前作「対超力兵団」から3年。
舞台設定や登場人物はそのままに、微妙に改良を加えたシリーズ第二弾の出来は、果たして・・・
舞台は今回も大正時代の帝都。
帝都各所のマップも若干追加があるだけで使い回し同じ。
鄙びた湯治場との間を行ったり来たりさせることで、少し変化を持たせてみたり。
ストーリーに前作との直接的な繋がりは無いです。
最初のうちは前作をやっていないと話しが見えなかったりするかもしれませんが、すぐに馴染むでしょう。
メインのキャラは同じですが、前作をやっている方が少しキャラへの愛着が増すかな?という程度。
一部の唐突に絡んで来るキャラも、むしろ前作をプレイした人へのサービスって感じ。
前作のセーブデータがあると特典がありますが、それも微々たるもの。
そういうわけで、無理して前作をプレイしておく必要は無いと思います。
謎めいた美女が持ち込んだ依頼をきっかけにして、帝都存亡の危機を回避すべく「由緒正しいデビルサマナー14代目葛葉ライドウ」とその仲間たちが奔走する
・・・という、ストーリー展開は前作と一緒。
若干オカルト色は薄れたかな?
陰鬱さでは、今回の方が上だと思いますが。
はっきり言って、そんなに魅力あるストーリーとは思えませんでした。
むしろ開き直っちゃって、「対超力兵団」くらいハッチャケていた方が良かったような気がします。
変にシリアスに説教くさいこと言ってないで、宇宙でも異空間でも過去でも未来でも、何処へでも飛ばしてくださいってなもんだ。
どうせ、大魔王やヒンドゥーの最高神と下っ端妖怪を一緒に連れ歩いてる時点で無茶なんだから。
エンディングは2種類。
本編中各所の会話で選択肢が出て来ます。
それにより、主人公(プレイヤー)の行動指針というか生き様を示すことになり、イベントやら何やらが微妙に変化し、最終的には結末にまで影響を及ぼします。
「どちらの選択も誤りではなく、正解でもない」と本編中で言い切ってしまっている以上、結末もどちらかを「グッド」でどちらかを「バッド」にするワケにはいかないのです。
かといって、中立的な態度をキープしたとしても、それが正解というワケでもなく。
納得いかない向きもおありでしょうが、これはこれで辻褄が合っています。
まぁ、この手のゲームは「ストーリは、あって無いようなもの」と言う気もするので、ストーリーが大して面白くなくても自分はぜんぜん気になりませんでした。
続いて、システム的なことで気になったこと。
[全般的なこと]
とにかくイベントがテンポ悪過ぎ。
1ページに盛り込むテキストの量が少な過ぎるのかな?
それほど大した情報量でもないのに、何度も何度もボタン押してページを繰らないと会話が終わらない・・・
イベントごとザックリと飛ばすことも出来ないので、2周め以降やゲームオーバーしてやり直す時などは、ひたすら苦痛でした。
今回は、主人公が表向き「探偵事務所の助手」という肩書きなのを利用して、本編とは無関係に持ち込まれる「別件依頼」というものが存在します。
これが、本編の薄さを補うかのような大ボリューム。
貴重なアイテムが手に入るものや、優秀な悪魔を仲魔にするためのフラグになっているものや、ただひたすら面倒くさいだけのものなど、色々用意されています。
本編はアッサリめに抑えつつ、やり込み要素をふんだんに用意して「やりたい人だけどうぞ」的な構造にするのは、昨今のRPGの定番みたいですね。
「やりたい人だけどうぞ」と言われて、「ハイそうですか」とばかりにやり込んでしまうタイプの自分にとっては、とっても遊び応えがあって嬉しいんですが、重厚なストーリーにどっぷりと浸りたい人には物足りないかもしれませんね。
[仲魔たち関連]
このゲームの最大の特徴はライドウをサポートする悪魔たち。
悪魔の仲間。すなわち仲魔。
仲魔に出来る悪魔は前作に比べると大増量です。
でも、似たようなのも居るし、あんまり使えないのも居るし・・・
全ての悪魔を一通り使ってみたい自分には、本編のボリュームからすると、ちょっと多過ぎるように感じられました。
仲魔をゲットするには、基本的にエンカウント中に話しかけ、調子合わせたり貢ぎ物をしたりして御機嫌とって丸め込みます。
いわゆる「悪魔会話」というヤツで・・・
これが・・・
古参のデビルサマナーには「オマエ、分かってないな」と怒られそうですが、自分には向いてなかったようです。
最初のうちは確かに楽しいです。
悪魔たちのと駆け引きも、連れている仲魔とエンカウントした悪魔との組み合わせによって、ちょっとした会話イベントが起こったりするのも。
でも、だんだん駆け引きは面倒くさくなり、会話のパターンもそれほど多くはなくて、すぐに飽きました。
仲魔になって欲しくもないし、べつにアイテムも欲しくない悪魔から話しかけられたりするのも困ります。
「オマエに用は無いぞ!」と言いたいところだけど、言えない。
そういう時は、わざと怒らせるような行動を取って会話を終わらせていましたが、これがまた面倒くさい。
せめて、こちらから会話を打ち切る選択肢があったら、いくらかストレスは軽減されたと思いますが・・・
「悪魔会話」がエンカウント中にあることが、なぁんかバトルのテンポを悪くしてる気がするんです。
イベント中だったら、べつに構わないんだけど。
前作みたいに「力ずくで封じ込める!」式の方が、バトルの流れを遮らなくて良かったです。
フィールド移動中には、仲魔のスキルを駆使して仕掛けを排除しないと先に進めない箇所が時々出て来ます。
今回はそのスキルに合わせたシンボル的な物が置いてあるので、該当するスキルを持った仲魔を選びやすくなりました。
スキルが必要な場所の近くでは、そのスキルを持った悪魔とエンカウントしやすく出来ているという親切設計のおかげで、(少なくとも本編中では)該当のスキルを持った悪魔を求めて右往左往することもありません。
ユーザーに優しい仕様になりました。
仲魔どうしを合体させて新たな悪魔を生み出す「悪魔合体」
このシリーズのキモとも言うべきシステムで、合体させた仲魔の持つスキルの一部を新たに生まれる悪魔に継承させることが出来ます。
2体の仲魔を合体させる点は前作と同じですが、条件が揃うとイレギュラーな合体結果になったり、スキルはそのままステータスアップだけできる御魂合体、同じ属性でランクだけが上下する精霊合体など、悪魔合体の幅が広がりました。
前作では仲魔たちの持てるスキルの少なさがネックでした。
こちらも、今回大幅にアップです。
コマンド的に使用するスキルと、それ以外の常時発動スキルやステータス補正などを別枠にしてくださったおかげで、仲魔たちの使い勝手はとても良くなりました。
さらに、悪魔合体時の継承の仕組みも違っているので、より高性能の仲魔を、狙って作りやすくなっています。
[バトル関連]
バトルは前作と同じくアクション形式。
プレイヤーは主人公ライドウを操り、バトルフィールドを縦横無尽に動き回り、刀で斬りつけ、時に銃撃したりします。
そして、ガードも回避も出来る!
前作で「回避アクションが無いなんてどうかしてる」と愚痴っていたのに。
回避できるだけで、どれだけ命拾いしたことか。ありがたいです。
バトルに関しては、ほとんど不満はありません。
カメラワークがあんまり良くないことくらいかな。
敵がワープするのに合わせてこっちの仲魔もワープするから、視界の外で仲魔と敵がドンチャカやっていて、ライドウ1人が蚊帳の外状態に・・・
放っておいても仲魔が勝手に倒してくれるから、まぁ、良いんだけど、ちょっと寂しいです。
そうなのです。
仲魔が格段に賢くなったのです。
バトル中に呼び出せる仲魔は2体。
指示も、だいぶ細かく出せるようになりました。
例えば回復魔法を連続で使うように指示しておいても、状況を見て、自分でタイミングを判断して使ってくれます。
必要も無いのに回復しまくって、肝心な時に使えなくなったりすることはありません。
仲魔のスキルを使用するには「MAG」というものが必要になります。
悪魔には(一部のボスを除き)弱点となる属性が設定されています。
仲魔のスキルを使ってその弱点を突くと、敵は硬直し、その隙にガンガン叩けば「MAG」が回復する・・・
という循環システムのおかげで、惜しげも無くスキルを使用することが出来ます。
「敵の弱点を突いて、硬直している隙に叩く」というのは、このゲームで生き残るためのセオリー。
ライドウ自身には属性攻撃をする能力が無いので、属性攻撃を行える仲魔たちの存在がとても重要になって来ます。
いかにバランス良くスキルを持たせた仲魔を作るか。
そして、その仲魔を実戦でどう動かすか。
あれこれ試行錯誤しながら進んで行くのが、最高に楽しい。
悪魔合体の充実と、バトルにおける仲魔の役割が増したことにより、「悪魔を使役している」感覚が、より強く味わえるようになりました。
そんなこんなで、3ヶ月近くライドウとその仲魔たちと遊んでいました。
細かいところで気になる点はあるものの、大満足です。
バトルの難易度はかなり低いので、アクションものが苦手な人にも十分クリアできるレベルだと思います。
(逆にヌル過ぎるという人のために、クリア特典として高難易度のモードも用意されています)
システム的に難しいことも無いので、デビルサマナーシリーズ未経験でも大丈夫。
「大正時代」という舞台設定と、独特の絵柄、少々(いや、かなりか?)グロい点が気にならなければ、手を出しても損はしないかと。
そりゃ、PS3のソフトに比べたら、グラフィック的には見劣りはしますよ。
でも、ゲームの面白さとは無関係だということを再確認しました。
まぁ、確かに、ライドウと仲魔たちを美麗なグラフィックで見てみたい気はしますがね。
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