「あしたの、喜多善男」 第9話
借金がどうしたこうしたとか、保険金詐欺がどうのこうのとか、そういう安っぽいミステリー的なネタは正直言ってどうでも良いの。
三波が生きてても死んでても、それもどっちでも良かったんだけど、生きてましたね、彼。
う~ん、胡散くせぇ。
杉本に11年前の保険金詐欺計画について突っつかれて、「それは無理」と否定していましたが・・・
その時の微笑みが、ちょっと引っかかるんだよなぁ。
まるで、みずほを自分から解放してやるために出て来たみたいなことを言ってたけど、どうも信用ならないんだなぁ、この男は。
借金苦のせいでちょっと悪巧みしたけど未遂に終わっただけの人なのか、人をモルモット代わりにして高みの見物を決め込んでいる悪人なのか。
分からん。ま、どっちでもいいけど。
ンで、みずほは真っ白いスーツなわけ。
会社のスタッフが唖然として口をきけなくなるほど、彼女が白い服を着るのは珍しいってことだ。
みずほが白い服を着たのは、もちろん三波と逢うからだろう。
何故?
みずほにとって、三波は神聖なる存在だとでも言うのだろうか?
(死に装束も白いけどねー)
せっかく白いスーツで出て来たのに、みずほ自身は真っ黒。
みずほの2人めの夫が事故死した時に乗っていたボートに細工をした実行犯が逮捕され、依頼人はみずほだと白状する。
みずほは2人めの夫を殺したのが三波だと思いたがっているような節があったけれど、それは本人から否定された。
それどころか、その嫌疑が自分にかかっているわけだ。
そして、三波は「もう終わったのだ」とみずほを突き放す。
実行犯の件は森脇の仕組んだことかもしれない。
かわいさ余って憎さ百倍?
どうも裏でアレコレ手を回して、会社を乗っ取ろうとしているようだからな。
とにかく、みずほはかなり追いつめられた状態にある。
大丈夫か?
2日後に、みずほは生きていられるのか???
あっちこっちで話がややこしくなって、人間関係も見事に全部繋がっちゃって、もうタイヘン。
平然としているのは喜多さん一人。
(今日も死にかけたけどねー)
しのぶは喜多さんを死なせたくない(その動機は不明。好きだから自分の側にとどめておきたいのか、自分の思い通りにならない善男ちゃんへの嫌がらせなのか。私は後者のような気がするがな)
だから、小指噛めオジサンを利用して、みずほに「喜多さんが死んだら会社が困ったことになる」と脅しをかける。
会社を守りたいみずほは、喜多さんを死なせたくない。
だから、平太を利用して喜多さんを説得させようとする。
報酬は2,000万円。
その2,000万円があれば、リカは借金を精算することが出来るから、平太は喜多さんの自殺を止めようとする。
ところが、だ。
しのぶと小指噛めオジサンを繋ぐ糸が切れてしまった。
(やったのは森脇か?)
これは困った。
しのぶにとって小指噛めオジサンは、みずほを動かすための切り札だったのに。
これじゃぁ、(とりあえず喜多さん以外は概ね)みんなが丸く収まるはずの作戦が台無し。
どうする、しのぶ?
今回は、ネガティブ善男よりもノーマル善男ちゃんの方が怖かった。
保険調査員の杉本に「今こそ、みずほに復讐しましょう!」と説得されても、うっすらと笑みを浮かべてゴリゴリとカレーのスパイスを挽いている喜多さん・・・
怖いよ。
それ、マトモな人間の反応か???
ゾゾーッと背筋が寒くなったんですけど。
そんな喜多さんの姿を見ていたら、この人にはネガティブ善男が「必要」だったんだって思えて来た。
三波が言っていたように、ごく短期間の暗示だけでネガティブ人格を作るのは、確かに無理だったのかもしれない。
喜多さんは自分でネガティブ善男を作り上げたんじゃないかな?
嫌なものを全部ネガティブ善男に押し付けることで、どうにか生き延びて来たんじゃないの?
みずほとの離婚後、抜け殻のように生きてきたという11年。
喜多さんは現実から目を背け続け、ネガティブな感情を無意識下に追いやり続け、見ないように、感じないように、表面的には穏やかで善人な「喜多善男」を保ち続けて、そうやっているうちにネガティブ善男が生まれてしまったんじゃないだろうか。
ネガティブ善男は、喜多さんが押し殺し続けて来た、むしろ、喜多さんの本心なのかもしれない。
喜多さんの「自殺」がもしも三波の仕組んだことだったなら、ちっとも「自分の意志」じゃない。
喜多さんの固執する「誰にも干渉されず自分の意志で死ぬ」ということが、根本から崩れてしまう。
だから、本当に喜多さんが自分の意志で何かをやり遂げたいなら、自殺はすべきではないと考えていたのだけれど・・・
違う。
もしも私の考えるように、ネガティブ善男を育てて来たのが喜多さん自身であるなら、それは喜多さんの意思だ。
長年自分の意志を押し殺して生きて来た男の、「最後ぐらいは自分の意志で・・・」という切なる願いを踏みにじる権利は、誰にも無いのかもしれない。
そうはいっても、「あなたに会えてよかったなぁ」なんてことを、心底嬉しそうに言ってくれちゃう人物に死なれるのは、あまり嬉しくない。
たとえ、ほんの数日、一緒に過ごしただけの人だったとしても。
で、今回も私は平太に泣かされたわけですよ。
喜多さんの遺書を破り捨て、「死ぬなよ」と、平太は言う。
もちろん、自殺を思いとどまらせようとするのはリカを助けたいからだろう。
だけど、金を手に入れるだけなら、いつ誰が殺してしまっても問題ないはずだ。
「死んでほしくない」というのは、平太の本心だと思う。
自殺にしろ他殺にしろ、もしも喜多さんが予定通りに死んでしまったら、平太は生涯喜多さんのことを忘れることが出来ないだろう。
平太は「馬鹿なオッサンが居たよなぁ・・・」と、軽く受け止められるような人間じゃない。
勝手に死んでいった父親とともに、喜多さんは平太の心に住み続けるのだ。
喜多さんは自分が死ぬことで平太に苦しみを負わせるということに気づいていない。気づこうともしない。
だって、たまらないぜ?
「あなたにしかお願いできないんです」とか言って遺書を渡されてさぁ。
「僕が死んだあとに食べてね」ってカレー粉を渡されてさぁ。
ふざけんな、勘弁してくれ、だよ。
そういうことをヘラッとやってしまう喜多さんを、私は許せないんだな。
もしも喜多さんが平太と出会っていなければ、喜多さんは誰にも気づかれずにひっそりと死んでいけたかもしれない。
でも、もうそうはいかない。
平太と関わってしまったことは、喜多さんの最大のミスだ。
喜多さんは、死を前にして、一番出会ってはいけない人に出会ってしまったんだ。
なんだか見ていて気が重くなるような人ばかりの中、唯一、マトモ(馬鹿だけどねー)なのが与田。
もー、この人が出て来るとホッとするわ。
あ、あと、キャバ嬢の3人もねっ。
「アタシたち、生きてますっ!」って感じで、こっちまで元気になるよ。
さて、喜多さんのあしたはあと二つ・・・ですよ。
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