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FINAL FANTASY XIII レビュー(総合編)ネタバレ無し!

ストーリー編とシステム編に分けて二日に渡って書いてきた愚痴レビューも、今日の総合編で打ち止めです。
長々と付き合ってくれたそこのアナタ様、どうもありがとうございます。

では、FINAL FANTASY XIII レビュー(総合編)まいります。
 
 
私はギリギリまでこのゲームを買おうかどうしようか迷っていました。
迷っていたのは、「ムービーてんこ盛りで中味スカスカのゲームに仕上がっているんじゃないか?」という懸念があったから。
それでも、PS3の威力を発揮できるソフトであることは間違いないだろうから、買ってみようか・・・と、購入することに決めました。

思った通り、ムービーは大量に仕込まれていました。

そして、思っていたよりも中味はスカスカではありませんでした。
そのことに満足し、私はけっこう楽しくこのゲームを遊ぶことが出来ました。
 
 
圧倒的に美しいグラフィック。

ごく自然に風になびく髪。
性別や年齢によって微妙に違う肌の質感。
服の皺や布地の織り目。

通常のプレイ画面ですら、それらがハッキリと見えます。

キャラクターたちが走り回るフィールドの景色も、丁寧に作り込まれていて美しい。

10年前、いや5年前の作品と比べても、別次元ですね。

まぁ、でも、慣れてしまうんですよ。
最初は「すげぇ〜〜〜」と思って見ていた美麗映像も、いつしか「あたりまえ」になってしまいます。
それどころか、アラが目に付きだす始末。
ゲームの評価の中で「グラフィック」の占める割合なんて、一部にしか過ぎませんし。
 
 
大量に挿入されるムービーもそうです。
ゲーム中のムービーは、プレイヤーの想像力を補助するために存在する程度のもので良いと思います。
でも、最近のゲームは、ムービーを見せたいんだか、ゲームをさせたいんだかよく分からない比重のものが多くて・・・

このゲームはムービーの占める割合がとても大きいです。
(普通のゲームであればイベントシーンになる所を全部ムービーで見せているから、ムービーの挟み込まれる回数が多い。加えて、しっかりと演出しているから各ムービーが長い)

確かにムービーの出来は素晴らしいです。
キャラの微妙な表情や仕草で感情を推し量ることが出来るなんて、一昔前のゲームでは考えられなかったことです。

だけど、これで良いのかな?

このゲームを遊びながら、私はずっと考えていました。

私の好きな「FF VII」にあって、この「FF XIII」に欠けているもの。

いったい何が違うんだろう?

答えは見つかりました。

「距離感」です。

ゲーム(特にRPG)と他の映像作品や小説や漫画などとの大きな違いは、そこに描かれる物語を疑似体験出来るか出来ないかだと思うのです。

ゲームであれば、実際にキャラクターを操作して世界を飛び回り、時には立ちはだかる強敵に大苦戦したり、どこかのダンジョンでは扉を開く仕掛けが解けなくて立ち往生したり・・・
物語の進行と同時に、プレイヤーはゲームの中で様々な体験を積み重ねて行きます。

ゲームの中に構築された世界の隅々を歩き回っているうちに、やがてプレイヤーもその世界に愛着を抱くようになって行くのだと思います。

そうすることにより、たとえ主人公=プレイヤー自身という図式が成り立たないFFのようなタイプのゲームでも、あたかもゲーム中のキャラと一緒に冒険をしているような感覚を味わうことが出来るのではないでしょうか。

ゲームの中に描かれる架空の世界や、そこを飛び回るキャラクターたちと、プレイヤーとの距離がとても近い。
だからこそ、共感し、感動もする。
私が好きだと感じるゲーム(特にRPG)には、皆、それがあります。
というより、そういう感覚を味わいたいから、私は好んでストーリーのあるゲームをプレイするのだと思います。

だけど、「FF XIII」は・・・

物語のほとんどはムービーで表現されています。
キャラを移動させることも、バトルもありますが、それは次のムービーまでの「繋ぎ」として配置されているものでしかない。
ゲーム中のキャラクターたちとプレイヤーの間に常に横たわる距離感。
彼らと苦労を共にしているという感覚が希薄で、成り行きを「傍観」しているとしか感じられないのです。
物語を「体験」するのではなく。
それでは映画を見ているのと同じことです。
それなのに、次のシーンを見るために、よっこらせと戦わなければならない。

「FF XIII」はゲームとしても映像作品としても、ものすごく中途半端な作品なのかも知れません。

ドット絵の昔に戻れとは言いません。
でも・・・
ゲームがゲームであるために必要なものを、何処かに置き忘れて来てしまったのではないか
漠然と感じていた危惧が、「FF XIII」によって確信に変わったような気がします。
 
 
色々と酷なことを書いてきましたが、私は巷で叩かれている程、この「FF XIII」が酷い出来だとは思いません。

やはりこれだけのクオリティの映像を実現できたのは素晴らしいことですし、バトルは面白かったです。
ストーリーも好き嫌いはあるでしょうが、凝った世界観を作り出そうとしたことや、キャラクターたちがわりと人間臭い(青臭いとも言う)ことは、評価して良いと思います。
音楽も良かったです。あまりゲーム音楽っぽくなくて。
確かに全体的に窮屈な感じが否めませんが、窮屈な中でも楽しみを見いだすことは出来ると思います。
普通に楽しめるRPGだと私は感じたのですが、「ファイナルファンタジー」を名乗るからには、「普通」は許されないのでしょう、たぶん。
 
 
最後に、今なお、「FF XIII」を買おうかどうしようか迷っている人へ。

「自由気ままに世界を探索したい」
「初めて訪れた街で情報収集したり、武器や防具を買いそろえるのもRPG楽しみの1つ」
「ファンタジーと言えば、剣と魔法よね!」
「主人公(と、その仲間たち)は、圧倒的に正しくて、強くて、賢くなければ許せない」
そう思っているなら、このゲームには手を出さない方が無難です。
まぁ、その真逆な内容だと思ってください。

「ファイナルファンタジーはこうあるべき」という確固たるものをお持ちの方も、止めておいた方がいいです。
おそらく、裏切られた感を抱かれると思いますので。

参考になるのは「FF X」や「クライシスコア」
ゲームの構造が、それらととても良く似ています。
このあたりが受け入れられる人であれば、普通に楽しめると思います。

バトルの難易度は少々高めですが、アクション性は無く、初めのうちはテンポが速く感じても遊んでいるうちにすぐに慣れるし、そうなるように配慮されているので心配は要りません。

PS3と、その映像を十分に実現できるテレビモニターもお持ちであれば、体験しておいて損は無いでしょう。
これのために、それらを買いそろえるのは、いかがなものかと思いますがね。
 
 
私にしてみれば、
「ファイナル ファンタジーがPS3に行ったら、こうなるだろう」と予想していたとおりの「ファイナル ファンタジー」だった
ということで、大きな感動や喜びも無いかわりに失望も無い、ごく普通のRPGでした。

 
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