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「モノノ怪」 総評

締めくくりに全話通しての感想をば。

私が薬売りに出会ったのは、「モノノ怪」放送開始直前の「怪〜Ayakashi〜 化猫」一挙再放送でした。
そして、それまでに見たことの無い、不思議な映像に度肝を抜かれました。

和紙のテクスチャを使った、あたたかみのある質感
陰影を使わずに遠近感を持たせる、浮世絵的手法
色数は多く、でも微妙に抑えられた色調
あくまで「和」でありながら、所々に西洋的であったり大陸的であったりするモチーフが顔を覗かせる
・・・等々。

まだ「怪〜Ayakashi〜 化猫」では実験的に使われていたあらゆる表現が、この「モノノ怪」で磨きがかかり、いわば「モノノ怪ワールド」が完成されたと思います。
 
 
今回の5作品を自分の好きな順に並べると
「座敷童子」>「化猫」>「のっぺらぼう」>「鵺」>「海坊主」
になります。
「鵺」と「海坊主」はストーリー的にはどっちもどっちなのですが、演出面では「鵺」の方が良かったので、この順番になりました。

第一話放送からだいぶ時間が経ってしまっているので、ザックリと各話ごとの感想を書いておきます。

「座敷童子」
「雨粒が花」には感動しました。
随所に象徴的な表現を効果的に使っていて、映像面でも良かったです。
モノノ怪の「理」が一番心に迫って来て、唯一泣けてしまったお話しでした。
ストーリー自体はきわめて単純なのだけれど、少々説明不足かと。
「怪〜Ayakashi〜 化猫」を見ていない人には、意味不明だったのではないでしょうか。
薬売りが退魔の剣を抜くと姿が変わることとか、モノノ怪祓いグッズの使い方とか、「説明は極力省く」という基本姿勢をとるにしても、最低限説明しなければならないものはあります。
その点でいうと、この話しはシリーズの最初に持って来るべきではなかったと思います。

「海坊主」
逆に、こちらは説明しすぎ。
とにかく全部セリフで片付けてしまった感があって、自分はあまり面白いとは思いませんでした。
そのセリフ自体も、印象的なものはあまり無く、逆に無理矢理言わせているようなセリフが気になって仕方ありませんでした。
話しの内容も、まったく共感できませんでしたし。
キャラクターはこれっきりにするには惜しいほど、粒ぞろいだったんですけどね。
映像的には、背景がゴチャゴチャしすぎ。
「映像で見せる」という点では、あまりにも普通でした。

「のっぺらぼう」
とにかく、難解。
見る人によって、いくらでも違う解釈が出来てしまいそうです。
最終的な解釈を見る人に委ねるというのも悪くはないのですが、けっきょく作った人が何を言いたかったのかがよく分からないのでは、作品として世に送り出す意味が無いのでは?
1人の女性の心象世界を題材にしている点は好きです。

「鵺」
あまり馴染みの無い「香道」を題材にしたチャレンジ精神は認めますが、いきおい、説明セリフが多くなってしまい、見ていてダレました。
鵺がハロウィンのカボチャに見えたのは自分だけでしょうか?正直言って、興ざめです。
モノノ怪の姿形は曖昧模糊としている方が、このアニメには向いているような気がするのですが。
モノクロームに近い映像と、鮮やかな色彩を使い分けての演出は見事だったと思います。

「化猫」
表現としては、これが完成形といえるかもしれません。今回5作品の中で、一番怖かったです。
恐怖を盛り上げる音の演出も、まさに「効果音」でしたし、極限状況下の乗客たちが勝手に喋りまくっている様子も実に効果的。シナリオはこれが一番良かったと思います。
話しの筋は実に単純で、それを映像でしっかり見せてくれたという点で好感が持てます。
ただ、その単純な話しがきわめて現代的であるが故に、あえてその話しを「モノノ怪」でやる必要があるのかどうか、その判断によって評価は大きく分かれることになると思います。
私は「ある」と考えたので、この「化猫」はとても好きです。
モノノ怪となった節子さんだけでなく、ハルさんやチヨちゃんの「情念」まで描いてくれたことも、好きな理由のひとつ。
 
 
さて、なんか、どちらかというと否定的なことばかり書いてますが・・・
基本的には好きなんですよ。モノノ怪が。
だから好きなところを書いくとキリが無いので、少々気になる点を突ついてみたというわけです。

ストーリーとしては、やっぱり「怪〜Ayakashi〜 化猫」が一番好きです。
今回のは、少しばかり話しをややこしくし過ぎているような気がして。

物語の骨子は単純に。
でも、モノノ怪を生んだ「人の心」は深く掘り下げる。
そして、それを映像で魅せる。

私は、それを「モノノ怪」に求めていたのですが、それが一番叶えられたのが「座敷童子」だったかな、と。
タッチの差で「化猫」
「のっぺらぼう」は、もう少し分かりやすかったら、一番好きだったかもしれないテーマなんですけど。
 
 
「モノノ怪」で語られる物語の主軸は、あくまでモノノ怪とそれを取り巻く人たちにあります。

普通の妖怪退治ものであれば、主人公が妖怪を退治する場面が最高の見せ場になるはずなのですが、この「モノノ怪」の退治シーンは実にアッサリとしたもので、下手すりゃそこだけスポンと抜け落ちていたりします。
痛快な妖怪退治ものを求めている人にとっては、これほどつまらないアニメも無いでしょう。

大事なのは、モノノ怪を斬るために真実に迫っていく過程や、徐々に近付いて来るモノノ怪に恐怖する人たちの姿。
それらを描くことで、人間の醜さや愚かさを暴き出し、悲しいモノノ怪の「理」への共感を呼ぶ・・・
たぶん、そのへんを読み取れないと、ちっとも面白くないでしょうね。
面白いと感じるかどうかは見る人次第・・・
たまにはそんな作品があっても悪くないでしょう。

「アニメは子供の見るものだ」などという固定概念を捨てて、オトナの人にこそ見て欲しいアニメだと思います。
 
 
モノノ怪の魅力のひとつとして欠かせないのが、「薬売り」
なんなんですかね、あの存在感。
櫻井さんの声質もピッタリだし、なぁんか人を小馬鹿にしたような口調も、ここぞという時にはビシッと厳しい口調に変わるところも、実に魅力的でした。

ただ、話しによって薬売りのキャラがどうもブレがちで、クールなんだか間が抜けてるんだか冷酷なんだか優しいんだか、ホントにつかみ所が無くて困っていました。
でも、最近、それはそれで良いのかもしれないと思うようになりました。
この人は、主人公というより狂言回し(物語の進行役)なんですよね。
名前も無くて、ただの「薬売り」ですし。
もちろん、推理小説に登場する探偵のように、「狂言回し」が強烈な個性を持っている場合もありますが、薬売りに関してはビジュアルだけで既に強烈なので・・・多少性格がブレても特に大きな混乱はありません。

退魔の剣を振るう者が、あの「薬売り」というカタチをとっているだけのこと。
特定の個人である必要は無いのかも。

そう考えたら、物語に応じて微妙に個性が変わっても、時代を飛び越えて存在していたりしたとしても、ぜんぜんオッケーです。

薬売りの正体も退魔の剣との関係も、一切うやむやなままに終わってしまったのも、いかにも「モノノ怪」らしくて良かったです。
その割には、最終話で締めのセリフ吐いてたけど。
あれ、要らなかったかも。
ネコを撫でてニコッと笑ったところで終わってたら、もっと良かったのに。
 
 
これだけヘヴィーな作品となると、作る方も大変でしょうが、見る方もしんどい。
もっと見たいのに・・・と思う、1クールで終わってくれて、ちょうど良かったのかもしれません。
でも、薬売りさんにもう会えないのは、実に寂しいです。
忘れた頃に1クールだけとか、三話完結の単発モノでもいいから、帰って来て欲しいです。
ええ、ぜひとも帰って来て下さい。何食わぬ顔で!

   
 
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