アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス著
言わずと知れた、名作中の名作。
何年か前にユースケサンタマリア主演でドラマ化されましたし、はるか遠い昔に映画化もされていたはず。
私はどちらも未見です。
あまりにも思い入れが強すぎて、映像作品など、とてもじゃないけれど見る気になれないのです。
物語は・・・
幼児並みの知能しか持たない主人公・チャーリーが、手術によって天才へと変貌を遂げて行く過程と、そこからまた元の状態に戻って行く様子が、「チャーリー本人の書く日記」という形で描かれています。
頭が良かったらどんなに素晴らしいだろう
そう思っていたチャーリーですが、実際、天才になってみると・・・
確かに素晴らしいこともあるけれど、悲しいことや辛いこともたくさんあって、「知らない方が良かったんじゃないか?」と思うような出来事が彼を待ち受けています。
しかも、手術の効果が一時的なものでしかないことに、彼は気付いてしまいます。
徐々に思考能力は衰え、やがて、元の「何も分からないチャーリー」に戻ってしまう。
でも、どちらが本当に幸せなのか。
確かな答えは未だに見つけられず、私は最後の「ついしん」を読むたびに涙ぐんでしまいます。
すごいのは、それらが一人称で書かれているという点。
物語は、チャーリーが書く「日記」によって構成されています。
そのため、最初のうちは平仮名ばっかりで、誤字脱字だらけ。内容も小学生の絵日記並み。
ところが、チャーリーの知能が上がるにつれ文章も変わって行き、しまいには、「誰の研究論文か?」と見まがうほどに。
作品そのものも素晴らしいのですが、これを日本語に訳した翻訳者の方の功績も非常に大きいと思います。
感謝を込めて、小尾芙佐さんにも花束を贈りたいです。
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