FINAL FANTASY XIII レビュー(ストーリー編)ネタバレ無し
クリア後ミッションの途中ですが、一応エンディングは見たのでレビュー行っちゃいます。
あまりにも長くなりそうなので、ストーリーとシステムについてザックリと分けて書くことにします。
(分けても長いけどっ!)
ストーリーに関する大々的なネタバレはありません。
多少、世界観などについて触れてはいますが。
では、まずはストーリー編から。
コクーンという世界で安穏と暮らしていた主人公たちが、突然放り込まれた過酷な事態。
呪われた存在「ルシ」となり、命を狙われ、さらには「使命」を果たさなければ死にも等しい結末が訪れる。
彼らには、ただ同じ運命を負った者同志という緩い繋がりしか無い。
どうすればいいのか皆目見当もつかず、八方ふさがりな状況であることだけは確実。
恐怖と絶望ゆえに、自分の感情さえコントロールできず、衝突し、分裂する。
そういうわけで、主要メンバーは6人居ますが、いったん顔を合わせたメンバー(1名を除く)は、すぐに散り散りになってしまいます。
メンバーが再び顔を揃えるのは、だいぶ先のこと。
それまでは2人か3人のメンバー固定で、次々と視点を変えながら物語が進んで行きます。
このゲームを評して皆が判で押したように言う「一本道」
「一本道」のゲームは、大して珍しいものではありません。
ゲームなんて、だいたいが与えられたシナリオに沿って進めて行くもの。
ストーリー性の強いRPGなら、なおさらそうでしょう。
マルチなエンディングを迎えるものや、結末に至るルートが複数のパターンのものもあるけれど、それだっていくつかのバリエーションが用意されているだけで、決められたレールの上を進んで行くことには変わり無いと思います。
だから、寄り道が出来ないのも、後戻りが出来ないのも、街や村が無いのも、その辺に居る人とコミュニケーション取れないのも、私は特に気になりませんでした。
なにしろ、主人公たちは世界を敵に回し、追われている身。
おまけに、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようなもの。
呑気に寄り道なぞしている余裕は無いです。
だから、これはこれでいい。
彼らの置かれた状況からしてみれば、矛盾はしていません。
逆に彼らが好き勝手に歩き回り、道行く人に気軽に声を掛けていたら、「あり得ないだろ!」とダメ出ししていたでしょう。
ただし、そのせいで世界観が掴みにくくなっていることは否めません。
彼らは世界の辺境を転々とします。
足を踏み入れるのは廃墟だの遺跡だのばかりで、人の姿はありません。
待ち受けるのは魔物か敵の兵士かメカだけ。
街に足を踏み入れる場面もあるけれど、そこでも戦闘ばかり。
この世界で、人々はどんな暮らしをしているだろう?
コクーン=繭という閉じた空間にギチギチと詰め込まれた、きらびやかな未来都市かと思いきや、空も海も大渓谷もある。
いったい、この世界の仕組みはどうなっているのだ?
分からない。
プレイヤーが世界に愛着を持てないどころか、その実態を掴めないままどんどん話が進んで行ってしまうため、主人公たちの「コクーン守るんだ!」というセリフが上っ面だけに感じられ、実感として伝わって来ません。
ファルシ、ルシ、パルス、エデン・・・
序盤からポンポン飛び出す固有名詞の数々。
それらも、プレイヤーをコクーンという世界に馴染みづらくしている要因の1つでしょう。
造語が多いこと自体は構いません。
ただ、それが何を意味しているのかは、物語の流れの中で(なるべく早い段階で)プレイヤーにも理解できるように工夫すべき。
「資料送っておいたから、あとで読んでね!」というのは、作り手のスタンスとしてあまりにも怠慢です。
ゲーム内におけるテキスト情報は、あくまでプレイヤーが「確認」のために参照するものであって、内容を「補足」するためのものであってはならないと私は考えています。
それなのに、このゲームでは「捕捉」どころか、肝心なところがテキストで説明されていたりします。
用語説明のみならず、登場人物の心情までもがサラッと文章で綴られます。
脚本家として、これほど手抜きなことは無いでしょう。
予備知識として先に発表された小説を読んでおけ、とか
アルティマニアに詳しく書いてあるよ!
なんてのは、もう、論外。
宙に浮かぶ閉鎖的なコクーンと、その下に広がる広大なグラン=パルス。
主人公たちが正義の味方ではなく、忌み嫌われる存在であるということ。
そして、絶望的な状況で迷走しているということ。
物語の構成要素として揃えたパーツは悪くはないです。
実際、前半のストーリー展開は、私はまぁまぁ良かったと思います。
(物語の全体的なボリュームからすると真ん中ではないですが、話しの区切りとしてはメインキャラ6人が顔を揃えた時点が折り返し地点になると私は考えています)
断片的に挟み込まれる過去のエピソードが順序がバラバラで整理するのが大変だったり、セリフやちょっとした表情&仕草の裏に隠れた心情を推し量ったりしなければならなかったり・・・
きちんと理解するにはそれ相応のスキルを要しますが、それが出来れば共感もできます。
次のセーブポイントに辿り着いたら止めようと思いつつ、そこまで行くと、やっぱりもう1つ先まで・・・あと、もう1つ先まで・・・と、先の展開が気になって止め時を見失う。
そんな勢いがありました。
だから、6人が顔を揃え、さぁ、これからこの人たちは何を成し遂げてくれるんだろう、と、さらなる展開を期待したのですが・・・
何も無かった。
後半のストーリーがグダグダなのです。
一応、物語は完結しているのに、なんなのでしょう、この中途半端な感じは。
「FFVII」に例えてみると、
ようやくミッドガルから脱出したら、最初の街に着いた途端にミッドガルに連れ戻されて、神羅を潰してエンディング迎えてしまったようなもの。
「セフィロスは、どうしちゃったの?」
「古代種って、けっきょく何だったの???」
と、スタッフロールを見ながら呆然としている。
そんな感じです。
作り手の伝えたかったことは、だいたい分かります。
やたらと連発された「使命」という言葉。
本当の使命が何なのか、ライトニングはちゃんとその答えに辿り着けました。
主要メンバーは全員、何らかの形で家族を失い、故郷から遠く切り離されてしまった人たちです。
「家族」や「故郷」もキーワードの1つでしょう。
それを表現しようとしていたのも認められます。
でも、どうもに物足りない気がするのは、良いセリフも良いシーンもあるのに、そこに至るまでの描写が希薄だからなのでしょう。
それでも前半は、そこそこそれが実現できていたのに、後半は皆無と言っていいです。
キーワードだけキャラにポンポン言わせてもね、痛い&寒いだけで何も伝わりませんよ。
サブキャラの扱いも然り。
絡みのほとんど無いまま、いきなりクライマックスシーンを持って来られても、どうやって感動すれば良いのか分かりません。
元々長かった物語を尺に合わせて切り詰めたらこうなってしまったのか、調整するにしてももう少しバランス良くエピソードを配置できなかったものか、そもそも最初からそこまで描き込む気など無かったのか・・・
これが「ファイナル ファンタジー」でなければ、「ゲームのストーリーなんて、こんなもんだろ」と及第点をあげてしまっても良い程度の出来にはなっていたでしょう。
でも、ストーリーがしっかりしているのが「ファイナル ファンタジー」の特徴の1つでは無かったでしょうか。
私がこのシリーズに求めるのも、そのストーリー性です。
それがこの体たらくでは・・・
「FFよ、オマエもか?」と、言わざるを得ません。
次回は、システム編をお送りします。
FINAL FANTASY XIII レビュー(システム編)
FINAL FANTASY XIII レビュー(総合編)
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