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流星の絆 Good End

すべては金のためだった。

息子の命を救うために必要な金。
たまたま身近に現金を持っている男が居て、手を伸ばせば届くところにそれがあって、思わず手が伸びた。
だけど、それは相手にとっても必要な金。
当然の抵抗を受け、もみ合ううちに男を殺してしまった。
自分が捕まれば、息子の命も危うくなる。
だから、傍らに居た女も殺して逃げるしかなかった。

ずっと、逃げ続けるしかなかった。
いつか、自分に両親を殺された子供たちに、追いつめられることを予感しながら。

そして、追いつめられた男は自らの命を絶とうとする。

だけど・・・
功一はそれを許さなかった。

生きて、俺たちがこの先どうやって生きて行くのか見続けてもらう。
生きて、遺族が泣いたり笑ったりするのを見続けてもらう。

両親を失った功一にとってあの人は、弟と妹を守りながら必死で生きて来た彼が、やっと見つけた「頼っても良いかな?」と思える人だったのに
(まぁ、ジョージさんも居るんだけどさ)
その人に裏切られた功一の心情は「ショック」なんて言葉では言い表しきれない。

戸神の家で、傘の柄に残った傷を見た功一が真実に気づいた時、彼は無言で震えていた。
その後ろにいる彼は、動揺のあまりタバコの灰にも気づかない。
台詞の無い2人の様子が、たどりついた残酷な「真実」を如実に物語っていた。

ただ、君たちと一緒に居たかったんだ。

どうして自分たちに近づいたのかと功一に尋ねられた彼は、そう答える。
自分のせいで孤児にしてしまった功一たちへの罪の意識ももちろんだけれど、どこかで失った自分の息子と重ね合わせていたのかもしれない。

泰輔とキャバクラで遊んでいる時なんて、本当に楽しそうだったもの。
功一と会話している時も、本当に親身に接していた。
「兄弟3人、助け合って生きていてくれて良かった」という言葉も
みんな、嘘じゃなかったと思う。

自分で親を殺しておいてずいぶん身勝手だとは思うけれど、功一たちの親代わりみたいに思っていたんじゃないだろうか。本気で。

彼は功一たちが捜査の目を戸神に向けようとしてやった証拠のねつ造も、自分がやったことにして3人をかばおうとしている。

加害者と被害者の遺族。
決して相容れる関係ではないけれど、功一たちと彼の間にも「絆」はあるのだろう。
 
 
最初は劇中劇のハッチャケぶりに面食らったけれど、それも最初だけ。
笑える部分とズッシリと心に響く部分が無理なく繋がって、実に見応えがあった。
これを重いだけのドラマにしてしまってたら、重くて重くて見ていられなかったかも。

幕切れも、実に清々しくて良かった。

功一たちも、自分たちの罪をきちんと償った。
やっぱり詐欺は犯罪だらね、いくらお金を返したとは言っても。
ここをうやむやにしたらマズかったけど、ちゃんと決着を付けたから片手落ちにならずに済んだ。
3人がそう決心するのが、彼の姿と繋がっているってのもよく出来てる。
汚い手段で手に入れた金で幸せになんかなれないよ、と。
それを言い出したのが、アニキに比べてチャラい感じの次男坊だったのも良い。
兄ちゃんは、きっと嬉しかっただろう。
 
 
このドラマは、キャスティングが絶妙だったと思う。
アリアケ3兄弟は、もう完璧と言って良いほどだったし、三浦友和のちょっと疲れた感じも良かった。
二宮くんは前から演技力に定評のある人だけど、やっぱり素晴らしかったわ。

あと、重要な鍵を握るダメナリこと戸神行成。
この男がただの二枚目だったら、ぜんぜんまったくハナシが成立しないところだったんだけど・・・
ダサめの部分もあり、馬鹿みたいに誠実で、やるべきことはビシッとやる有能さも持ち合わせている。
静奈が惚れて、2人の兄ちゃんの信頼を獲得にするに足る魅力的な「行成」を、要潤が見事に作り上げていたと思う。

原作の熱烈なファンにはいろいろ言いたいこともあるだろうけど、アタシはとっても楽しませてもらったし、随所で泣かせてもいただいた。
原作も読んでみようかな。

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