、と、カズが向かった先はヒロくんの受験前日。

相も変わらず、夫に興味がなくなっちゃってる妻と、いじめに怯えてストレス溜めまくってる息子。

自分なりのやり方で、妻と息子に想いのたけを語るカズ。

息子には…届いたみたい。たぶん。
現実のヒロくんがこの夜のことを覚えていなかったとしても、きっと心の何処かに残っているという根拠レスな自信。

無理だろ。
ここに居るヒロくんとバット振り回して暴れているヒロくんとは、まったく別次元の別の存在なんだから。

だって、これまでいくつかのポイントでやり直しを実行して来たけれど、何も反映されてないじゃないか。
それはつまり、それぞれが連続していないまったく別の存在ってことでしょ?
心は何処かで繋がっているとでも言いたいのだろうか。
ファンタジーだからなんでもアリなのか?ファンタジーなめんな。
 
 
妻の美代子さん(井川遥)の方は…
2人で思い出の神社にヒロくんの合格祈願に来たものの、美代子さんは上の空。
そんな美代子さんに洗いざらいぶちまけるカズ。

…あの、もう少し、何か言いようは無いんですか?

ワゴン車の話しとかしなくても、上手に分かりやすく伝えることは出来るんじゃないのか?
そんな話し、信じられるワケないだろー。
もー、聞いててイライラして来たわ。
傍観者の私がイラつくんだから、当事者の美代子さんがキレるのも無理はない。

美代子さんはチュウさんの渾身のお願いを聞き入れて、溜め込んでいた想いをカズに洗いざらいぶちまける。

うん。
たぶん、ものすごく反感買ったよね。

男性からしたら、
それほど大事にされて尽くしてもらっておきながら、勝手に借金作ったあげく妻の方から三行半突きつけるたぁ、なんだそりゃ。やってらんねぇ!
でしょうし

女性からしても、
なに贅沢言ってんのよ、このワガママ女!
でしょう。

でもね、なんかね、私は美代子さんの言わんとするところが、とってもよく分かっちゃったんだわ。
おそらく共感してくれる人は少ないだろうけど。

父親への反発心から、良き夫、良き父であろうと頑張り続けたカズだけれど、それは独りよがり。美代子さん曰く自己満足。
きっと、無意識のうちに美代子さんにも良き妻良き母を押し付けていたんだと思う。

例に出したのが食洗機だからちょっと分かりづらいけど、家事は美代子さんにとっては自分の存在意義なワケ。
それを、もうしなくていいよ、って言われたら

私の存在意義って何?ってなる。

せめて買う前に『食洗機買おうと思うんだけど、どう?』って聞いてくれたら、『そんなの自分でやるから要らない』って言えるのにね。

一事が万事、全部その調子だったんでしょう。
たまたま例に出したのが食洗機だっただけで。
 
 
それに、
キミはただ笑ってくれてればいいんだよ、って言われたら

私はお人形じゃないわよ!ってなるよ。

的外れの優しさは、時に人を苦しめる。
相手の優しさを疎ましく思う自分を責めもするし、それが相手の善意から来ていると分かっているから文句も言えない。
自己嫌悪と相手への不快感が澱のように溜まって行く。

相手の笑顔を見ると、自分の醜さを思い知らされる。だから見たくないんだよね。

そんな状況が長く続くのは、とても、苦しい。
 
 
家族はただ一緒にニコニコ笑っていれば良いってもんじゃないし。
一緒に心配したり悩んだりして、協力して問題を解決して、そうやって絆を強めて行くものでしょ。

だけど、この夫婦はカズが1人で全部やって来ちゃった。

カズに愛されていることも、大切にされていることも、自分がワガママで贅沢だってことも、美代子さんは百も承知で、それでもどうしようもなくて、カズを責め、自分を責め続けたあげく、逃げ出したくなっちゃったんだよね。
脚本がアレだから伝わりにくいけど、井川遥さんは美代子さんの苦しい胸の内を精一杯表現していたと思うよ。
 
 
ただ、カズが一方的に悪いのではなくて、こんなに感情をこじらせる前に、きちんと『自分はこうしたい』ってカズに訴えなかった美代子さんも悪い。
まぁ、『ちゃんと説明して!』って美代子さんが何度も言ってるのに、『キミは心配しなくていい』って説明してなかったけどな。
それでも、カズは言っても耳を貸さないような人ではないから、美代子さんが根気よく話せば分かってくれたと思うんだがなぁ。

その証拠に、ちゃんと向き合えば、『この人と、やり直してもいい』って思えるようになったみたいじゃん?

サザンの曲がしっくり来なくて雰囲気ぶち壊しだったけど。
 
 
すっかり『やり切った感』のカズがワゴン車に戻ると、チュウさんが居ない。

時間切れです by 橋本さん

えーーーっ!?
時間経過とか、どうなっちゃってるんでしょうか?
ワゴンの旅で経過したのと同じ分だけ現実世界でも時間が流れてるってこと?
っていうか、あの夜、あのバスターミナルでカズが凍死したのなら、チュウさんの方が後から死ぬんじゃないの?
カズ、まだワゴン車に乗ってるよ?
それとも、もう既にカズは死んでて、成仏するかこの世に留まるかの瀬戸際でフワフワしててる状態???
ここに来て急にカズやチュウさんがふいに消えてこの世ならざるもの的な演出したりなんかして、なんかもうワケ分かんないんですが、次回、最終回です。

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