ワイルドアームズ アドヴァンスド3rd
「ワイルドアームズ アドヴァンスド3rd」(以下WA3)のレビューでございます。
発売は2002年。
シリーズ初のPS2作品。
キャラデザイン、街の雰囲気、BGM・・・全ての要素が一体となって、よりいっそう西部劇臭の強い世界観を作り上げています。
当シリーズの物語の舞台となる「ファルガイア」は、全て似て非なる世界。
「荒廃している」という点では一致しているのですが、今作のファルガイアの荒廃っぷりはすごい。
海が完全に干上がって、砂の海になってるんですから。
前2作では「荒廃している」と言いつつも、海はちゃんと水をたたえていたし、それなりに森なんかもあったんですけど。
そんなファルガイアを舞台に活躍する、今作の主人公は2丁拳銃使いの女の子・ヴァージニア。
これもシリーズ初。というか、RPG的にも珍しいんじゃないのかな。
(ユウナちゃんが2丁拳銃持ち出すのは、これよりも後だ)
荒野を自分の腕を頼りに渡っていく「渡り鳥」の姿が大々的にクローズアップされたのも、今作が初めて。(なんたって、全員が「渡り鳥」)
それも、西部劇色を濃くした要因のひとつでしょう。
[ストーリー]
大雑把に言うと
荒野に飛び出した夢見る少女が、ワケありの野郎どもと運命的な出会いを果たし、戦いの中で、悩み、成長し、ふと気付いたら世界を救ってしまっていた
・・・みたいなハナシ。
かなり無茶はしていますが、王道と言えば王道。
小難しいセリフの乱発で撹乱しているだけで、話しの作り自体は勧善懲悪の単純なものです。
主人公ヴァージニアちゃんは、好き嫌いが分かれるところでしょう。
大した実力も無いくせに、青くさい正論を振りかざして突っ走ろうとする。
世間知らずの甘ちゃんで、見ていてハラハライライラします。
私は「しょうがない小娘だな」と、上から目線で見守っていたのでそれほど気にならなかったんですが、彼女の言動がいちいち鼻につく人も居るかも知れません。
じゃぁ、彼女と行動を共にする野郎ども3名はどうかっていうと・・・
う〜ん、今ひとつインパクトに欠けます。
一応、それぞれに問題を抱えた連中で、各キャラメインのイベントも挟み込まれているんですが、「WA1」や「WA2」のキャラの掘り下げ方に比べると描ききれていない印象です。
常に仏頂面の可愛げの無いクソガキ、ジェット。
温厚な常識人だけど、気に入らないヤツには徹底的に辛辣なクライヴ。
無駄に熱いバカ、ギャロウズ。
(いえいえ、彼はムードメーカーとしての役割を立派に果たしてますよ。ギャロが居なかったら、このチームはグダグダです)
それなりに良いキャラ作ったのになぁ。
ギャロとジェットのボケ&ツッコミトークもいい感じなのに。惜しい。
[システム]
*グラフィック
色鉛筆で仕上げたかのような暖かみのあるグラフィック。
主人公が女の子だし、街の雰囲気はカントリー調だし、キーワードの「想い出」はノスタルジーかき立てる言葉だし・・・
変にリアルな方向に進むよりも、こっちの方が世界観とマッチしていて良いんじゃないかな。
私は好きです。
*迷子の渡り鳥
例によって、迷子になりやすいシステム。
サーチしないと街やダンジョンが出て来ない(マップにシンボルすら現れない)のは、初心者は面食らうかも知れませんが、これがワイルドアームズ標準。
なので、それはともかくとしても、次に何処へ行って何をすれば良いのかが分かりにくいです。
ダラダラした会話の中で、「○○○の南東の××」とか言われるとね、うっかり読み飛ばしたりするのよねッ。
イベント中も気を抜けないです。
これに関連して・・・
「ASKシステム」というものがあって、会話中にキーワードが出て来ると「きらり〜ん」と音が鳴り、ここで四角ボタンを押すと、そのキーワードについて更に詳しい情報を得ることが出来ます。
これが、なにかと便利。
どうでもいい話しだったらスルーすれば良いし、ちょっと気になったら突っ込んで聞くことも出来る。
一方的に読まされるのでなく、プレイヤーが自分で選択できるのは嬉しい。
もっとも、肝心な情報はたいてい「きらり〜ん」の後に隠されているので、最初はいちいちツッコミ入れることをオススメしますが。
2周め以降は、ちゃっちゃと飛ばせて快適。
*バトル
今作にも「エンカウントキャンセル」が採用され、エンカウントした瞬間にキャンセルボタンを押せばバトルには突入しません。
ただし、「エンカウントゲージ」なるものによって限度が設定されており、無闇矢鱈とキャンセルし続けることは出来ません。
特定のアイテムを集めることで、ゲージそのものを増やしたり、消費コストを減らしたりすることは出来ます。
順調にアイテムを集めていけば、レベルの低い雑魚はノーコストでキャンセルできるようになり、ストレス無く探索が行えるようになります。
毎度おなじみターン制バトル。
バトル中のアクションは、武器攻撃するにも、魔法やアイテムを使うにも、それぞれのキャラ「らしさ」が出ていて楽しいです。
でも、正直言って、あまりテンポが良いとは言いがたい。
なんていうか・・・無駄な動きが多い???
エフェクトがくどいのとか、ガーディアンを呼んだ時の大げさな演出をカットできなかったりとか、気になる点はいくつかあります。
それと、バトル中、敵も味方もバトルフィールドをむやみに走り回っています。
ぜんぜん意味ないです。目が回るだけです。
横一線に並んで、順番が来たらヒョイッと前に出るってのも、どうかと思いますが・・・
*渡り鳥といえばARMよねッ
今作は、メンバー全員がARM(銃)使い。
キャラごとに持っているARMの形状も性能もまったく異なり、全てのARMの性能を完璧に引き出して使いこなすのは至難の業です。
防具の概念は無く、武器は固定。
この点について不平を漏らす人も多いかと思いますが、私は大歓迎です。
元々、装備を取っ替え引っ替えするRPGが、あまり好きではないのですよ。
けっきょく「最強の装備を手に入れてしまえば安泰」で、ゲームの最終目的が「最強武器をそろえること」になってしまうのがイヤで。
「WA3」に登場するARMは、「ARMと心を通わせて初めて使いこなせる、特殊な武器」と位置づけられています。
そんな特殊な物なのに、新たな街に行くたびに次々とパワーアップしたものが手に入ってしまうのは変でしょう?
ARMを改造しながらゲームを進めて行くと
自分と相性のいいARMを大事に大事に手入れし、小金を稼いではチマチマと改造しながら使ってる・・・
そんな渡り鳥の姿が、浮かび上がってきます。
武器を「ARM」のみ、しかもキャラごとに固定にしたことは、相変わらず店売りしていない回復アイテム同様、この「ファルガイア」の世界観を徹底させるために必要不可欠な要素だったのでしょう。
その徹底ぶりは、称賛に値すると思います。
*みんなの力を合わせて
これまでに増して、バトルにおけるキャラごとの特性が際立っています。
極端に魔法に弱いヤツとか、攻撃力がスズメの涙で「オマエ、よく渡り鳥やってられるな?」レベルのヤツとか、どうしようもなくレスポンスの悪いヤツとか。
誰とは言わないけど。
このゲームには防具やアクセサリが無く、ミーディアム(ガーディアンを召還するのに必要なアイテム)を装備することでパラメータを補強したり、属性攻撃を軽減したり、状態異常を防いだりする特殊な効果(スキル)を付加します。
あまりにもキャラの能力差が激しいので、短所を補うよりも長所を伸ばす方向でミーディアムで調整した方が、おそらく戦いは楽になるはず。
各キャラの長所が最大限に生かされ、4人揃って初めて力を発揮できる・・・
みんなの力を合わせないことには、とてもじゃないけど荒野を渡って行けそうも無い渡り鳥たちです。
*寄り道上等ッ
ダンジョンには相変わらず手強い「謎解き」が仕込まれ、普通にストーリーを進めるだけでも結構な時間を要します。
(若干、「謎解き」の難易度は落ちているかな?という印象でしたが、それは自分がこのシリーズに慣れてしまったからなのかもしれないです)
そのうえ、サブ要素もふんだんに盛り込まれています。
全土に散らばるミレニアムパズル
おなじみの闘技場
全100階層の隠しダンジョン
秘密の花園でガーデニングにいそしみ、外宇宙からの侵略者を人知れず撃退し、各所で息をひそめる隠しボスにケンカ売る。
隅から隅まで遊び尽くそうとすると、相当長いこと楽しめます。
システム的には極めてオーソドックスなRPGです。
やりごたえ満点のRPGをお探しなら、手に取ってみてはいかがでしょう。
・・・それは、いつか想い出になる物語。
というように、今作のメインテーマは「想い出」
少なくとも、私の「想い出」には、しっかと刻まれました。
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