映画「ホビット 決戦のゆくえ」 感想
「竜に奪われた王国」でとんでもない所で放置されてから約9ヶ月。
ついに、物語が完結する時がやってまいりました。
楽しみにしていた反面、これで終わってしまうのかと思うと寂しさもあり、複雑な気持ちで映画館に足を運びました。
いざ、始まってみると全編クライマックスと言っても過言ではないくらい見どころ連発で、全く長さを感じないくらい面白かったです
が、正直なところ、悪く言えばとっ散らかったような印象…なのです。はい。
では、決定的なネタバレはしない方針で感想(というか思いついたことダラダラと書いてるだけ)行ってみます。
物語はスマウグによって焼き尽くされる湖の街からスタート。
バルドお父ちゃんがひたすらカッコいい。
あと、長男も!頑張った!
スマウグを討ち取った英雄であり、その後の避難を先導したりもして、バルドはすっかり街のリーダーに。
なんとなく自然とそういうポジションに収まってしまう人物というのは、現実にも居るものですよね。
本人にその気は無いようですが、ふと気付けば人間チーム代表バルド!みたいな立ち位置になっていました。
開始早々にスマウグが退場してしまって、この後何やるのかと思ったら、ここから先が長かった。
鼻血見てぶち切れてオークを追いかけて行ったはずのレゴラスは、当たり前のようにして湖の街に戻って来てバルドと普通に話ししていましたが、この2人、お知り合いだったんでしょうか?
バルドは闇の森のエルフ相手に商売していたみたいだから、面識があっても不思議は無いですが…
「竜に奪われた王国」でちょろっとでもバルドとレゴラスの繋がりが分かるシーンがあったら、もっと自然だったのになぁと思いました。
ただでさえ目立つレゴラスに八面六臂の活躍をされたのでは他の人たちの立つ瀬が無いなぁと危惧(私はレゴラスが大好きなんですけどね!)しておりましたが、割と控えめだったのは好印象。
(最初の方でちらっと顔を見せてから、しばらく出て来なくて、レゴラスはぁ?と思いながら見ていたのはナイショ)
それでも見せ場はちゃんとありました。
「竜に奪われた王国」からのボルグとの因縁もちゃんと決着付けたし、八艘飛びどころではない空中瓦礫渡りやってくれてましたし、あの矢筒が決して無尽蔵に矢が沸き出す魔法の矢筒ではないってことも分かったし(^-^;
剣を失ったトーリンに自分が使っている剣(元はと言えばトーリンから取り上げたオルクリストよね、それ)を投げて寄越したところなんかは、レゴラス、なんだ、良いヤツじゃん!と思えるシーンだったし、レゴラス万歳ヽ(´▽`)/ちょっと何を言っているのか分かりません。
スランドゥイル眉毛王も息子に負けじと無双っぷりを披露してくれました。
うん。あんなに立派に戦えるなんて夢にも思ってなかったですよ。
反抗期の息子(アンタ齢いくつだ?)を抱える父親の苦悩とかは必要だったのかどうかは分かりませんが。
立派に戦えると言えば
捕われのガンダルフを助けに向かったのは、中つ国最強の御三方。
エルロンド卿、サルマン、ガラドリエル様。
特にガラドリエル様(1人だけホラー)のお強いことお強いこと。
あっ、中つ国の魔法使いは魔法使わないんですね!
普通、RPGなんかだと杖は魔力を高めるために持つもので、物理攻撃力は期待してはいけないものですが、あの魔法使いたちは杖でガンガン殴り倒してましたからね!
憔悴しきっているガンダルフと、サウロンを抑えるために力を使い果たしてしまったガラドリエル様をエルロンド卿に預け、サウロンの始末はサルマンが引き受けていました。
なるほど、ここから指輪物語のサルマンへと繋がるわけですか。
そこかしこに指輪物語に繋がる伏線が散らばっていて、指輪物語を既に見ている(読んでいる)人にとってはそれを見つけるのも楽しみの1つでしょう。
さて、肝心のトーリンとその仲間たちですよ。
「竜に奪われた王国」では影が薄くてウッカリ見落としそうになっていたトーリンに、ようやくスポットライトが当たって良かったです。
黄金に取り憑かれた様子とか、そこから立ち直っていく過程などは、もう少し突っ込んで欲しかった気もしますが。
登場人物が多いから仕方ないとはいえ、全般的に13人のドワーフたちの扱いが軽い気がします。
トーリンとフィーリ&キーリのイケメン血族は別格として、後はバーリンとドワーリンくらいしか目立った活躍が見られない…(u_u)
見た目の個性は強烈なんで、なんとなく存在は認識できているけれど、どうも有象無象感が拭えない。
常軌を逸してしまっているトーリンに忠実なドワーフさん一行にも、ちょっとイラッと来ました。
トーリンの異変を、ただオロオロと遠巻きに見ているだけのように見えてしまって。
バーリン(私この人大好きなんですが)あたりが、もうちょっとビシッと諌めてくれたら…
一応、それっぽいこと言ってるシーンはあるんだけど。
ビルボが仲間にいて良かったですよ、マジで。
旅の仲間としての信頼関係は確立しているけれど、やっぱり1人だけホビット族なので少し距離感があり、そのおかげで事態を冷静に客観視できるし、同族ならではのしがらみも無いので思った通りに行動できる。
ビルボはアーケン石を拾っていたんですね。
「竜に奪われた王国」を見た限りでは、拾ったのかどうか確認できなかったから。
様子のおかしいトーリンにアーケン石を渡すことを躊躇し、それを持ってバルド&スランドゥイルの元へ走るビルボ。
(闇の森の館に忍び込んだこと、スランドゥイルにバレてた!やっぱり!)
こういう機転の利くところって、ホビットの特性なのか、ビルボ個人の気質なのか…
たぶん前者なのでしょう。
身体は小さくて戦闘には不向きだけれど、いちばん大事な所でいちばん良い働きをするのはいつもホビットですよね。
ビルボはアーケン石をバルドたちに託したら、すぐにエレボールに引き返します。
アーケン石を隠し持っていたこと、それを他の人に渡してしまったことがバレたら、正気とは思えないトーリンに何されるか分からないのに。
この行動からも、ビルボがトーリンたちを本当に大事に思っていることが明らか。
案の定、エレボールから放り出されるんですがね。
トーリンの身に起きている異変やら、トーリンたちとビルボの友情やら、本来メインであるはずのこっちの要素に時間を割いて欲しかったなぁ。
そしたら、トーリンや旅の仲間たちとの別れのシーンでもっと感動できたはず。
絵面的には地味ですがね(;´▽`A``
戦闘シーンはもう素晴らしい出来で、こっちをメインにしたくなる気持ちも分かりますが!
襲いかかるオーク軍をドワーフ軍とエルフ軍の連携技で迎え撃つシーンなんて鳥肌ものでしたわ。
(オマエら、いつそんな打ち合わせしたんだよ!w)
そんな中、どうしても気になったのがタウリエルの存在であります。
原作に無いキャラを投入するのは別にいいんです。
登場させることに何らかの意味があるのなら。
「竜に奪われた王国」ではそれなりに存在意義がありそうに見えたタウリエルだったのですが、今作ではどうも持て余し気味のように感じました。
タウリエルはレゴラスを闇の森から引っぱり出すために必要なキャラだったのでしょう。
だとしたら「竜に奪われた王国」で、その役目を終えているはず。
ホントに女っ気の無いお話しなので、ちょっとくらいラブロマンス的なものがあっても悪くないです。
ドワーフ一行の中でひときわイケメンのキーリと絡ませるのも、納得がいきます。
だから、もう少しなんとかならなかったのかなぁって。
異種族だからってことで戸惑っているタウリエルの苦悩とかさ、そんなことおかまい無しに押せ押せのキーリとかさ、もっと見たかったわけ。
そしたら、北の砦でお互いを探して名前を呼び合ってるシーンとかで、もっと盛り上がったと思うんですよ。
残念。
冒頭で『とっ散らかったような印象』と書いたのは、どのエピソードもなんとなく物足りない…と感じたからなのであります。
全般的には、とても満足しているんですけどね。
「思いがけない冒険」から2年。
無事にホビット庄に帰り着いたビルボの姿を見ていたら、本当に長い旅を終えて故郷に戻って来たような気持ちになりました。
そして、がらーんとしたビルボの家に入ると、否応なく思い出されるワケですよ。
ドワーフたちが次々とこの家に押し掛けて来た夜のことを。
もう居ない人たちのことを。
無事に帰り着いた安堵感と同時に、どっと押し寄せて来る寂しさ。
長い旅の終わりと、中つ国で繰り広げられる物語はスクリーンでは見納めだってこと。
「ロード オブ ザ リング」「ホビット」という壮大な物語を素晴らしいクオリティで映像化してくれて、本当にありがとう。
最後の最後で、スランドゥイルがレゴラスにアラルソンの息子を捜すように言ってたけど
なにそれスピンオフへの布石?! ∑(゚∇゚|||)
60年前だと、アラゴルンは何歳なのかしら?
レゴラスが会いに行くの?
それ見たい。無理だろうけど見たい!
指輪を葬る旅に同行する以前からアラゴルンとレゴラスが仲良しだった前提で、「ロード オブ ザ リング」を見直すわ。
この物語は、ビルボの111歳の誕生日にガンダルフが訪ねて来るシーンで幕を下ろします。
そう、「ロード オブ ザ リング」の冒頭のあのシーンですね。
ビルボが持ち帰り、ずっと隠し持っていた指輪(ガンダルフ、ぜったい気付いてるよね?ビルボと別れる時、目が笑ってなかったもんね?)を巡る物語へと繋がっている…
やっぱり、「ロード オブ ザ リング」を見直さないと!
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