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ドラゴンクォーター ブレス オブ ファイア5

発売は2002年11月 カプコンのRPG「ブレス オブ ファイア」シリーズの、現時点で最後の作となっています。

いきなり言っちゃいますけど、私は好きなんですよ、このゲーム。
世間では、あんまり評判が良くなかったようで、今でも時々数百円で売られているのを見つけたりして、すごく悲しくなります。
なんで評判が良くなかったかというと、難易度が高かったからかな?という気はします。
独特の世界観、独特のゲームシステムに戸惑った人も多かったのかもしれません。
これ以前のブレスシリーズとは、まったく異なるタイプのゲームに仕上がっているので、以前からのファンには受け入れづらかったというのも一因かと思われます。

では、どんなゲームなのか、軽く紹介していきます。
 
 
[ストーリー]

・・・暗いです。
暗く鬱屈した世界観です。
 
遠い昔に起こった「災い」で地上は壊滅的なダメージを受け、人間は地下深くに都市を築いて、そこで暮らしています。
さらに「D値」という、一種の階級制度のようなものがあって、人々を縛り付けています。

陽の光の射さない地下都市。
夢を抱くこともままならない、人々に重くのしかかる階級制度。

そんな閉塞感に包まれた世界で暮らす、1/8192という低いD値を持つ少年・リュウ。
ある日突然、彼が手に入れた「ドラゴン」の力。
偶然出会った、翼を持つ少女・ニーナを救うために、それが何なのか分からないまま「ドラゴン」の力を使い、リュウは空を目指して世界を上っていく・・・

そんな、お話です。

ゲームの舞台もひたすら「地下」なので、暗いし、天井低くて圧迫感があるし・・・本気で空が見たくなります。
全編を通して感じる閉塞感。
閉所恐怖症の人は、要注意ですよ。
 
 
[システム]
とにかく、これを書くのは大変。
何しろ、このゲーム独特のシステムがてんこもり状態だから。

*SOL(シナリオオーバーレイ)

まず最初に書かなきゃならないのが、SOL(シナリオオーバーレイ)
各キャラのステータスや所持金、一部のアイテムなどを継承してゲームを再開することができ、それにより新たなイベントムービーを見ることができたり、前回は入れなかった場所に入れるようになったりする、このゲーム特有のシステムです。
ゲームプレイ中は任意で、ゲームオーバー時には自動的に、SOLするかどうかを選択する画面が出てきます。
この時に、最初からやり直すのか、直前にセーブした場所からやり直すのかも選択します。
よくある「強くてニューゲーム」的なものですが、普通のRPGだと1回クリアして2周目に突入しないとそういったメリットは得られないものですが、このゲームでは途中で倒れた場合でも、おまけに途中からのリスタートも、可能なのですね。
(ゲームクリア時は、自動的に「最初からSOL」状態になります)

ただ、得る物もそれなりにあるけれど、やっぱり失う物も多いので、出来れば自分の都合のいい時に準備万端整えてからSOLすべきでしょう。
 
 
*持ち物がすぐにいっぱいになる!

最初のうちは、持ち運べるアイテムの数がきわめて少ないのです。
ゲームを進めるにつれ、徐々に多く持てるようになっていくとはいえ、これはかなり厳しいです。
恐ろしいことに、このゲームでは回復の手段はアイテムを使う以外にありません。
回復魔法も、RPGにはつきものの宿屋もありません。
死にたくなかったら、大量の回復アイテムを持ち歩くしかないというのに、持てる数には限りがあるのです。
おまけに、結構いろんな物を拾わなければならない。
それでなくても荷物がいっぱいなのに、さらに困ったことに、装備品は「鑑定」してもらうまで、何を拾ったんだか分からないという鬼の仕打ち。
(慣れてくると、鑑定しなくても、だいたいの見当はつくようになりますがね)
鑑定してくれる場所も、そうたくさんあるワケじゃない。
装備品を拾ったみたいだけど、捨てていい物かどうか判断できないから、やっぱり捨てずに持っていきたい。
かといって回復アイテムを手放してしまったら死にかねない。
いったい、どうすれば良いのだ〜!と、苦悩し続けることになります。
 
 
*セ、セーブさせてくれ〜っ!

セーブポイントは要所要所に設置されてはいますが、お世辞にも多いとは言いがたい数。おまけに、セーブするには専用の「セーブトークン」というアイテムが必要です。
が、このアイテムも、なかなか手に入らない。
序盤で几帳面にセーブしていると、最後の方で足りなくなること請け合いです。
何時でもどこでも出来る「中断セーブ」というのもありますが、これはセーブであってセーブでないようなもの。
「中断セーブ」したデータをロードしてゲームを再開すると、そのとたんにそのデータは消えてしまい、万が一その先でゲームオーバーしてしまったら、最後に「セーブトークン」でセーブした場所からか、最初からSOLする以外に道はありません。
 
 
*ちょっとしたコツでバトルは楽になるんだな

バトル時の「移動」と「行動」は、共通の「AP」を消費して行います。
そのため、敵の目の前まで移動したら「AP」切れで何も行動できなかったりする場合もあるので注意が必要です。
逆に動かずにじっと我慢して「AP」をため、遠くから強力な魔法で敵を一掃する・・・などという手も使えます。
このあたりの駆け引きも、慣れて来るに従い上手くなって行くはず。

また、このゲームの場合、敵はあらかじめフィールド上に姿を見せています。
ですので、「なんか、強そうだな」と思ったら、戦わずに逃げてしまうことも出来ます。
敵に爆弾投げつけて弱らせてからバトルに突入しても良いですし、「エサ」で敵の気を引いておいて駆け抜けても良いですし、敵が油断している隙に「先制」して有利な状況でバトルに突入することも出来ます。
そして、先制したり、短いターンでバトルに勝利したりすると、もらえる経験値にボーナスが付くため、うまく戦えばキャラの成長も早い、という仕組み。
キャラ個人がもらえる経験値の他に、「パーティ経験値」というものもあるので、これを好きなキャラに与えて1人だけ極端にレベルを上げてしまうことも可能です。

バトル(特に突入時)のコツを掴めさえすれば、敵が強すぎて死にまくり!なんてことは無い、と思います、たぶん。
 
 
*D—カウンターの恐怖

リュウがドラゴンの力に目覚めると同時に上昇を始めるD—カウンター
D—カウンターが100%に達すると、リュウはドラゴンに浸食されたと見なされ、HPなどに関係なく問答無用でゲームオーバーです。

リュウはバトル中にドラゴンに変身することが出来ます。
ドラゴンに変身すると驚異的な破壊力で敵をぶちのめしてくれますが、このD−カウンターが一気に跳ね上がります。
そんなもん、恐ろしくて気軽に使えません。
微量ではありますが、普通に歩き回っているだけでもカウンターは上がり続けています。
強いからと言って無計画にドラゴンの力を使い続けると、間違いなくエンディングは拝めないでしょう。

強力な「ドラゴンの力」を、どこで使うのか?
ここで一気に畳み掛けるべきなのか、それとも温存して素のまま踏ん張るのか。
その場のプレイヤーの判断が、その後のゲーム進行にまで大きく影響します。
 
 
*個性的すぎるキャラ

パーティメンバーは3人のみ。
で、この3人の戦闘能力に、異様に極端なバラツキがあるのです。
一番ノーマルなのが主人公のリュウですが、コイツはさっきも書いたとおり、D—カウンターという爆弾持ち。
ほとんど魔法攻撃しか出来ず、極端に撃たれ弱いニーナ。
移動能力が低く、攻撃力もショボくて、使いこなすのが難しいリン。
3人の特性をうまく引き出してバトルをこなせるようになる頃には、たぶん、リュウ1人ででもゴリ押しで進めるようになっているんじゃないでしょうか。
 
 
*サブ的要素もそれなりに!

本編とは関係のないサブ要素のひとつが、ブレスシリーズではおなじみの「妖精の共同体」
妖精たちのコロニーの発展を手助けしてあげる、ミニゲームみたいな物です。
放っておいても本編クリアは出来ますが、何かと役立つ施設が出来るので、せっせと通って面倒見てあげた方が良いです。
いわゆる隠しダンジョンも、この共同体の中に出現します。
 
 
ふぅ・・・どこが「軽く紹介」だっつーの。
好きなゲームだから、ついつい、語りたくなっちゃってね。
そう、私はこのゲームが好きなんですよ。
どちらかというと不安要素ばかりを書き連ねてしまいましたが、それでも好きなのです。しつこいようですが。

確かに簡単にクリアできるゲームではありません。
至れり尽くせりの甘口RPGに慣れきっているプレイヤーは、理不尽なほどに不親切なゲームだと感じるでしょう。
でも、苦難を乗り越えてクリアした時に得られる達成感は、ほかに類を見ません。
「暗い地下世界から青い空を目指す」というストーリーと相まって、清々しい開放感と深い感動を与えてくれるのです。
そして、即座に2周目に突撃したくなること請け合い。
2周目には2周目の新たな楽しみが待っています。

標準的なRPGと比べると多少難易度は高めかもしれませんが、アクションものなどと比較すれば、とりたてて厳しいという程でもありません。
同じカプコンのグロ系アクションの定番「バイオハザード」を普通に楽しめる人なら、まったく大丈夫です。
っていうか、「バイオハザード」のプレイ感覚をRPGにぶち込んでみた・・・たとえて言うなら、そんな感じです。(どんな感じだ)

まぁ、騙されたと思って、ちょっと遊んでみてください。
どうせ、安いですから。ね。
 
 
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