モノノ怪 第二話「座敷童子 後編」感想
(ネタバレ御免っ!)
[あらすじ]
開かずの間に棲むモノノ怪の正体は座敷童子だった。
モノノ怪の「形(かたち)」は見えた。
だが、退魔の剣を抜くためには、まだ「真」と「理」が足りない。
薬売りは、女将たちから事情を聞き出そうとするが、なかなか口を開こうとしない。
一方で、志乃は座敷童子の怪異に取り込まれてしまっていた。
志乃は過去の幻影を見る。
この宿で起こったこと。
自分の身に起こったこと。
悲しく、恐ろしい幻影に志乃は追いつめられて行く。
そして、つきまとう黄色いダルマ・・・
じわり、じわりとモノノ怪の気配が迫る中、ようやく女将が重い口を開く。
この宿はかつては女郎屋で、多くの女郎たちがこの部屋で子供を堕ろしていた。
この開かずの間は、その赤子たちの供養のために作ったもので、壁には多くの赤子が埋め込まれているのだと女将は言う。
モノノ怪の「真(まこと)」
それは、女郎屋の時代に、この世に生まれることなく始末されて行った赤子たち。
薬売りは退魔の剣をかざし、座敷童子の「理(ことわり)」を探り出そうとする。
それを見た志乃は「斬るな」と叫んだ。
志乃は赤子たちを皆まとめて自分が産む、と言う。
けれど、これほど大量の赤子の魂を受け止めきれるはずもなく、お腹のお札を剥がしたとたん、志乃を激しい出血が襲う。
必死に守って来た我が子の危機に、恐怖する志乃。
その時、黄色いダルマにひびが入り、ずっと志乃につきまとっていた1人の赤子が姿を現す・・・

薬売りさん、テーブルの上に乗るのはやめましょう。
・・・冗談です。
でも、この人、最初から最後まで、ほとんどテーブルの上に乗ってなかった?
テーブルの上でしゃーんと正座してる姿は、なんか、可愛かったけどさ。
ま、それはこっち置いといといて。
今回は、少々分かりづらかったです。
見る人によって、どうとでも解釈できてしまうような、実に曖昧な決着の付け方。
以下、順を追って書いてみますけど・・・
あくまで私の解釈ですので、それは違うんじゃないないかなーってとこもあるかもしれませんがご容赦ください。
前回からチラリチラリと見えていた赤い帯は、へその緒だったのですね。
もしくは、母と子をつなぐ強い絆の象徴。
順番から言って、まず、母親の胎内に命が宿り、その後に魂が宿るようですね。
誰かが身ごもると、赤子たちの魂の1つが、「この人に決めた!」と言って自分の親として選ぶ。
で、女性の身体から伸びて来るあの赤い帯で結ばれる。
他の赤子たちは、「おめでと〜」と言って、それを祝福する。
ちょっと、羨ましそうに。
けっきょく、赤子たちは、ただ母親を欲しているだけなんですよね。
ただ、生まれてきたい、そう願ってるだけなんですよね。
でも、この宿では、赤子たちのそんな願いは叶えられない。
なぜなら、ここは女郎屋だったから。
身ごもった女郎は仕事ができないから、子供を堕すしかない。
そして、また、浮かばれない魂がこの宿に繋がれる。
無惨に引きちぎられた赤い帯が、あまりにも悲しいです。
座敷童子が殺し屋の命を奪ったのは、志乃を守るため。
自分を生んでくれるかもしれない「母」を守るためだった。
座敷童子は、望まれて、優しい母親の元に、生まれてきたいと、ただ、それだけを願っていた。
それが、モノノ怪の「理(ことわり)」
退魔の剣を抜こうとする薬売りを止め、「みんな、私が産んであげる」と、志乃が言った時、座敷童子はすごく嬉しかったのでしょう。
その証拠に、荒れ狂っていた座敷童子は、赤子たちの姿に戻ります。
でも、それが叶えられないことは、座敷童子にも薄々分かっていたんじゃないのかな。
志乃と黄色いダルマの赤子が言葉を交わしているシーンでは、思わず涙ぐんでしまいました。
こういうのは、女は本能的に感じ取ってしまうんで、たまらないです。
あれは、志乃のお腹の子に魂が宿った瞬間だと自分は解釈したんですが、どうでしょうかね?
それと、あの黄色いダルマ。
あれって、確か宿の外から入って来たと記憶してるんですけど。
志乃との会話の内容も、長いこと側で志乃のことを見ていたような感じでした。
だから、この宿に居た座敷童子の1人じゃなくて、志乃がお屋敷で奉公していた時から、「この人をお母さんにしようかなぁ?」と思いながらずっと見ていて、志乃がお屋敷を逃げる時に一緒にくっ付いて来ちゃったのではないかと思います。
では、恐らく誰もが「えええっ?」と思ったであろう、「薬売りは座敷童子を斬ったのか否か?」について。
座敷童子と戦ってるシーンがスパッと無いんですよね。
志乃と赤子が手をつないでいる姿を他の赤子たちが優しく見守っている・・・と、思った瞬間、ふっと赤子たちが消えて、退魔の剣を抜いた薬売りの姿がチラッと目に入るだけ。
たぶん、斬ったんでしょうな。
薬売りさん、変身してたし・・・
退魔の剣を抜くと、薬売りさんは形態チェンジするんです。「化猫」見てない人には、何がなんだか分かりませんよね。
今回の話しは、ほとんど志乃の目線で進んで行ってるんで、致し方ないのでしょう。
たとえモノノ怪とはいえ、元は赤子たちの魂。
それを斬るシーンを、志乃には見せたくなかったんじゃないでしょうか。
それに・・・
座敷童子を産もうとお札を剥がした直後、志乃は出血してます。
(あれも、本当は出血なんかしていなくて、志乃の心を確かめたくて赤子たちが見せた幻覚なんじゃないか・・・という気がしなくもないんですが、確信はありません)
それでけっきょく、自分のお腹の子を守るために、座敷童子を産むことを諦め「ごめんね」と、志乃は謝ります。
何がなんでも自分の子供を守る。
そんな志乃の母親としての強くて優しい心を見届けることができて、座敷童子は救われたんじゃないか、と思うのです。
たとえ、志乃の子供として産まれて来ることが出来なくても。
この世に生まれて来るには、自分が望むだけでなく、親からも望まれなければダメなのだと言うことに、赤子たちは気付いたようですし。
ただ、それだけでモノノ怪を浄化できるわけではなくて、やっぱり薬売りは退魔の剣を抜くしかなかったんだけど、もう、サッと祓うだけで良かった。
たった1人、志乃の子供として産まれて来ることになった赤子を、妬むわけでもなく、「おめでとう」と言ってニッコリ微笑んでいる・・・
赤子たちには、邪気が無い。座敷童子は、しょせんは、無垢な子供の魂の集まったものに過ぎなかった。
そんな赤子たちと戦う必要は無いでしょう。
そう考えると、ハデな立ち回りシーンが無いのも納得いく気がします。
座敷童子を産もうとする志乃を止めるシーンの薬売りは、とってもカッコ良かったです。
「相容れぬ」と言った時の薬売りの厳しい表情が・・・
なんというか、彼自身の背負っている厳しい宿命みたいなものをチラッと垣間見たような気がしましたよ。
モノノ怪は、たとえどんな理由があろうと、人の世に在ってはいけないもの。
だから、薬売りは退魔の剣を抜かなければならない。
ただ哀れみをかけるだけでは、救われないものもあるのね。
この物語は、モノノ怪を生む原因となった「悪」は裁かれ、モノノ怪も「退治」というよりは、苦しみから解放されているカタチになっているので、悲しいけれど救いのある結末になっています。
今回の話しも、とっても切ない幕切れだったけれど、たぶん、これで良かったんでしょう。
最後に、赤子たちが微笑んでたから、ね。
薬売りに浄化されて、この宿から解き放たれた赤子たちの魂は、何処かで誰かの子として、今度こそこの世に生まれ落ちる。
いつかきっと、座敷童子の「理」は叶えられる。
そう、前向きに解釈したいです。
長くなってしまったので、1つ1つには触れませんが、抽象的、象徴的な表現を多用して、必要以上にグロテスクにも、変にイヤラシくもならず、物語を美しく「見せて」くれた、そのセンスの良さには脱帽です。
(雨粒を花にしてしまうとか、人の顔で花がクルクル回っている表現なんて、いったい誰が思いついたんでしょう?)
前編の感想で、単純なストーリーを「どう見せるかが大事!」と書いていた、自分の予想を遥かに超えた出来映えでした。
唯一、残念だったのは、薬売りのバトルシーンが無かったことかな。
退魔の剣を抜くところとか、モノノ怪と戦うところとか、カッコイイのに。
次の物語では、ぜひともご披露願いたく候。
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