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ラジアータ・ストーリーズ (レビュー)

「Rの悲劇」
  ・・・名作になり損ねた作品の悲哀

ラジアータ・ストーリーズは、いろんな意味でバランスの悪いゲームだと感じた。

個々に挙げてみると・・・
 
 
・総勢177名の仲間
仲間たちは全員に細かな性格付けがされ、バトル中のモーションも、そのキャラらしい動きを与えられている。これは、すごいことだ。
がっ!その仲間がストーリーにまったく絡んで来なかったりするもので、非常に影が薄い。
仲間に入れるのはけっこう手間がかかるのに、使う場面が無い。使う魅力も無い。
そんなキャラがごろごろ居ても、なんの意味も無い。
少しでもストーリーに絡んでくる、印象に残るキャラが数10人も居れば十分だったのではないか?
 
 
・バトル
「主人公以外のキャラが装備変更できない」とか、「仲間を操作できない」などというのは、マイナス要素ではあるが、大した問題ではないと思う。
ほとんど○ボタン連打でなんとかなってしまうのも、別に構わない。RPGで複雑な操作なんてしたくない。
ただ、どうにも、テンポが悪いのは困りもの。
バトル中にイラつくことが良くあった。
具体的に挙げると、多すぎて大変なことになるので、省略。
 
  
・ストーリー
コミカルで軽快なセリフ回しなどに見られるセンスは、悪くないと思うが・・・

物語を構成するパーツは、あちらこちらにとっ散らかったままで、ほとんど解決しない。
かろうじて解き明かされる部分についても、誰かがサラッと語るだけ。
あげくの果て、プレイヤーを待ち受けているのは「何がどうなったのかサッパリ分からないエンディング」だ。
「結末がどうなったかはプレイヤーの判断に任せる」とでも言いたいのだろうか?
だいたい、このストーリーで、何をどう判断しろというのだろう?

主人公たちの意志が見えにくいのも、(好意的に解釈すれば)「宿命」だの「秩序」だのといったものに縛られる者たちの苦しみや悲しさを描こうと試みたためなのかもしれない。
でも、それを納得させるだけの力は、このシナリオには無い。

結末が大団円でもなくてもいい。
複数の異なる結末が用意されていたって、ぜんぜん構わない。
その結末を受け入れるに足る「過程」が、しっかりと描けているのなら。
 
 
・分岐
最初から「分岐ありき」で作られたシナリオなのか、途中から無理矢理2つに分けたのかは知らないが、この「分岐」に関しても首を傾げてしまう。

勧善懲悪でスッパリと割り切れる物語ではないため、それぞれの立場から物語を見せようという意図があったのだろうが、「分岐」することで、どちらの物語も内容の薄いものになってしまっている。
「分岐前」と「分岐後」のバランスが悪いのだと私は思うのだが、どうだろう?
「分岐前」が長過ぎて、繰り返しプレイしていると飽きてしまうし、「分岐後」は壮大なストーリーをまとめるには、あまりに短かすぎる。
分岐の位置を、もっと前か、逆にもっと後ろにずらせば、物語を語る時間はタップリ得られたと思うのだが。
 
 
・仕様
全体的にプレイヤーに対する配慮が欠けた理不尽な仕様になっている。

「仲間集め」や「依頼」といった要素は面白いし、時間経過や「寝る」ことによってストーリーが進行して行くという仕組みも、それ自体は悪くないと思う。

ただ、その2つが上手くかみ合っていないことが問題。

「仲間集め」には微妙なタイミングを要するにもかかわらず、プレイヤーの予期しないところで勝手にストーリーが進行してしまい仲間にし損ねてしまう。
仕方なく、1つ前のセーブデータに戻って、またやり直し・・・これでは、ストレスは貯まるばかり。

そして、 誰もがご指摘のとおり、セーブポイントが少な過ぎる。
ストーリーが進むフラグも「寝る」ことだったり「自室に入る」ことだったり「時間経過」だったりとまちまちで、勝手に物語が進むのが怖くて、おちおち家にも帰れないという不健康なシステム。
うっかりすると、平気で2〜3時間のプレイが水泡に帰す危険性をはらんでいるのだ。
プレイヤーの誰もが、時間と堪忍袋に余裕のある人ばかりではない。
 
 
批判的なことばかり書いているが、このゲームは決してダメダメなゲームではないのだ。

ラジアータ・ストーリーズは、例えて言うと
「いい素材を用意したのに、組み合わせと調理法を間違えて、せっかくの素材を台無しにしてしまった」
そんなゲームなのではないかと思う。

美しい背景や部屋の内部の家具・装飾や主人公の装備品、NPCの性格付けや日々の行動など、すごく良く作り込まれている部分もある。

評価できる部分もたくさん有るにもかかわらず、ここまで酷評されてしまうのは、良い部分が生かされず、悪い部分ばかりが目についてしまっているからではないか。

あれこれ文句を言いながらでも、何10時間もプレイさせ、攻略日記まで書かせてしまうのだから、決して面白くないゲームではないはずだ。
だからこそ、残念なのだ。
作り方によっては、名作になっていたかもしれないのに・・・
   
 
 
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