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「麦の海に沈む果実」 恩田 陸

「少女マンガを読んでいるみたいだなぁ」
この本を読みながら、終始、そう感じていた。

物語の舞台は、湿原に囲まれた全寮制の学校。
ドタバタとした学生生活を送っていた我が身には、それだけで、もう、十分に現実離れしていると感じられる。
一癖も二癖もある生徒たちは、それぞれに複雑な事情を抱えてはいるものの、概ねおぼっちゃま、お嬢様である。

そこへ迷い込んだ、時期外れの転校生。
(この「時期外れ」が、この学校にとっては大きな意味を持つ)
おまけに美少女ときた。

そして起こる、殺人事件。
(でも、警察ザタにはならない)

とにかく、現実から切り離された、夢のような物語がこの学校の中で展開する。

ある意味、この小説は「夢」の物語なのかもしれない。

ネタバレになるので詳しくは書けないが、この物語は「理瀬」という少女の見ていた「夢」であり、あるいは「理瀬」という少女自身が・・・
 
 
私は、この物語の結末に、たいそうガッカリした。
なんだか、裏切られた気がした。
それは、「理瀬」という少女がとても魅力的だったからだ。
ガッカリすると同時に、このことを、作者は伝えたかったのかな・・・とも思った。
(なんだか意味不明な文章ですが、ネタバレを避けようとすると、どうしてもこうなってしまって)
 
 
最初に「少女マンガのような」と書いたけれど、実は、コレを読みながら、その背後にある1人の漫画家の影がチラチラとしていて・・・
コレに限らず、恩田さんの本を読んでいると、どうもその人の影響を受けているようなにおいがする。
この作者の年齢からいって、少女時代にその漫画家の作品を読みふけっていたとしてもおかしくない。
かくいう私も、その漫画家の作品にどっぷりと浸かっていたので、この鼻が同類を嗅ぎ分けているのではないかと思っているのだが、果たして。
 
  
 
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