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「ZOKU」 森 博嗣 著

法律には引っ掛からない、でも、ちょっと迷惑なイタズラを仕掛ける非営利団体(?)「ZOKU」
その悪行を阻止すべく奮闘する正義の組織「TAI」
そんな両者の割とどうでもいい対決を描いた、なんだろう?コメディ???

とにかく、ぶっ飛んでる。

両者のアジトは、それぞれ黒塗りのジェット機と白塗りの機関車である。
そりゃぁ、もう、やたら目立つし、身動き取りづらくてどうしようもないと思うのだけれど・・・
いずれもボスの趣味だから仕方がないと、両組織員一同、諦めているようだ。

ZOKUもTAIも、どう考えても金と暇を持て余した爺さんたちの道楽にしか思えないのだけれど、構成員たちはいたって真面目に任務に励んでいる。
と、いっても、構成員はどちらも2〜3人の家内制手工業的規模の組織。
見てくれがハデな割にはスケールは小さい。

そして、ZOKUの仕組むイタズラは、故意ではあるが悪意は無い。
他愛のない、おバカなものばかりで、金と手間ひま掛かってるわりには実害はきわめて少ないのだ。
被害者たちは「あれ、なんかちょっと変だな???」程度にしか感じていない。
その程度の「不思議」は、話しの種になるし、平凡な日常を彩るちょっとしたスパイスになる。
ZOKUの連中は、世間の人たちが困る様を見て喜んで・・・いるのかどうかも定かではなく、もちろん、彼らにはなんの利益も無い。
ZOKUは、退屈し切った人たちに刺激を与えてくれる、ある意味ボランティア団体なのかもしれない。

それを解明&糾弾する役割を担うのがTAIなんだけれども、どれもこれもすぐにネタがバレるので、多大な労力を消費しているのはもっぱらZOKU一味の方。
TAIの方は割と余裕で、もっぱら他のことにかまけている。
ノノちゃんは恋をするのに忙しく、その想いを寄せる相手は小難しい研究に没頭する日々。

無駄に一生懸命なZOKU一味を、片手間に相手してやってるTAI
・・・という図式が成り立っている。

登場人物が、濃いキャラぞろいである。
きわめつけは、ZOKUの実動部隊ナンバーワン、ロミ・品川だろう。
黒のレザースーツにマントを羽織って恥ずかしげも無く登場なさったりする。
誰がどう見ても(いや、若い子は知らないだろうが)ドロンジョだ。

まるでマンガみたいなセリフが、ポンポンと飛び出して来る。
テンポが良いと言えなくもないけれど、なんだろう、この感じ。
ロミ・品川のセリフに昭和の匂いが漂うのは、彼女がそういうキャラだから、それで良いのだ。
平成っ娘のノノちゃんとの会話の噛み合なさを際立たせるためにも、彼女はそういう語りをしなくてはならない。
ただ、全般的に、痛々しさが漂っている気がする。
今っぽく見せようとして、無理して今っぽいセリフを並べたんだけど、やっぱりしっくり来てないというような違和感。
ほら、オヤジが無理して若者言葉使ってる、あの痛〜い感じが、この小説全体を覆っている気がするのだ。
作者があえて狙ってやったのなら、それもアリなのかもしれないけれど・・・
たとえば伊坂幸太郎のセリフ回しのセンスの良さに比べると、なんかなぁ・・・という感じ。
 
森博嗣は推理小説を書く人だと思っている人が読んだら、「なんじゃ、こりゃ?」と思うだろう。
一応、謎はあるけど、凝った謎解きものは、この小説に期待しないこと。
ZOKUの仕掛けるイタズラに、翻弄されたりされなかったりしている人たちの姿を垣間見て、クスッと笑っていればそれでいいのだ。
実は、最後の最後に明かされるネタ。
それこそが、我々読者に仕掛けられた、もっとも壮大にして深淵な「イタズラ」だったことが明らかになるんだけどね。

とにかく、マンガっぽい奇天烈な話しなので、アニメにでもしたらウケるかもしれない。
やっぱりドロンジョだ・・・


追記:
ドロンジョを知らない人は、「ヤッターマン」もしくは「タイムボカンシリーズ」で検索してみよう!
 
 
 
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