ドラマ「家族狩り」 最終話 感想
10回に渡ってお送りしましたドラマ「家族狩り」の最終回でございます。
芳沢家に集合した芳沢家の皆様、殺人鬼夫妻の大野(藤本隆宏)と山賀葉子(財前直見)、囚われの氷崎游子(松雪泰子)と巣藤浚介(伊藤敦史)
粛々と儀式を執り行おうとする大野&山賀ですが、游子と浚介が寄ってたかって邪魔をします。
両親が傷付けられるのを目の当たりにし、耐えきれなくなった亜衣(中村ゆりか)は、両親が死ぬのを見届けて自分も死ぬと言い出しました。
生きていると、どんどん醜くなっていくばかり。
だから死にたい…
大野&山賀にしてみれば、まさに筋書き通りのセリフを亜衣から引き出したワケで、実に満足げ。
しかし、何故か簡単に外れてしまう浚介の猿ぐつわ。
(游子のも外れているから締め方が緩いのかと思えば、芳沢家の方々のは外れないのである)
君が死んだら僕はつらいよ。
だから死んじゃダメだーーーっ!
それ、アンタの問題よね?
と、私が心の中でツッコミ入れたら、そのまんまのセリフを大野さんがおっしゃる。
それは君の問題だ
うん (゚ー゚) (。_。)
素直に頷いてしまいましたw
「死にたい」と思った時に、「自分が死んだら悲しんでくれる人が居るんだ…」本人がそう思って死ぬのを思い止まるのならばいい。
けど「僕がつらいから死んじゃダメ」って言っちゃったら、なんか違う。
その違いを論理的に説明できない自分がもどかしい。
えーと
「僕がつらいから死んじゃダメ」っていうのは、あくまで巣藤浚介目線なんだよな。
それを聞いて亜衣がどう受け止めるかは、それまでの2人の関係次第だと思う。
浚介と亜衣の場合は、メールのやり取りでかろうじて信頼関係ができていたから亜衣の心を動かしたけれど、そうでなければ「は?関係ねぇよ」でおしまいでしょう。
生きてなきゃダメなんだよ。
生きていれば良いことあるから!
…という浚介のセリフもね、ダメダメだ。
渾身の一言だったのだろうけれど、ちっとも心に響かない。
おかしいな。
勇治くんとレーズンパン食べながら裏DVD見たり、メールのやり取りしたりしてるシーンでは涙ぐみさえしたのにな。
言葉にしなければ伝わらない想いもあるのかもしれないけれど、言葉にした途端に嘘くさくなる場合もある。
そういうことか。
浚介の批判は一切受け入れず、浚介と游子の説得で亜衣の心が揺れ動いている可能性も無視して、大野は父親を手に掛けようとします。
と、そこに飛び込んで来る馬見原(遠藤憲一)と椎村くん(平岡祐太)
浚介は馬見原に連絡入れていたのね。
先週、通報してねぇとか言ってゴメンナサイ。
(だって、そのシーン無かったんだもの)
途中までケートクの車で来て、ガス欠だかなんだかで車が動かなくなったんで、車を降りて浚介1人で走って来たらしいです。
馬見原と椎村はケータイ電波のトラップに引っ掛かって千葉だか埼玉まで行っていたから、到着がこんなに遅くなったのでしょう。
だったら、応援のパトカー寄越せよ
ってハナシですが。
さすがに刑事2人の邪魔が入っては儀式の続行は不可能と悟り、火を放って逃走を図る大野&山賀。
思わず、発砲する馬見原。
確かに2人に命中したはずなのに、まんまと逃げられてしまう。
だから、応援を要請しておけ、と。
電話一本入れておけば、馬見原たちより先に最寄りの警察署から警官が駆けつけていただろうに。
大野&山賀は富士の樹海に車を残し、姿を消してしまいました。
予想外に早々と『儀式』は中断されてしまい、その後は投げっぱなしの伏線回収モードに突入。
明かされる大野&山賀の過去。
教育相談所の相談課長だった大野。
保育士だった山賀。
夫婦だった2人は自分たちの息子を放ったらかして他の家庭の相談事に掛かり切りになり、やがて息子は暴れ始めた。
生きてるのいやだよ。
このままじゃ、本当に誰かを殺してしまうかもしれない。
助けてよ。
そう言って涙を流す息子を、大野は刺し殺してしまう…
生きているのはいやだと泣く子供を殺してどうする。
殺してくれって言ってたっけ?
言ってないよね?
助けてって言ってたよね?
死=救済
と考えてしまっているところが、この大野&山賀の大間違いの元凶でしょう。
そんなだから「送って差し上げる」なんて言葉が出て来る。
息子を殺したことも『救済』だった思い込むことで、自分たちが楽になろうとしているのではないかとすら思えてしまいます。
自分たちは自分の手で息子を殺さなければならなかった。
それがどれだけ苦しいことかは身をもって知っている。
だから、他のご家庭ではご両親が手を下さなくて済むよう、私たちがお子様を送って差し上げる。
子供を失った悲しみを味わうことのないよう、ご両親もちゃんと送って差し上げる。
2人が『葬送』を繰り返す理屈はそんなところでしょう。
ここで原作と違う点を1つ上げておきましょうか。
ドラマでは大野が息子を刺殺し、山賀はその場に居ただけ(ちょっと押さえつけたりはしていたかな)ですが、原作では大野が首を絞め、山賀が刺しています。
それを、息子の供養や家のこと諸々のことを考え、大野1人でやったことにして裁きを受けているんですよね。
山賀が直接、息子を手に掛けたかどうかって、私はけっこう重要なポイントだと思いますけど。
自首した大野に同情の声が集まり、刑が軽く済んでしまったことが、余計に2人を追いつめた。
大野は人徳者として持ち上げられる一方で、息子が不当に悪く言われることも、2人には苦しかったはず。
それなのに、2人は彼らが送って差し上げたご家庭の子供たちに『両親殺し』の汚名を着せているという事実を、すっぱりと見落としています。
一家心中事件を起こすのは、父親だって母親だって有り得る話しなのに、何故、子供に罪を着せるの?
まるで、子供が全て悪いかのようではないですか。
自分たちが苦しみ続けているのは、心の奥底では息子の所為だと思っているのではないか。
子供たちに汚名を着せるのは、その深層心理の現れなのではないかと疑ってしまいます。
それとも、自分たちが息子に殺されるべきだった、と考えているの?
『子供が親を殺して自殺する』というパターンは、いわば彼らの理想の形のつもりなの?
いずれにしても、大野&山賀は親の目線でしか家族というものを見ていないのではないかと感じました。
この人たちは、一度でも子供の立場から家族というものを考えてみたことがあるのかしら?
そんなワケで、彼らがどんなに偉そうにもっともらしいことを言っても、片手落ちのどうしようもない欺瞞としか思えないのです。
「送って差し上げる」ことが自分たちの崇高な使命であるかのように語っていながら、いざとなったら游子に罪をなすり付けるつもりで小細工していたとか、ホントにもう何をか言わんやですよ。
たぶん、使命を全うするためには多少の犠牲はやむを得ないとか言っちゃうんだろうな、大野&山賀みたいな人たちは。ふざけんな。
そんな大野&山賀に理解を示す游子。
2人にもっと理解を示し、寄り添う誰かが居れば、あんなに追いつめられることはなかったのではないか。
家族を閉じてしまう事が悲劇の始まりなのではないか、と。
家族を蝕む『悪』(このドラマで言うところの白蟻)が他の家族に害を為すのと同様、家族の中で育まれた『善』もまた他の家族に広まる可能性は大いにある、と言いたいのでしょう。
悪いものばかりが伝染するとは思えないので、理屈としては間違ってない、たぶん。
馬見原は綾女さん(水野美紀)親子と完全にお別れしました。
正当防衛とはいえ元夫を刺し殺したにしては、ケロッとしている綾女さん…
心配して損した。
っつーか、どういうメンタルしてるんだ、綾女さん…(゚ー゚;
そして、馬見原は奥さんの元へ。
馬見原は佐和子さんとやり直すつもりの様子。
でも、奥さんの方は考えさせて…と、消極的。
佐和子さんについてはドラマではあまり細かく描かれてないので、これだけのシーンでは彼女の心情を推し量ることは出来ません。
真弓の涙も、ちと唐突。
父が旦那の石倉くんに想いのたけを語っているのを盗み聞きしただけで、あんなに泣くかね?
やっぱり言葉にしてしまうと、どうも薄っぺらく感じてしまう。
しばらくご無沙汰だった美歩さんは、浚介に見切りを付けて筋肉バカに乗り換えるということで一件落着した模様。
游子のお母さんは胃癌の手術を受けてもう退院して来ちゃってビックリだし、認知症のお父さんは所々怪しいものの、以前に比べてずいぶんシッカリしている様子。
父親を失った玲子ちゃんは、施設で暮らして行く以外に道はなさそうですが、玲子ちゃんには游子さんが付いているし、まぁ、あの様子なら大丈夫でしょう。
今は反発していても、游子が気に掛けてくれていることは分かるはず。
誰かが自分のことを気に掛けてくれている、ということは、生きる気力に繋がります。
そういえば、駒田がなんで殺されたのかは明確にされないままでしたねぇ。
浚介の家庭事情もサラッと流されたし。
駒田の件はともかく、浚介の家族のことはもう少し説明しておいて欲しかったです。
原作と違っていて良かったなと感じたのは、亜衣ちゃん。
働いて自分でお金を稼ぐことで父親の気持ちを理解しようという意思を見せたことが良かったです。
親が自分の子供を理解しているなんて思い込むことが、悲劇の始まりなんじゃないかと私は思うんですよね。
子供は自分とは別個の人間。理解しきれなくて当たり前。
それでも子供を信じて支え続けるのが親の務めではないかと。
亜衣ちゃんの新たな一歩は、芳沢家を再生させることに繋がると思うんだな。
事件の余韻も去り、游子と浚介が呑気にラーメンを食べていると、テレビのニュースではまた一家心中事件を報じている。
そして、今日も誰かが救いを求めて電話を掛けている。
お気持ち、よ〜く分かりますよ
大野と山賀は逃げ延びて、どこかでまた家族を狩っている…そう匂わせる終わり方。
単なるサイコホラーにしないで、なんとか社会派ドラマとしてまとまった形になりましたが、やっぱりどうしても深みが足りません。
これがTVドラマの限界?
原作に比べて游子に軸足を置いた造りになっていたため、他がどうしても手薄になり、とっ散らかってしまったような印象を受けました。
事件そのものを追いたいのか、それとも游子を中心として事件に関わった人たちの姿を描きたいのか、途中でどちらなのか分からなくなっていましたし。
それでも、原作既読で犯人分かっていても、次回を楽しみにしながら見続けることが出来ました。
原作を読んでいない人には、このドラマはどう写ったんでしょうかね。
ドラマで興味を持ったなら、原作も読んでみて下さい。
ボリュームはかなりのものですが、グイグイ引き込まれてしまうので読破するのに苦労はしないと思います。
最後に、これまでこの感想を読みに来て下さった皆様、どうもありがとうございました。
また同じドラマを見ることがありましたら、お会いしましょう (⌒ー⌒)ノ~~~
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