JIN ー仁ー 第八話
今回は「器」の話。
これまでよりも薬効の高いペニシリンを作ろうとする仁。
でも、それには金が掛かる。
(なんでそんな大金が必要なのか、私にはよく分からなかったけど、とにかく金が掛かるらしい)
さっそくペニシリン製造所を提供してくれたヤマサ醤油の濱口さんにお願いするが、「だったら先生の器を見せてくれ」という話になる。
器なんて、「ホイ、こんなもんです」と、見せられるようなもんじゃないからな。
かといって、他に当ては無く、そもそも仁は金策に向くようなキャラじゃない。
頭を抱えつつも研究を続けていると、実にタイミングよく吉原でペニシリンを必要とする重病人が出る。
これが、恭太郎の入れ込んでいる女郎だったもんで、話がややこしくなる・・・
仁と龍馬、それから恭太郎の、それぞれの「器」のあり方を見せてくれました。
器は大きけりゃ良いってもんじゃないんだな。
仁の器はあまり大きくはない。
大きくはないけれど美しい。
誰かのために、自分の出来ることを、必死になってやり遂げる。
その懸命な姿は、周りの人を動かす力を持っている。
龍馬は口八丁手八丁で相手を煙に撒く。
それでいて単なるペテン士で終わらないのは、本当にそれを成し遂げてしまうだけの力を、龍馬が持っているからだろう。
龍馬の器は、間違いなく大きい。
恭太郎の器も大きくない。
だけど、誰かのために、プライドを捨てることも、身を斬ることもできる。
優しくて誠実な器だ。
派手な活躍は出来なくとも、何かを守り、支えることはできる。
それぞれ、伏線がしっかり張られているから、説得力があります。
ヤマサ醤油の濱口さんが仁に「あなたの器は美しい。だから、周りの人はあなたを助けるのでしょう」と言った時、「ウン、ウン、仁先生って、そういう人だよねー」と大いに納得しました。
仁先生は、毎回汗水たらして患者のために走り回っているし
龍馬の活躍ぶりもそれとなく挟み込まれていたし
恭太郎の生真面目さも、龍馬に対して抱くコンプレックスも
そういう描写があったからこそ、今回の話が生きて来るんですよね。
上っ面のセリフだけで主人公を持ち上げる、どこかの大河とは大違い。
唯一残念だな、と思うのは
仁が現代でどんな医者だったのか、イマイチ見えないこと。
正直なところ、初回で垣間見えた現代の仁の姿は、あまり良い印象ではなかったんです。
なんとなく「自分の腕を過信してるイヤなヤツ」に見えて。
自分のせいで恋人を植物状態にしてしまったことを、深く悔いているのは分かったんだけれども、周囲の反対を押し切って未来のオペを断行したという点が、強烈に印象に残ってしまったんですね。
だから、最初のうちは、江戸に来てからの仁のキャラとにギャップを感じていました。
現代でも仁が誰からも信頼を寄せられる良い先生だったっていうことが分かるようなシーンが1つでもあれば、そんなことは無かったと思います。
さて、龍馬を付け狙う謎の男たちが登場しましたが、「龍馬暗殺」の史実を知っている仁は、自分が歴史に介入したことで龍馬の死が早まったのではないかと察したようです。
写真にも大きな変化があった模様。
かなりショックを受けていたみたいだから、仁と未来のどちらかが消えちゃってるとか?
どうも、仁がタイムスリップするきっかけになった謎の重傷患者は、仁本人みたいですね。
その方が、辻褄あうものね。
あれが龍馬だったら、簡易手術道具一式を持ち出すなんて、出来なかっただろうし。
それにしても、なんだか、すっごいややこしいことになってますねぇ。
いったい、どうなってしまうんでしょう?