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ドラマ「流星ワゴン」最終話 感想

ワゴン車で行くやり直しの旅も、いよいよクライマックス。

チュウさん(香川照之)は死んだのではなく、生き霊さえ送り出せないほど重篤な状況に陥っているようで。
生き霊を飛ばすにもエネルギーが必要らしい。

あのオヤジがそう簡単にくたばるワケない!っつーことで、カズ(西島秀俊)橋本さん(吉岡秀隆)に無茶を言ってチュウさん(生き霊)が居ると思われる福山へ。
気合いでなんとかするのがこのドラマ。
ちゃんと、ピンポイントで行きたい場所に辿り着いてしまうのである。

思ったとおり、チュウさんは福山の自宅に居て、カズにお好み焼きの作り方を伝授したりなんかして。
それもチュウさんがやり残したことの1つだったんでしょうね。

秘伝の継承が済むと、カズとチュウさんは海辺でワゴン車の旅を振り返る。

あぁ、そうだ。
チュウさんがカズと同い年の姿で現れたのは、カズが成長するたびに同じくらいの齢だった頃の自分と重ね合わせていたからなんじゃないかと、チュウさんが自己分析してました。
なるほど、そういうカラクリか。

やりたい放題大暴れしていただけのように見えたチュウさんも、この旅を通して気付いたことがあったらしい。

カズに強くなって欲しかった。
そのために厳しくした。
でも、それは独りよがりだった。

父親への反発心から、父親とは真逆のことをやろうして家庭を崩壊させてしまったカズに対して、チュウさんは責任を感じているようです。
(チュウさんのせいばっかりではないと思うがな)

こんなセリフ、忠雄だったら口が裂けても言えなかったはず。
朋輩のチュウさんだからこそ、素直に言えたのだろうね。
 
 
でもって、なんだかんだ全部チュウさんが喋っちゃうんだよなぁ。

過去は変えられなかったけれど、お前自身は変わった!

そこは、カズ自身が気付かないとダメだろ。
チュウさんに言わせるんではなく。

カズは自分が死ぬことを受け入れちゃってるじゃん。
最低最悪の現実でも生きていたいか?と健太くんに問われ、カズは答えられなかったじゃん。
チュウさんに激励されて、ようやく『生きたい』と表明したじゃん。
ダメじゃん。

そもそも、やり直し旅でカズが必死に頑張ってるようには見えなかったのだよね、私には。

チュウさんに振り回されているようにしか見えなかった。
だから、『お前は必死に頑張った』ってチュウさんが熱く語ってても、はぁ ( ゚д゚)?って感じで感動どころの騒ぎではなかった。
本当なら、ここはすごく良いシーンになるはずなのに。
 
 
やり残したことをやって、言いたいこと言って、概ね満足したらしい生き霊のチュウさんは消えて行きました。
 
そして、とうとうカズがワゴン車を降りる時が。

カズが死ぬって言うのは、橋本さん親子の嘘だったんですね。

橋本さん親子の役目は、絶望し、大きな後悔を抱いて死にかけている人の元へ行き、自分の人生を振り返る旅に連れて行くこと。

ワゴン車に乗せた人が必ずしも死ぬ運命にあるというワケではなくて、大きな後悔を抱いているってところがポイントのようだ。
『死にかけている』というよりは、『死』について考えているというのが正解だろう。

後悔を抱えたままで死ぬと幽霊になっちゃうから、そうならないようにワゴン車で人生のターニングポイント巡りをして、後悔を無くしてもらう。

旅を終えた時、死ぬのを思い止まる人も居るが、死を選んでしまう人も居る。
なにしろ、過酷な現実は何一つ変わってないからね。

橋本さん親子としては、短い間とはいえ一緒に旅して回った人だから生きて欲しいと願うのはごく自然な感情だろう。

ことに、カズとチュウさんは橋本さん親子にとっても特別な乗客だったんでしょう。
本人のみならず、その父親の生き霊まで乗り込んで来ちゃうなんてことは、きっとかなりイレギュラーな事態だったはす。
おまけに、橋本さん親子の絆を深めるのに一役買った恩人でもあるから、(チュウさんはともかく)カズには生きて欲しかった。

だから、カズには最低最悪の現実でも生き抜いてみせる!って意志を見せたうえで、ワゴン車を降りて欲しかったんですね。
 
 
カズが気がつくと、そこはいつもの駅のロータリー。
ワゴン車に乗り込んだ時と、何も状況は変わっていない。
携帯には父の危篤を知らせる妹からの着信。
荒れ果てた家に戻れば、妻の姿は無く、息子が部屋に引きこもっている。

やり直し旅に出る前のカズだったら息子に声をかけることすら出来なかっただろうに、毅然とした態度で支度をするように言い、父に会わせるために一緒に福山に向かう。

カズは夢を見ていたと思っているようだけれど、確かにカズ自身は変わったよね。
 
 
もう意識は戻らないと言われた忠雄は、カズが来るのを待っていたかのように意識を取り戻す。

さすがはワシの朋輩じゃ。

その一言で、父も同じ夢を見ていたのだと気付くカズ。

現実では何一つ父親の望みを叶えてあげられなかったけれど、あのワゴン車の旅でチュウさんとしてちゃんと望みを叶えられていたのが救いだな。
チュウさんにとっても、カズにとっても。

それで満足して大人しく成仏すれば良いものを…
カズのことが心配で心配で、半年間も自宅近辺をウロついていたらしい。
生き霊改め浮遊霊かよ ┐(´д`)┌
あの様子では、当分、成仏する気ねぇな。
 
 
しかしねぇ…

この男が(それこそ、バック・トゥ・ザ・フューチャーばりの)大活躍をして、素敵な未来を勝ち取ったりしたら、ごくごく普通のファンタジーだっただろう。
それはそれで面白いかもしれないが…

と、ワタクシ、かれこれ10年ほど前に原作を読んだ時の感想に書いていたんですね。

どんなに足掻こうと現実を変えることは出来なかったけれど、前途多難とはいえ、たとえ最悪の状況でも生き抜いて行けるようにカズ自身は変わったかも…

原作はそう匂わせるだけの曖昧な終わり方をしていて、そこが良いと思ってた。
その後のカズ一家がどうなったかなんて、どうでも良いと思ってた。
むしろ、そんなのは余計なお世話で、全部描いてしまったら興ざめだ、と。
そして、私はカズにエールを送りながら感動のままに文庫本を閉じたのだ。

ところが、その後のカズ一家の様子を逐一披露して幕を下ろした、このドラマ。
案の定、要らんかったよ、あの半年後は。

しかしまぁ、お茶の間(死語)は、こういう明確なハッピーエンドを好むものなのかもしれない。

けっきょく、最後まで私は感動できなかったが。
 
 

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