「姑獲鳥の夏」 京極夏彦 著
大戦の爪痕残る昭和初期
密室トリック
20ヶ月も身ごもったままの妊婦
産院から相次いで消える嬰児
いわく付きの旧家
まとわりつく妖怪譚、怪異譚
この世のものとは思えない美女
エキセントリックな探偵
横溝正史的世界の構成要素を「これでもか!」ってくらいに満たしております。
死体がゴロゴロ転がってないあたりは、犬神家よりマトモなんだけど、それ以上にブッ飛んじゃってるんですよねー。
いや、もう、ハチャメチャですから。このお話し。
ここまでグチャグチャなのって、アリですか???
だいたい登場人物が、ことごとく変人なんだもんな。
(マトモなのって、京極堂の妹くらいか?)
よりによって、一番マトモでなきゃいけないはずの語り手が・・・
関口!オマエだっ!
この男のおかげで、このストーリーは成り立っているようなもの。
関口さえ居なければ、この話しは半分くらいのとこで終わってるんだから。
まぁ、それこそが、この話しのキモなんでしょうが。
それとね・・・
京極堂、ウンチク垂れすぎ。
この分厚い文庫本の半分は、京極堂のウンチクなんじゃぁあるまいか。
映画では、どうなってるんでしょうねぇ。
活字を追ってるから、どうにかついていけてるけど、セリフでだーっとまくしたてられたら・・・観てる方は眠くなってしまうでしょ、たぶん。
かといって、端折っちゃったらワケ分からなくなりそうだし。
物語の根底にある思想というか、知識というか・・・そういうものを、この人が1人で喋ってしまっているんで、この「京極堂のウンチク」をきちんと理解していないと、このストーリー自体も理解できないでしょう。
京極堂は作者の分身・・・なのかな。(名前からしても・・・)
そういや、「巷説百物語」でも誰かが同じようなこと喋ってたナ。
概ね、面白かったです。(ウンチクも含めて)
途中で真犯人が分かっちゃったり、カラクリの一部が見えちゃったりしましたケドぉ・・・
関口の狼狽えっぷりが、不安感を否応無く盛り上げてくれてますから、終幕に至るまで「飽きる」ということはありませんでした。
そして、京極堂の謎解きシーンは圧巻です。
映画でのキャスティングを知っていたんで、京極堂があの顔で、滔々と語る様子がまざまざと浮かんじゃいましたよ。
どのキャラも、イメージを大きく外しては居ないかな。
古くからの京極堂ファンには一家言あるでしょうが。
映画はDVDになった頃、観るかもしれないです。
(映画館まで行く気には、ちょっとなれない)
でも、京極堂のキャラにはすっかり惚れ込んでしまったので、他のを読んでみたくなりましたよ。
他でも、あの調子で喋りまくってるんだろうか?
そうなんだろうな、きっと。
・・・辞書並みに分厚い本の半分くらいが京極堂のウンチク?
・・・うへぇ。
その他の読書感想文はこちらからどうぞ
« シャドウハーツ プレイ日記(1) | トップページ | シャドウハーツ プレイ日記(2) »
「読書感想文」カテゴリの記事
- 「四日間の奇蹟」 浅倉卓弥 (2004.12.20)
- 「うつくしい子ども」 石田衣良 著(2005.01.19)
- 「月の裏側」 恩田 陸(2005.03.01)
- 「サイレントリー」 鈴木光司 著(2005.03.16)
- 「流星ワゴン」 重松 清(2005.04.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント