「うつくしい子ども」 石田衣良 著
石田衣良という名前は、ずいぶん前から気に留めていたのだけれど、これまでなんとなく読みそびれていました。
今日、外出するのに文庫本を持って出るのを忘れて、慌てて飛び込んだ駅前の書店で、なんとなく手に取ったのがこの本でした。
そして、あっという間に読破。
大当たり!でしたぁ。
痛い・・・読んでいて、とっても、痛かった。
主人公である幹生くんが切なくて、いじらしくて、何度も泣きそうになった。
ある日突然、殺人を犯した「少年A」の兄という重荷を背負うことになってしまった少年を中心に、物語は展開して行く。
彼は弟を理解するために、弟の軌跡を追い始める。
少年や彼を支える友人たちの、ピュアな感性が、また、痛い。
そのうち、事件は思わぬ方向に展開して行って・・・このあたりからミステリー調になっている。
少年は次々と悲惨な仕打ち受けることになるのだけれど、それに耐え、自分なりの方法で前に進もうとする姿は、悲しいくらいに一途で優しい。
ほんとうに「うつくしい子ども」なのは、ジャガイモのジャガと呼ばれる幹生くんなのだ。
つるりとした肌の「夜の王子」ではなく。
好きな小説のリストに、この小説が新たに加わることは間違いないです。
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