映画「るろうに剣心 伝説の最期編」感想 その2(容赦なくネタバレ)
「京都大火編」のおさらいは、こちらの記事をどうぞ。
映画「るろうに剣心 京都大火編」感想
よろしかったら、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」感想 その1もどうぞ。
警官隊を引き連れ煉獄に乗り込んだ剣心(佐藤健)は、手下どもを派手に蹴散らしながら突き進み、志々雄(藤原竜也)との圧巻の直接対決へとなだれ込みます。
全身の皮膚を焼かれている志々雄は発汗による体温調節が出来ず、激しい運動は15分が限度。
実際に15分間立ち回っていたのかどうかは分かりませんが、相当長いこと戦っていました。
志々雄ちゃんが剣心と戦うのを楽しみにしていたのに、次から次へと余計なのが出て来て…
誰だ、オマエ???
思わず、ぶふっと吹き出してしまいましたの。
苦戦している剣心と志々雄の間に華麗に回転切り決めて飛び込んで来た蒼紫さま(伊勢谷友介)に向かって、志々雄がポロッと口走った…
ええ。確かに志々雄にしてみたら、そう言いたくもなるでしょう。
(また、藤原くんの言い方が…思い出しただけでも笑える)
左之助にも「おめぇ、誰だよ?!」って言ってるんですけど、それ以上に笑えました。
左之助はあのキャラだし、それが血まみれでとんでもない所から転がり出て来てるから別にそういう扱いでも良いけど。
でも、蒼紫さまは…せっかくのイケメンが台無しw
その後「オマエを斬るのはこの俺だ」的なこと言って格好つけてるのに、誰も聞いてねーしな (^-^;
っていうか4対1は卑怯でしょー (`ε´)
だんだん志々雄が気の毒に思えて来ました。
だってさー、15分のタイムリミット付きで、その間にも体温は上昇し続けてるワケでしょ?
それだけでもハンデ背負ってるのに、数のうえでも不利。
刀から炎が吹き出すありえねー技使ってもいいよ、許す。
まぁ、それでもぜんぜん負けてないどころか、次々に余計なヤツらをぶっ倒して行く志々雄ちゃんなのですが。
いわゆる時代劇における『殺陣』というと、正義の味方がバッサッサと悪人を斬り捨てて行く痛快なイメージなのですが、この「るろうに剣心」における『殺陣』はちょっと違います。
ぶん殴ったり、蹴り入れたり、体当たりかましたり、スマートじゃない。泥臭い。
この良い意味での泥臭さが、リアリティを生んでいるのではないかと思います。
超人的なスピードで走り回ったり、派手なアクションや必殺技をさりげなく挟み込んだり、刀から炎が吹き出したりしても、ギリギリのリアリティを保っている。
しかも格好いい。
この「るろうに剣心」における『殺陣』は、これまでの剣戟アクションとは一線を画し、今後のこの手の映像作りに影響を及ぼしかねない、素晴らしい出来でしょう。
アクション監督さんと、それを実現させた俳優さんたちに、ひたすら敬服するばかりです。
余計なのをぶっ飛ばし、やっぱり最後は剣心と志々雄の一騎打ちに。
「俺が無限刃を手にしている限りは終わらない」
「俺が逆刃刀を手にした時に終わっているんだ」
人斬りの時代が剣心が逆刃刀に持ち替えた時に終わっていたのなら、その後を引き継いだ志々雄の立場はどうなるのよっ!
そりゃねぇだろ、センパイ…( ゚д゚) ですよ。
このあたり、剣心の気迫がハンパなくて圧倒されつつも、一方でどんどん志々雄の方に感情移入してしまって、最後には泣けて来てしまいました。
戦える時間が15分と聞かされた時「充分だな」と笑っていた志々雄ちゃん。
(包帯で表情見えてないけど笑ってるの分かった)
どこかで死を覚悟していたのかな。
どうせ死ぬなら、剣心と戦って死にたかったのかな。
剣心たちと思う存分暴れ回って、文字通り燃え尽きて、満足だったのかな。
いや、満足してねぇだろ。
志々雄の最期を見届け、剣心たちは煉獄から脱出します。
砂浜では警官たちが敬礼をもって迎えます。
志々雄に言われるままに剣心を処刑しようとしたり、剣心たちが乗り込んでいるのに平然と煉獄に大砲ぶっ放したりして終始下司っぷりを晒していた伊藤博文さんですが…
まぁ、政府を仕切るからには、これくらい狡猾でないと務まらないのかもしれん。
サムライの時代は終わっても、サムライの心は無くしていない。
そう思いたいですよ。
そういや、剣心は「おろ?」って1回も言いませんでしたね。
そんなこと言ってる余裕はどこにも無かったけど。
自分のことを「拙者」ではなく「俺」って言ってたし、「ござるよ」も封印。
志々雄に向かって「人斬りの時代は終わった」って言い切っているのに、本人がいつまでもサムライ言葉使っていたら矛盾してしまいますよねぇ。
「京都大火編」では普通に使っていたので、おそらく奥義を会得したあたりで、剣心の中で何かが変わったのでしょう。
その心の変化が、言葉遣いのちょっとした違いに現れていたのかな、と思います。
戦いを終えた剣心は、また神谷道場の居候に戻り、この国の行く末を見守っていくことにしたようです。
剣心の望む『皆が等しく笑って暮らせる世』に至るまで、この国はまだしばらく迷走することになるのですけど。
それはともかくとしても、剣心は新しい時代に自分の居場所を見つけられたようなので、ワタクシとしてはほっと一安心ですわ。
っつーか、最後のあのセリフ、あれ要る?要る?
原作の志々雄がどういうキャラなのかは分からないけれど、この志々雄は狂気の殺戮マシーンなどではなく、実に人間味のあるキャラに感じられました。
ビジュアル面の強烈さだけでなく、その存在そのものが放つオーラ。周りを圧倒する存在感。
この志々雄にはそれがありました。
藤原くんの力量のなせる技でしょうねぇ。
本人曰く「地獄の底から響き渡るような声」と言っていたけど、そのとおりだったし。
血走った目に狂気を滲ませているにも関わらず、人間くさくてどうも憎みきれない。
前作の観柳みたいな振り切った悪役も悪くないですが、今作の志々雄のような思わずそっちに感情移入してしまうような悪役は見ていて面白い。
演じているのが藤原竜也でなかったら、これほど魅力的な志々雄にはならなかったのではないか、と。
もちろん、剣心を演じた佐藤健も素晴らしかったです。
比類無き剣客としての強さと、心優しくナイーブな一面を併せ持つ剣心を見事に演じ切っておられた。
この先、また「るろうに剣心」が映像化されることになっても、もはや剣心=佐藤健以外に考えられません。
大友監督は「龍馬伝」の以蔵が処刑されることなく生き残っていたら、こうなっていたかもしれない…というコンセプトで「るろうに剣心」の緋村剣心を作ったと、どこかで読んだ気がするので両者が繋がっているのは間違いなさそうだけれど、やっぱり以蔵と剣心はぜんぜん違います。
尊敬する武市先生に褒めてもらいたい一心で人斬りを続ける以蔵。
根が優しい子なので自分のしていることに疑問を抱きながらも、彼は最期まで武市への忠誠を貫き通しました。
難しいことを考えるのが苦手で、純粋であるが故に妄信してしまっている以蔵は、ふわふわと子供っぽい印象でした。
一方の剣心は、自分の意志で暗殺を請け負い、自分の意志でそれをやめ、世の中を広く見据えながら自分の進むべき道を模索しています。
自分という軸をしっかりと持った一人前の男です。
似ているようでまったく違う2人の『人斬り』を、健くんはきっちり演じ分けていたと思います。
いやぁ、佐藤健、すげぇよ!
健くんも「剣心が終わってしまって寂しい」って言っていたみたいですが、私もこの剣心がもう見れないのかと思うと寂しいです。
完結とか言わずに、もっと作って下さいよ。
原作、まだ映像化されてない部分が残ってるんじゃないの?
健くんがこのアクションをこなせているうちに、早うw
とにかくひたすら男どもが格好いいです。
こんなに贅沢なキャスティング、滅多に拝めるものではないでしょう。
また俳優陣もその期待に立派に応えていますしね。
ストーリー的には(原作を好きであればあるほど)物足りなく感じる部分もあるかもしれませんが、実写版・緋村剣心の物語としては上手くまとまっていたと思います。
動体視力の貧弱なワタクシはあまりのスピードで展開される立ち回りに付いて行けてなかったので、見落としている所も絶対あるはず。
とっておきの奥義、天翔龍閃も一瞬だったからよく分からなかったし。
(そこ見てなきゃダメじゃん)
というわけで、もう1回見に行きたいですわ。
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