カテゴリー「モノノ怪」の15件の記事

2007.10.08

「モノノ怪」 総評

締めくくりに全話通しての感想をば。

私が薬売りに出会ったのは、「モノノ怪」放送開始直前の「怪〜Ayakashi〜 化猫」一挙再放送でした。
そして、それまでに見たことの無い、不思議な映像に度肝を抜かれました。

和紙のテクスチャを使った、あたたかみのある質感
陰影を使わずに遠近感を持たせる、浮世絵的手法
色数は多く、でも微妙に抑えられた色調
あくまで「和」でありながら、所々に西洋的であったり大陸的であったりするモチーフが顔を覗かせる
・・・等々。

まだ「怪〜Ayakashi〜 化猫」では実験的に使われていたあらゆる表現が、この「モノノ怪」で磨きがかかり、いわば「モノノ怪ワールド」が完成されたと思います。
 
 
今回の5作品を自分の好きな順に並べると
「座敷童子」>「化猫」>「のっぺらぼう」>「鵺」>「海坊主」
になります。
「鵺」と「海坊主」はストーリー的にはどっちもどっちなのですが、演出面では「鵺」の方が良かったので、この順番になりました。

第一話放送からだいぶ時間が経ってしまっているので、ザックリと各話ごとの感想を書いておきます。

「座敷童子」
「雨粒が花」には感動しました。
随所に象徴的な表現を効果的に使っていて、映像面でも良かったです。
モノノ怪の「理」が一番心に迫って来て、唯一泣けてしまったお話しでした。
ストーリー自体はきわめて単純なのだけれど、少々説明不足かと。
「怪〜Ayakashi〜 化猫」を見ていない人には、意味不明だったのではないでしょうか。
薬売りが退魔の剣を抜くと姿が変わることとか、モノノ怪祓いグッズの使い方とか、「説明は極力省く」という基本姿勢をとるにしても、最低限説明しなければならないものはあります。
その点でいうと、この話しはシリーズの最初に持って来るべきではなかったと思います。

「海坊主」
逆に、こちらは説明しすぎ。
とにかく全部セリフで片付けてしまった感があって、自分はあまり面白いとは思いませんでした。
そのセリフ自体も、印象的なものはあまり無く、逆に無理矢理言わせているようなセリフが気になって仕方ありませんでした。
話しの内容も、まったく共感できませんでしたし。
キャラクターはこれっきりにするには惜しいほど、粒ぞろいだったんですけどね。
映像的には、背景がゴチャゴチャしすぎ。
「映像で見せる」という点では、あまりにも普通でした。

「のっぺらぼう」
とにかく、難解。
見る人によって、いくらでも違う解釈が出来てしまいそうです。
最終的な解釈を見る人に委ねるというのも悪くはないのですが、けっきょく作った人が何を言いたかったのかがよく分からないのでは、作品として世に送り出す意味が無いのでは?
1人の女性の心象世界を題材にしている点は好きです。

「鵺」
あまり馴染みの無い「香道」を題材にしたチャレンジ精神は認めますが、いきおい、説明セリフが多くなってしまい、見ていてダレました。
鵺がハロウィンのカボチャに見えたのは自分だけでしょうか?正直言って、興ざめです。
モノノ怪の姿形は曖昧模糊としている方が、このアニメには向いているような気がするのですが。
モノクロームに近い映像と、鮮やかな色彩を使い分けての演出は見事だったと思います。

「化猫」
表現としては、これが完成形といえるかもしれません。今回5作品の中で、一番怖かったです。
恐怖を盛り上げる音の演出も、まさに「効果音」でしたし、極限状況下の乗客たちが勝手に喋りまくっている様子も実に効果的。シナリオはこれが一番良かったと思います。
話しの筋は実に単純で、それを映像でしっかり見せてくれたという点で好感が持てます。
ただ、その単純な話しがきわめて現代的であるが故に、あえてその話しを「モノノ怪」でやる必要があるのかどうか、その判断によって評価は大きく分かれることになると思います。
私は「ある」と考えたので、この「化猫」はとても好きです。
モノノ怪となった節子さんだけでなく、ハルさんやチヨちゃんの「情念」まで描いてくれたことも、好きな理由のひとつ。
 
 
さて、なんか、どちらかというと否定的なことばかり書いてますが・・・
基本的には好きなんですよ。モノノ怪が。
だから好きなところを書いくとキリが無いので、少々気になる点を突ついてみたというわけです。

ストーリーとしては、やっぱり「怪〜Ayakashi〜 化猫」が一番好きです。
今回のは、少しばかり話しをややこしくし過ぎているような気がして。

物語の骨子は単純に。
でも、モノノ怪を生んだ「人の心」は深く掘り下げる。
そして、それを映像で魅せる。

私は、それを「モノノ怪」に求めていたのですが、それが一番叶えられたのが「座敷童子」だったかな、と。
タッチの差で「化猫」
「のっぺらぼう」は、もう少し分かりやすかったら、一番好きだったかもしれないテーマなんですけど。
 
 
「モノノ怪」で語られる物語の主軸は、あくまでモノノ怪とそれを取り巻く人たちにあります。

普通の妖怪退治ものであれば、主人公が妖怪を退治する場面が最高の見せ場になるはずなのですが、この「モノノ怪」の退治シーンは実にアッサリとしたもので、下手すりゃそこだけスポンと抜け落ちていたりします。
痛快な妖怪退治ものを求めている人にとっては、これほどつまらないアニメも無いでしょう。

大事なのは、モノノ怪を斬るために真実に迫っていく過程や、徐々に近付いて来るモノノ怪に恐怖する人たちの姿。
それらを描くことで、人間の醜さや愚かさを暴き出し、悲しいモノノ怪の「理」への共感を呼ぶ・・・
たぶん、そのへんを読み取れないと、ちっとも面白くないでしょうね。
面白いと感じるかどうかは見る人次第・・・
たまにはそんな作品があっても悪くないでしょう。

「アニメは子供の見るものだ」などという固定概念を捨てて、オトナの人にこそ見て欲しいアニメだと思います。
 
 
モノノ怪の魅力のひとつとして欠かせないのが、「薬売り」
なんなんですかね、あの存在感。
櫻井さんの声質もピッタリだし、なぁんか人を小馬鹿にしたような口調も、ここぞという時にはビシッと厳しい口調に変わるところも、実に魅力的でした。

ただ、話しによって薬売りのキャラがどうもブレがちで、クールなんだか間が抜けてるんだか冷酷なんだか優しいんだか、ホントにつかみ所が無くて困っていました。
でも、最近、それはそれで良いのかもしれないと思うようになりました。
この人は、主人公というより狂言回し(物語の進行役)なんですよね。
名前も無くて、ただの「薬売り」ですし。
もちろん、推理小説に登場する探偵のように、「狂言回し」が強烈な個性を持っている場合もありますが、薬売りに関してはビジュアルだけで既に強烈なので・・・多少性格がブレても特に大きな混乱はありません。

退魔の剣を振るう者が、あの「薬売り」というカタチをとっているだけのこと。
特定の個人である必要は無いのかも。

そう考えたら、物語に応じて微妙に個性が変わっても、時代を飛び越えて存在していたりしたとしても、ぜんぜんオッケーです。

薬売りの正体も退魔の剣との関係も、一切うやむやなままに終わってしまったのも、いかにも「モノノ怪」らしくて良かったです。
その割には、最終話で締めのセリフ吐いてたけど。
あれ、要らなかったかも。
ネコを撫でてニコッと笑ったところで終わってたら、もっと良かったのに。
 
 
これだけヘヴィーな作品となると、作る方も大変でしょうが、見る方もしんどい。
もっと見たいのに・・・と思う、1クールで終わってくれて、ちょうど良かったのかもしれません。
でも、薬売りさんにもう会えないのは、実に寂しいです。
忘れた頃に1クールだけとか、三話完結の単発モノでもいいから、帰って来て欲しいです。
ええ、ぜひとも帰って来て下さい。何食わぬ顔で!

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2007.09.30

モノノ怪 第十二話「化猫 大詰め」

今回も、あらすじ吹っ飛ばしていきなり感想にまいりますよ。
ネタバレ大盤振る舞いですので、まだ視聴していない人はスクロール厳禁でお願いします。
 
 
 
 
 
今回は、これまでと打って変わって、実にストレートな話しに仕上がっていました。
2時間ドラマとかで、普通にやっていそうです。
ありそうでしょ。
大物政治家のスキャンダルのネタを掴んだジャーナリストが、そのネタを上司に握り潰され、そのうえ命まで狙われる・・・なんてハナシ。

そう。節子さんの上司、新聞記者の森谷は市長とグルでした。
そのへんは、おおかた予想がついていたんで驚きもしなかったし、だからこそまだ他に何かあるんじゃないかと思ったわけなんですが。
かといって、今回の話しが拍子抜けとか、物足りないとか、そういう感じは受けませんでした。
「怪 〜Ayakashi〜 化猫」や「座敷童子」などに見られたモノノ怪の悲哀は、今回の「化猫」からは感じられません。
でも、同じく悲哀が伝わって来ず、私としてはどうも共感できなかった「鵺」ともまた、ぜんぜん違う。

この「化猫」は、「悲しさ」ではなく「悔しさ」で出来ているのね。

女性の社会進出など夢のまた夢だった時代に、現在でさえ「男の仕事」的イメージのある新聞記者などという職業に就いていた節子さん。
キツい物言いで上司に食って掛かったり、他の女性を見下したりして、男性からも女性からも共感は得られなさそうな人物です。
でも、自分に記事を全て任せてもらえることになると、思わず泣き出してしまいます。
キツいだけの女性ではないんです。

彼女は、必死だっただけ。

彼女は新聞記者という道を選び、その道で生きて行くために、相当気を張っていたのだと思うのです。
必要以上に強い態度をとらなくては、バカにされる。
男の人の何倍もの努力をしなければ、一人前として扱ってもらえない。
そういう想いが、彼女にあのような言動をとらせていたのだと思うのです。

決して賢いやり方ではありません。
頑張り過ぎるあまり、余裕を失い、大事なことを見失っているその姿は、愚かで醜い。
でも、彼女の気持ちは、私には良く理解できるのです。

あの陸橋で、抵抗をせず、諦めてしまえば命を落とすことは無かったでしょう。
でも、彼女には、それが出来なかった。
悔しくて、悔しくて、悔しくて、抵抗してしまった。
迫って来る列車の音を聞きながら、彼女が流したのは悔し涙だったはず。
 
 
節子さんは、徹底して新聞記者でした。
時々、ハルさんやチヨちゃんや、自分自身の感情が原稿用紙に描き込まれる表現が出て来ます。
あれは、節子さんが新聞記者だから。
自分の見聞きしたことを、原稿用紙に書き込むという行為が染み付いてしまっているのね。

それから、序の幕の時から聞こえていたシャッターを切る音。
乗客たちの顔がアップになったりすると、カシャカシャっと鳴ってて、なんでだろう、なんでシャッターを切る音なんだろう、地下鉄とカメラは関係ないだろうに・・・って不思議に思ってました。
あれも、節子さんが新聞記者だったからだったのね。
市長が料亭からでて来るところを、節子さん自身が写真に撮っていたのを見て、やっと分かりました。

節子さんは、化猫になっても、乗客たちの様子を「取材」していたんだわ。

二の幕で、薬売りさんは「真」を知りたがるモノノ怪って、言っていましたよね。
なので、節子さんも自分が死んだ理由が分かってないのかもしれないと、私は考えてたんですが、そうではありませんでした。
節子さんは、この事件に関わった人たち全員の「真」を知りたかったんでしょう。
犯人かもしれない人物を目撃したのに、証言してくれなかった。
言い争う声を聞いていたのに、証言してくれなかった。
でまかせに適当なことを言ったり、思い込みでいい加減な捜査をしたり、ぼんやりしていて線路上に倒れている人に気付かなかったり・・・
彼らのそういった行動が全て絡み合って、節子さんの死が「自殺」とされてしまったわけです。

化猫・節子さんの「真」は、市長の汚職を暴こうとした節子さんが殺され、真実が闇に葬られてしまったこと。
それだけではなく、そうなるに至った要因を全部ひっくるめて、化猫・節子さんの「真」なのでしょう。
 
 
自分の死に関わった、すべての「真」を知りたい。
そして、真実を世の人々に伝えたい。
それが、化猫・節子さんの「理」

真実を知り、それを伝えることは、ジャーナリストの使命。
この化猫は、いかにも、新聞記者・節子さんらしいモノノ怪といえます。
 
 
殺された恨みを晴らすだけなら、何も舞台を現代にする必要は無かったでしょう。
「怪 〜Ayakashi〜 化猫」のタマキさんも、男たちに踏みにじられた悲しい女性でした。
モノノ怪の「化猫」節子さんの場合も、女性であったがゆえに引き起こされた悲劇。
そして、どちらもその強い情念から同じようにモノノ怪・化猫を生み出した。
でも、2人の情念は違う。
ただひたすらに耐え、あやかしの力を借りてやっと苦しみから解放されたタマキさん。
対して、男性と対等になろうと必死に足掻いていた節子さん。
節子さんの抱いた情念は、この時代だからこそ成立するものです。(逆に、平成の世でも、また違って来る)
同時に描かれていた、、チヨちゃんやハルさんの情念もまた、現代っぽいです。

本編中に出て来た時計の針が戻る演出は、化猫が「理」を伝えるために、時間を巻き戻していたことを表現していたんですね。
森谷の本心を暴き出すために、過去にさかのぼり、それを薬売りが見届ける。
(森谷がベラベラ喋るだけで片付けられなくて、本当に良かった)
「怪 〜Ayakashi〜」の化猫も、人間たちがなかなか口を割らないから、自分の力で薬売りに過去の映像を見せて「真」と「理」を伝えてくれました。
そのへんで、ちらっと繋がりを持たせているあたり、心憎いです。
繋がっていないようでいて、実は、やっぱり繋がってる。

モノノ怪はいつの時代にも、カタチを変えて存在しうるのだということを伝えたくて、モノノ怪版「化猫」の舞台を現代に選んだのでしょう。
そこに、現代でしか描くことの出来ない「情念」を絡めて来た。
テキトーに薄っぺらいエピソード並べてるだけじゃぁない。
さすが、モノノ怪。奥が深いよ。
 
 
最終話とあって、薬売りさんの見所も満載でした。
ゲシッと化猫に引っ掻かれて頭巾を破られ、前髪が乱れるあたりなんて、最高。
その前髪の隙間からの眼差しが、また、えらくカッコいいんだ。
変身シーンも、すごかった。
美しかったし迫力あったし、大満足。
あの空間全てが化け猫の中っていうのも、よかった。
画面いっぱいに広がる化猫は大迫力。

いや、ばさーーーーーーっとやった瞬間にエンディング行っちゃった時は、唖然としてしまいましたが。

待てぇーーーい!!!ですよ。

ホントに、なんという人騒がせなことをするのですか・・・
 
 
乗客のうち、さほど罪は重くないと認定された人たちは、死んではいなかったのですね。
刑事も生き残っているところを見ると、単にいーかげんな仕事をしただけであって、市長と裏で繋がっていたというわけでは無かったようです。疑ってゴメンナサイ。
ただ、この人たちが生き残ったのは、化猫の温情ゆえではないと思います。
全員殺してしまったら、真実は闇の中に隠されたままになってしまいますから。
市長の不正を公にするために、自分の死の真相を知る証人と、隠蔽されてしまった真実を捜査する人物を、あえて残したのでしょう。
それにより、市長の汚職の一件が新聞記事になり、「真実を伝えたい」という節子さんの「理」は、完全に叶えられたのです。

猫も無事でよかった。
たまたま、あの場に居合わせて節子さんの血を舐めてしまったせいで化猫になってしまっただけで、猫には罪は無いもんね。
やっぱり、退魔の剣は、あやかしと人の情念のつながりを断つだけなのよ。うん。
猫をナデナデしてる薬売りさんの優しげな横顔が良いねー。
そんな顔、できるんじゃん。
 
 
あやかしは、常に世に在るもの。
人に心がある限り、憎しみ、悲しみ、恨み、怒り・・・そういった情念も生まれ続ける。
情念とあやかしは結びつき、モノノ怪は生みだされる。
しかし、この世に在ってはならないモノノ怪は、斬らねばならない。
故に、退魔の剣とそれを振るう腕もまた、在り続ける。

薬売りの仕事は、いつまでたっても終わらない。
 
 
とはいうものの、終わってしまいました、モノノ怪。
ウンウン唸って感想を書いてるのも、それはそれで楽しかったですから、それが無くなってしまうと思うと、はぁ・・・ひじょーに寂しいです。腑抜けます。

こんな超長文を読みに来て下さった皆様、本当に、本当にありがとうございました。
これでも、だいぶ削っているんですよ。
書ききれなかった分も含めて、全編を通した「モノノ怪」総評を書いて、わたしの「モノノ怪」は終了にしたいと思います。
そうやって、まだズルズルと「モノノ怪」にしがみついていたい。
それが私の「理」だったり?
 
 
  
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2007.09.22

モノノ怪 第十一話「化猫 二の幕」感想

[あらすじ]
迫り来るモノノ怪の正体は、化猫であることが分かった。

先頭車両に集められた者たちが共通して関わっていた、ある女性記者の死。
その女性記者は地下鉄の開通を巡る市長の汚職について調べていたという事実が明らかになり、自殺として片付けられていたその死因が殺人である疑いが濃厚になる。
そして、先頭車両に集められた者たちの言動が、この事件が「自殺」と判断される要因となっていたのだった。

1人、また1人と、化猫によって消されて行く乗客たち。
そして、最後に残った者が語る「真」とは・・・
 
 

***

毎回、冒頭の口上も楽しみのひとつ。
今回の薬売りさんの口上は、なんだかいつもより気合いが入ってたような。
これまでの集大成と言わんばかりに、モノノ怪の成り立ちやら、退魔の剣を抜くための三つの条件とか、力いっぱい語ってましたね。
刃は祓う。因果と縁を・・・か。
因果とは、原因と結果。
縁とは、つながり。
退魔の剣で斬っているのは、モノノ怪自体(だいたい、モノノ怪に実体ってあるの?)というよりも、モノノ怪を生んだ「人の情念」と、「あやかし」の結びつきだというアタシの解釈も、間違ってない気がして来ましたよ。
斬ってるのはそれだけじゃなく、モノノ怪の「真」に関わった人たちとモノノ怪との「縁」も斬ってるのかもしれんな。
それ以前に、モノノ怪にとり殺されてる人も居るけど。
特に今回は・・・
関わった人、片っ端から削除されてしまいました。
 
 
化猫は、「真」を知るために、この乗客たちをここに集め、近付いて来たようです。
ということは、どうして化猫になったんだか、自分でもよく分かっていないってこと?
死んだ女性記者・節子さんも、自分が殺された理由がハッキリしていないってことなんだろうか?

薬売りが乗客たちの話しから導き出した「真」は
節子さんの死は、作られた自殺であったということ。

彼女は地下鉄開通を巡る市長の汚職について調べていた。
その事が表沙汰になるのを恐れた、何者かの犯行、ということになるのでしょうか。
ただ、(実行犯かどうかはともかく)最も疑われそうな立場の市長が真っ先に消されているので、他にも何か理由がありそうな気がします。
 
 
まず、このよく吠える刑事は誘導尋問をしていたようです。
節子さんの死を「自殺」と断定するのに有利な証言を引き出すために。
もしかしたら、市長からそうするように命じられていたのかもしれません。
列車が止まり、何処かの駅に着いたと安心して刑事が扉を開くと、そこに待っていたのは化猫の爪。
駅のホームには、市長の亡骸も・・・
そこに、刑事が加わる。
 
 
乗客の皆さんの顔色がすごいことに。
ピンクだの、ムラサキだの、緑だの・・・
あっちこっちで悲鳴が上がり、どたばた逃げ回り、列車内はパニック状態。
そんな中で、おっそろしいくらいに冷静な薬売りさん・・・
「勝手に出たら、命の保証は・・・ありませんよ」と、ニヤッ。
化猫も怖いが、アナタも怖いですぅぅぅ!
アナタは、一体誰の味方なんですかっ?!

・・・誰の味方でもないのよね、この人。
ただ、モノノ怪を斬りに来てるだけ。
そして、モノノ怪を斬る理由は、
この世に在ってはならないものだから
ただ、それだけなんですよね。
 
 
乗客の中で唯一、猫を抱いた女性の姿が見えると言う新聞配達の少年。
彼は目撃者だった。だから彼女の姿が見える。
彼は陸橋から誰かが走り去るのを見ていた。
でも、深く考えずに、証言することも無く、そのまま忘れてしまっていた。
少年は目を掻きむしる。そして、列車から消える。
彼の場合は、「目」が災いの元というか、犯人かもしれない人物を見ていたにもかかわらず、ちゃんと証言してあげなかったから目が痒くなったのね。
目撃者の証言なんて、アテにならないのは現実にもよくあること。
まして、子供。遊んでるうちに忘れちゃうよね、普通。
それなのに殺してしまうのは、ちょっと可哀想な気もするけれど・・・

モノノ怪には人の道理は通用しないのでした。

「許さない」という声が聞こえるのは、主婦のハルさんだけ。
彼女は、節子さんと誰かが争う声を聞いていた。
だから彼女にだけは声が聞こえる。
彼女は自分の浮気の発覚を恐れて、聞いていたのに、何も聞かなかったことにしてしまった。
だから、耳が痒くなる。

加世ちゃんに生き写しだからというだけの理由で、全く罪が無いだろうと勝手に思い込んでいたチヨちゃんは・・・
自分が目立ちたいというミーハー根性ゆえに、口から出任せに適当な証言をしていた、と。
だから、口が痒くなる。

この三人が適当なことを言ったり、大事なことを言わなかったりしたおかげで、節子さんの事件は「自殺」にされてしまった。
というわけで、化猫の恨みを買ったのでした。
 
 
新聞記者は、節子さんが重要なネタを持って来たのに、それを握りつぶし、記事にしなかった。
書かなかったから、鉛筆を持つ腕が痒くなり・・・そのうち全身が痒くなって・・・削除。

運転士は、列車の平常運行を優先して、節子さんを轢いたにもかかわらず列車を止めなかった。
だから、削除。
足が痒くなるのは・・・移動手段のことを「足」って言うから、で良いのかな?

そして、また、誰もいなくなった・・・

1人残された薬売り。
後方から近付いて来る足音。
(ここ、怖かった・・・)
退魔の剣を取り出し、待ち構える。
ガラリ、と、ドアが開いて入って来たのは・・・新聞記者でした。

おかしいなと思ったんだ。
なんでこの人は全身が痒くなるの?って。
節子さんとの関わりは一番深そうだし、前回、女性蔑視的な発言もしていたし、一番常識人っぽい顔して実は相当えげつない事やってたりして・・・
化猫のここまでの暴れっぷりからして、かなり根は深いと読んでいるんだけど、どうなんだろう。
 
 
今回は、ひたすら乗客たちから事情を聞き出すだけで大した動きがありませんでしたが、その単調さを補うかのように演出面で変化をつけて楽しませてくれました。
不気味な演出も怖いんだけど、取り乱す乗客たちの姿も、恐怖感を増長させるのよね。
いかに、あの車内が尋常でないかが、よく伝わって来ました。

また、他人が怖がっている様子って、客観的に見ていると滑稽でもある。
ハルさんとチヨちゃんのヒステリックな言い争いなどは、「今、そんなこと言ってる場合じゃないだろー!」って感じで、ウッカリ笑ってしまいました。
 
 
次回、どんな展開および結末が待っているのやら。
なかなか手強そうなモノノ怪ゆえ、薬売りVer.2の大活躍も見られるか?
楽しみでもあり、これが最終話かと思うと寂しくもあり・・・複雑。
 
 
 
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2007.09.15

モノノ怪 第十話「化猫 序の幕」 感想

[あらすじ]
地下鉄の開通を祝う人々でにぎわう福寿駅。
駅のホームは一番列車の入線を待つ招待客たちと、歴史的瞬間を一目見ようと駆けつけた見物人たちでごった返していた。

午前十時。
大勢の招待客を乗せて、いよいよ列車は動き出す。
しかし、順調に走行していたかと思われていた列車は急停止。
ふと気付くと、別々の車両に乗っていたはずの数人だけが、先頭車両に集まっていた。

他の乗客たちが後続車両ごと姿を消していることに皆が気付いた時、車両は再び動き出し、その弾みで市長が車両から転落してしまう。

お互いに面識は無いと思っていた乗客たちは、実は一つの事件を巡り、接点があった。
その事件とは、1人の女性新聞記者の轢死。

モノノ怪に選ばれし乗客たちを乗せた先頭車両は勝手に走り続け、怪しい気配が車両を包む。
少年は、猫を抱いた女性の姿が見えると言う。
どこからともなく聞こえて来る猫の鳴き声。
そして、あるはずの無い後部車両から乗り込んで来た薬売りは告げる。
「化猫だ・・・」と。
 
 

***

チンドン屋!?

ええ、確かにそうでしょうとも。
あの着物、ただでさえ派手なのに、時代は移っても相変わらずの格好・・・
(ピアスと指輪で変化つけて来たけど、その程度じゃ追いつきませんって)
うん、でも、よかった。
時代が下るんで、薬売りがどんな格好で出て来るのかと心配してたんですよ、実は。
黒スーツなんかで出て来ちゃったら、ホストみたいで嫌だなぁ、とか。
堂々と同じ格好で登場してくれたので、ホッとしました。
っていうか、薬売りさん、全体的に少し色が薄いですよね、今までと比べて。
帯だけは、やたら黒いし。
なんか意味あるのかな?
このアニメってムダな演出が無いから、つい深読みしたくなってしまう。


史実によると、日本で最初の地下鉄は今の東京メトロ「銀座線」
開通したのは1927年(昭和2年)で、最初は浅草〜上野間のみ(今だと、10分足らずで着いてしまう距離)の運行だったそうです。
というわけで、このお話しの時代設定も、だいたいそのあたりかと。
なんとなく、もう少し大正寄りかな?って印象は受けましたが、気にしないことにしました。
だいたい、このアニメって元々時代考証がテキトーですから。
いや、良い意味で言ってるんです。
時代を軽く超越してるところも、このアニメの特徴の一つなんで、そこに難癖つけるのは野暮ってもんですよ。


まだ「序の幕」ということで、今回はメインキャラの紹介と立ち位置の確認程度で終わってしまったので、ストーリーの詳細については今後の展開に期待!ということにしておきます。

引っ掛かったのは、列車が急停止したあと、発車5分前の駅のシーンに戻ったところ。
なんだったんだろう、あれ?
気になるけど、今のところ、どういう意味なのか、ぜんぜん分かりません。
先頭車両だけ、亜空間に落ちてしまったのか???
ねじ曲がった空間を越えて、車両を移動して来た薬売りさん???
まぁ、あの人はなんでもアリなので・・・いいです。気にしません。
  
「怪 ayakashi 版 化猫」のメインキャラとそっくりなキャラが顔を揃えているので、今回の「化猫」とつながりがあるのかどうかも気になるところですね。
いや、もう、「アンタ、アイツの生まれ変わりでしょ?」と言いたくなるような顔ぶれですから。(小田島様はどこへ行った?)
前世の因果と縁で結ばれた人々がぁぁ、時を経て再びこの列車で顔を合わせぇぇぇ〜〜〜
とか、言い出す可能性も無きにしも非ずですが、自分としては、あんまりそっちの方面に走って欲しくはないです。

確かに似たようなルックスのキャラが出ていますけれど、それは深く考えなくても良いような気がします。
そこに何らかの物語的つながりがあるのではないかと深読みさせておいて、実は何にもありませんでしたー!というオチで、まんまと視聴者をはめて作り手がニンマリする・・・そんな筋書きだと自分は推理しているんですが。

ただ、物語としてのつながりは無くとも、何らかのメッセージが仕込まれているとは思うのね。
一度やった「化猫」を、あえてもう一度持って来る。
しかも、シリーズのフィナーレを飾るポジション。
しかもしかも、時代設定を変えて来た。
そこに、強烈な意図を感じるわけです。
ひとつのシリーズ物の中で同じ素材を使うのは、暴挙と言っても過言ではないと思うので、それをやるからには、それ相応の意味があるはず。
「モノノ怪」として帰って来るにあたって、スタッフの人たちが一番やりたかったのは、たぶんこれだったんだろうな、と。
なんかね、見ていて、そんな熱意を感じましたよ。
 
 
しかし、怖いですね、今回は。
今までで、一番怖いんじゃないでしょうか。
冒頭の「許さない・・・許さない・・・」からして既に相当怖かったんですが、モノノ怪の恐怖が迫って来る様子が、そこかしこで上手く表現されてました。
その他大勢の人たちがマネキンなのも、不気味さを醸し出すのに一役買ってますが、それだけじゃない。
チラッチラッと、不気味映像が挟み込まれていたり。
たくさんあったので、ひとつひとつは挙げませんけどね。

でも、自分がもっと感動したのは、BGMも含めた「音」
まさに「効果」的に音が入ってて、怖ぇぇぇっ!
後ろの車両が消えてるのに気付いた時の、ごぉぉぉっと風が吹き抜けて行く音・・・
みんなが沈黙していて、車両がゴトゴトいっている音だけが聞こえているのも・・・
薬売りが下駄を鳴らして車両を移動して来る、その足元だけのカットも良かったですが、そのバックに流れてる曲も・・・
怖いっ。
これなのよ、これ。こういう「恐怖」を、やって欲しかったのよ。
恐怖が背筋を這い上って来るよう感じ・・・とでも表現したら伝わるでしょうか。
そんな演出面での力の入りようからも、スタッフの熱意が・・・
いや、べつに、今まで手を抜いてただろって言ってるわけじゃないですよ、滅相も無い。
 
 
今回は、薬売りが先頭車両に移動して来る場面が、特に気に入りました。
乗客たちが恐怖と不安におののく中
近付いて来る足音。
何にも知らない乗客たちの不安そうな表情。

でも、見ているアタシはアイツが来ることを知ってる。

・・・来る、きっと来る。
薬売りさんが来て、きっとなんとかしてくれる。

がらっとドアが開いて・・・

来たぁぁぁっ!って感じ。

ぜんぜん、正義の味方っぽくないんですけどね、ええ、まったく。
本人、助けに来たつもりは毛頭も無く、単に自分の仕事をしに来た、というスタンスなので。
いいんですよ、そのマイペースっぷりこそが薬売りさんなのですから。
 
 
これまでのエピソードが、江戸時代のどの辺りなのかもハッキリせず、そもそも江戸時代なのかどうかもよく分かりません。
ただ、「なんとなくあの辺り」な時代から、地下鉄が開通するような時代まで全く老けずに存在している人間なぞ居るわけが無いのは確実。
薬売りは、どう考えたって、人間じゃねぇよな・・・と、言いたいところなんですが、この人、自分で人間だって言ってるんですよね。
「怪 ayakashi 版 化猫」の中で、退魔の剣について誰かに尋ねられて、「剣を操るのは人。俺の技量にも限界がある(だから万能ってワケじゃない)」と答えてるんですよ。
つまり、剣を操ってる「俺」は「人」ってことでしょ。
(そういえば、あの頃の一人称は「俺」でした)
なんなんでしょね、薬売りさん。

実はね、アタシは「薬売りさんタイムトラベラー説」を打ち立ててみたのです。
不老不死なのではなくて。
退魔の剣の力でもって、モノノ怪の気配を追って時間を飛び越えてしまえたりなんかしちゃうんですよ。
今回、なんとなく色が薄く見えるのは、本来居るべき時代から遠くに来過ぎてしまったからなんですよ。
いやぁ、少々遠くまで飛び過ぎてしまいましてね、うっかり、うっかり(棒読み)
・・・なんてね。
いえいえ、これはアタシの妄想です。冗談です。根拠無しです。本気にしないで下さい。ごめんなさい。

いいですよ、べつに薬売りさんが何者かなんて、明かしてくれなくて。
そりゃぁ、気にならないわけじゃないけれど、謎は謎のまま終わってくれた方が、らしくて良いですから。

と、なんとなく、終わりを意識したこと書いてますが、だって、あと2回ですよ、2回!
どうしましょ。
モノノ怪が終わってしまったら、魂抜けます、たぶん。
既に、終わってしまった時のことを考えただけで気分が凹むという、かなり重篤な症状が出ております。
どうしましょ。
 
 
 
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2007.09.08

モノノ怪 第九話「鵺 後編」感想

盛大にネタバレしてますので要注意ですよ。
特に今回は!!!
本編を見る時の楽しみが大きく削がれますので、まだ見てない人は急いで逃げて下さい。
 
 
[あらすじ]
東大寺を手に入れるため、薬売りを香元に据え、聞香を再開する3人の男達。
しかし、聞香が進むにつれ、1人、また1人と、薬売りによっておぞましい幻を見せつけられ、男達は消えて行く。
薬売りの謎の行動は何を意味するのか。
そして、ただ1人香席に残った薬売りの前に、ついにモノノ怪がその姿を現す。
 
 

***

まず、前回から話題になっていた「東大寺」について。
これは通称で、正式名称は「欄奈待」
それを手にした者は天下人となるという伝説付きの、貴重な香木とのこと。
正倉院におさめられている「欄奈待」には、足利義政や織田信長が切り取ったという跡が残っているんだとか。
そして、実は「欄奈待」はもう1つあり、それを持ってるのがこの笛小路家の瑠璃姫。
だから、みんな目の色変えて「東大寺、東大寺」と騒いでいたわけね。
というわけで、「東大寺」の正体がアッサリと判明したところで、再び香席へ移動する一同。
 
 
竹取の香については、公家の大澤はんが説明してくれたので省略。
しっかし、室町はんは「東大寺」が欲しくてここに来てるはずなのに、香道のことなぁんにも知らないのな。本気なら、多少は勉強して来るだろ、普通。
説明役の公家に対し、聞き役が必要なのは分かるけれど、ちょっと不自然と違いますかねぇ。
 
 
では、瑠璃姫の婿の座を巡って、竹取の香がスタート。
すまーした顔して香を焚いていた薬売りが、「おっと!」と、一言。
手持ちの薬の中から、あろう事か猛毒の夾竹桃を使ってしまい、おまけにどれが夾竹桃だか分からなくなっちゃた(てへっ)
・・・だそうで。
やり直しだと騒ぎだす連中だけども、最初に香を嗅ぐ公家の一声で聞香は続行と相成る。

第一の退場者は、室町はん。
実尊寺を殺した下手人は、この人だったようで。
(しっかし、実尊寺はん、素肌に裃って・・・どういうファッションなん?)
室町は、自分の殺した実尊寺の亡霊に取り憑かれ・・・死んだ?

続いて、半井はん。
想いを寄せる瑠璃姫の、あられもない姿を覗き見て逆上。
瑠璃姫を刺殺したのは、この人でした。
半井も、けったいな幻を見て・・・死んだ?

最後は、大澤はん。
猛毒の夾竹桃を吸い込み、毒消しの水を求めて座敷を飛び出したところで激しく転倒。
・・・死んだ?

そして、誰もいなくなった。

誰もいなくなった座敷で、薬売りは語り続ける。
「あれが希少な夾竹桃であろうと無かろうと、彼らが自分の人生は終わっていると気付きさえすれば良いのです」

あの連中、とっくに死んでたのねー。

庭にあった、着物を掛けられた岩
あれって、墓標だったのか。
彼らが人殺しをしたりなんかしたのも、「鵺」のせいなんでしょうね。
鵺に取り憑かれて命を落とし、自分が死んだことに気付かないまま夜ごと組香を繰り返していた可哀想な人たち。
だから、薬売りが芝居をうって分からせてやった、というワケだね。

薬売りの仕事はモノノ怪を祓うことであって、さまよえる魂を成仏させることじゃない。
だから、連中は放っておいても良かったんだけれど、放置するのも不憫だからと、ついでに成仏させてあげたのでした。
親切なんだか、そうじゃないんだか・・・
全て承知の上で、連中をからかって楽しんでたみたいじゃないですか。
ったく、人が悪い。
いや、それでこそ薬売り!ってなもんですが。
一時はアナタがモノノ怪なんじゃないのかと疑う勢いの、「黒い薬売り」になってたわよ。
いくら懲らしめる目的でも人殺しはマズいだろーと思いつつ、キツネにつままれた感じで見続けていたら、なるほど、そういうことでしたか。

連中がゴーンという鐘の音と共に忽然と姿を消したりしていたのも、単なる演出じゃぁなかった。
源氏香で薬売りの出した答えは「幻」
それも、この真実を暗示していたのね。
あの深く沈んだような色彩も、あの屋敷の中で薬売り(あと、犬)だけが血の通った者だってことを匂わせていたのだね。
ホント、このアニメって、ムダな演出が無い。
 
 
そして、いよいよ、モノノ怪「鵺」の登場。
瑠璃姫も婆さんも女の子も、みんな鵺の一部。
そして、その本体は「東大寺」
モノノ怪の「形」を得たり。

「東大寺」のウワサを聞きつけ集まって来る者を取り殺し、夜ごと組香を行わせていた。
それが「真」

興味のない者にとってはただの朽ち木でしかない「東大寺」は、自分の価値を認め、もてはやしてくれる者達を欲していた。
それが「理」

形・真・理の三つによって、剣を解き放つ!

抜刀薬売りの戦闘シーンは、なかなか見応えがありました。
やっぱり、たまには抵抗してくれるモノノ怪が出て来ないとね。
一度くらい、ボッロボロに苦戦する抜刀薬売りを見てみたいもんだわ。
   
   
さて、鵺の正体は「東大寺」だったわけですが・・・
「東大寺」は香木であって人ではないので、それだけだと「あやかし」になってしまいます。

「あやかし」と人の情念が結びついて、初めて、モノノ怪になるのでしたよね。

では、「東大寺」を「鵺」に変えた情念とは、いったい誰の情念だったんでしょうか?
半井に殺されてしまった瑠璃姫・・・とは、ちょっと考えにくい。
となると、「東大寺」目当てで寄って来た全ての人、瑠璃姫も含め、「東大寺」に翻弄された全ての人たちの情念・・・ということになりますかね。
それとも、そもそも瑠璃姫は実在しなかったのかな?それも有りうるけど・・・よく分からん。ま、それはどっちでもいいや。

とにかく
これまで語られて来た話しでは、モノノ怪を生んだ「人の情念」を探ることに焦点がしぼられ、「あやかし」についてはノータッチでしたが、今回の話しは「あやかし」の方が主導権を握っていたようです。
「東大寺」に宿る「あやかし」が、自分を求めて寄って来る人たちの情念を次々と取り込んで、モノノ怪「鵺」となった。
そう考えるのが、理にかなってますかな。
  
  
今回は、わりと分かりやすかったですよ。
分かりやすかったんだけどね、なんていうか、あんまり印象に残ってない・・・
これまでのモノノ怪シリーズとは、明らかに違うアプローチですよね。
「悪さしてる妖怪を正義の味方が退治する」という、ごくオーソドックスな妖怪退治ものになってました。
それが悪いとは言いませんが・・・
「化猫」に始まるこのシリーズの何が気に入ってるかっていうと、自分の場合、モノノ怪に感情移入というか、モノノ怪になってしまった者の心情に共感できるというか・・・とにかく、モノノ怪が「悪」ではなくて、悪いのはそこに追いやってしまった人間の方で、薬売りが退魔の剣を振るうことでモノノ怪が救われるという、ね、そういう図式が良いなぁと思ってるわけ。

「化猫」や「座敷童子」は、まさにそれで、だからこそ涙ぐんだりなんかしつつ、エンディングの余韻に浸りながら自分も救われたような気になったりもしたのです。

「のっぺらぼう」も、お蝶という1人の女性の悲しい一生を想い、我が身を振り返ってちょっと考えされられてみたりしました。

「海坊主」もモノノ怪は救われている格好になっているけど、あれはモノノ怪化した理由がかなり身勝手で、モノノ怪になって海を荒らしまくって人に迷惑をかけたあげく、元凶の坊主には一切罰が下らないどころかキレイに若返っちゃって・・・ぜんぜん納得いきませんよ、そんな馬鹿げたハナシ。

で、今回の「鵺」
今回は、モノノ怪の「理」に深みが全く感じられませんでした。
「自分の存在を認めて欲しい」という、その想いは理解出来るんですけどね、共感を覚えるに至るほど心に迫って来ることはありませんでした。
前半は婿候補3人の消去に費やされ、残り10分弱でどうやって解決するのかと不安を抱いていたら、薬売りがダダーーーッと喋って片付けてしまった・・・
薄っぺら〜〜〜って感じですよ。
いっそのこと、前編で婿候補3人を退場させてしまい、後編でたっぷり時間をとって薬売りとモノノ怪を対峙させ、モノノ怪が生まれた経緯やら何やら、じっくり掘り下げたら、題材が特殊なだけにすごく面白い作品になっていたと思うんですけど。
たとえば、寄って来るのは「東大寺」目当ての男ばかりの瑠璃姫の心情と、興味の無い人にはただの朽ち木でしかない「東大寺」の口惜しさをリンクさせてみるとかさ。
でもって、両者の情念がバッチリかみ合って、「東大寺」目当てに言いよって来る男どもを片っ端から取り殺すモノノ怪になった・・・
そんなふうにして、モノノ怪の「理」をもっともっとクローズアップしたら、ドロドロ加減(薬売りさん風に言うと情念ぐあい)が増して、退治し甲斐のある怖いモノノ怪になっていただろうに。
奇しくも同じ脚本家さんの書いている話しが自分的にイマイチってのは・・・う〜ん、自分とは相性が悪いのかもしれんな。

自分が求めているものと違うからと言って駄々をこねるほどガキじゃありませんから、この「鵺」をダメだという気は毛頭ありません。
短い時間の中で「お香」の講釈もしなければならず、まとめあげるのはさぞかし大変だったと思われます。
時々飛び出すコミカルなセリフや、薬売りの不思議っぷり炸裂も悪くなかったです。(退魔バージョン薬売りの出番も、そこはかとなく長かったし)
無彩色と鮮やかな色彩を使い分けての演出など、映像の面では、とても良かったです。
これを単発で見れば、きっと面白いと思ったでしょう。なんといっても、自分はこの「モノノ怪」というシリーズが大好きなのですから。
ただ、他と比べてしまうとね、どうも、なんか違う。なんか物足りない、という印象だったのでした。
  
 
 
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2007.09.01

モノノ怪 第八話「鵺 前編」 感想

[あらすじ]
雪の降る夜。
京のとある屋敷で、聞香の会が催されることになっていた。
それは、途絶えたと思われていた香道の流派・笛小路流を守る瑠璃姫の婿を決めるための会であった。
婿候補として名乗りを上げたのは4人。
しかし、1人は姿を現さず、モノノ怪の気配を察して潜り込んだ薬売りを交えた4人で聞香を始めることになる。
姫の出す難題に苦しみつつも、どうにか回答を出した4人が結果を待っていた時、姿を現さなかった1人の婿候補の無惨な死体が見つかる。
さらには、瑠璃姫までもが殺害されてしまう。
しかし、婿候補3人の男たちの最大の関心事は「東大寺」。
モノノ怪の気配が迫る中、聞香を再度行い、勝者を決めようとする男たち。
彼らがそれほどに執着する「東大寺」とは?
そして、この屋敷に潜むモノノ怪とは?
 

***

 
いきなりのグロい殺戮シーンから一転、いつものハデハデな色彩がすっかり鳴りを潜め、まるでモノクロのような映像に。
そんな中で、いつも通りの服装の薬売りが浮く浮く。
思いっきり、場違い感を醸し出しておりました。
 
 
笛小路流の継承者である瑠璃姫の配偶者を決めるため、婿候補が集結!
・・・それが、この3人のオッサンでは、姫も気の毒に。
香道なんて二の次にして、薬売りの圧勝にしたいところですよ、アタシだったら。
いや、薬売りさんは、モノノ怪の気配に誘われて乗り込んで来ただけですがね。
いつもながら、神出鬼没。
香席にちゃっかり入り込み、しかも頭が高い。
どこに行ってもマイペースな薬売りさんです。
「なにを普通についてきておるのだ!」は、良かったね。私的に名台詞としてエントリーしておこう。
そして、それとなく知識と教養をちらつかせる薬売り。
なんだかんだで、組香に参戦することにしてしまいました。
 
 
そういうわけで、今度の題材は香道。
自慢じゃないけど、お香のことなんて、コレっぽっちも分かりませんよ。
大方の視聴者が香のことなんて知らないのは承知の上でこの題材を持って来たのでしょうが、案の定、解説っぽいセリフが多い。

それに、なぁんか場違いにコミカルで、不必要にドタバタしてて、変だなぁ???と、思ったら、「海坊主」と同じ人が脚本書いてた・・・・・・

どうも、この人が脚本書くと説明が長くってイケナイや。
全く説明無しでワケ分かんないのも困るけどさ。
たまたまこの人の担当する回が説明を要する回なのか、それともこの人が説明好きなのかは分かりませんが、自分はあんまり好きではないかも。
「海坊主」の時のような、無茶なセリフは今のところ無いから良いけど。
(「海坊主」では、加世ちゃんのセリフに、かなり無理矢理なのがあって嫌だったのよねぇ)

で、まぁ、逐一ご丁寧に解説が入るんだけれども、そのくせ、よく分からないのねー。
源氏香の説明なんて、???状態で、東侍の室町はんじゃぁないけれど、お手上げ状態でしたよ。
(だいたい、源氏物語だって五十四条、全部知ってるワケじゃないのに)

しかし、「田舎侍」と言われてケンカを始める男達をものともせず(ほんと、マイペース)、子細に木札を調べる薬売りは可愛い。(かじってないよね???)
 
 
そんなこんなで組香がスタート。
それぞれが香りを感じると、ぱぁっと色彩が鮮やかに変化。
なるほど。
それまでの抑えたトーンは、この演出を際立たせるためでもあったのか。
馬糞の香りは・・・どうかと思うが。

それぞれに答えを出し、結果発表まで退席させられる婿候補+ひやかしの薬売り。
薬売りは、聞き香が出来たのかどうかってハナシではなく、単に「幻」って答えを並べてみたかっただけなんだろうな。
 
 
香席を出たとたん、一斉に怪しい動きを見せる男達。
それぞれに「東大寺」とやらを探している様子。
ばーさんも怪しい動きを見せる。
怪しい女の子も出現。
犬も怪しけりゃ、着物を掛けられた岩も怪しい。
何もかも、怪しい。

ひときわ怪しい薬売りは、またテーブルに乗ってるし。
いつの間にか天秤を並べちゃってるし。
堂々と退魔の剣とお話ししてるし。
もしかして、この人が一番怪しいんじゃないのか?

そして、毎度、パターンを変えて来る、薬売りのお札貼りパフォーマンス。
いったい、どれだけのレパートリーがあるのだろう?

襖あけも、無駄に格好良かったよ。
2回もやったし。
普通に開けても何の問題も無いと思いますがー。
いいのだ、格好良ければ、なんでも。

今回は、薬売りのセリフは少なめ(公家のオッサンが喋りまくってるから)だけれど、随所で可愛かったり格好良かったりする薬売りさんがたくさん見られて嬉しかったです。
 
 
さて、死体が2つも転がってるのに、目の色変えて「東大寺」を探しまくる婿候補3名。
もう一度組香をして勝者を決め、瑠璃姫は婚姻後に死んだことにしようと言い出す公家。
この3人、笛小路流を継いで「東大寺」を手に入れられれば、瑠璃姫などどうでも良いらしい。
それならば、と、薬売りは香元を買って出る。
そのかわり・・・
あなた方が、瑠璃姫より強く欲する「東大寺」とは何か、お聞かせ願いたく候・・・
というわけで、次週に続く。
 
 
正直なハナシ、「東大寺」が何かなんて、見当もつきませんよ。
もちろん、お寺のことじゃありませんよね?
お香がらみの貴重な何かだろうということは察しがつくけれど、2つの死体を放置してでも手に入れたいほどのものって・・・???
それがモノノ怪とどう絡むのかも、サッパリ???
 
 
「鵺」とは、トラツグミという実際に居る鳥の異名。
妖怪の「鵺」は、猿とタヌキと虎と蛇が合体したような化け物。(元は、姿が見えず不気味な声だけが聞こえて来る化け物のことだったらしい)
西洋にもキマイラってのが居るよね。人間の想像力なんて、東洋だろうが西洋だろうが、大して変わらないのだろうな。

今回の登場人物が、なんとなく猿(公家)とタヌキ(商人)と虎(侍)と蛇(姫)っぽい容姿をしているけど、たぶん、それはタイトルの「鵺」にひっかけて、それっぽい容姿のキャラを用意したというだけのことなんじゃないかな。
実際に、猿とタヌキと虎と蛇が合体したようなモノノ怪が出て来るわけではないと思う。
これまでの「モノノ怪」では、一般に知られている妖怪がそのまんま出てきたためしがないから。

辞書で調べたら「得体の知れない人物・物事のたとえ」として「鵺」という言葉を使うと書いてあった。
むしろ、こっちの方かもしれない。
なぁんて書いてて、本当にキマイラみたいなのが出てきたらゴメンナサイ。
 
 
次回予告では、薬売りVer.2がちょっと苦戦している様子だったような。
無抵抗に斬られてしまうモノノ怪ばかりじゃなくて、たまには往生際が悪いのが出てきても悪くはないわね。
薬売りさんは大変でしょうが、変身後の姿が長く拝めそうで、ちょっと楽しみですよ。
 
 
 
 
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2007.08.26

モノノ怪 第七話「のっぺらぼう 後編」 感想

うがぁ〜〜〜っ、難しい。
薬売りさんじゃぁないけれど、実に面倒くさいモノノ怪だ。
いつも難解で、感想まとめるのも一苦労の「モノノ怪」だけれど、いつにも増して手強い。
今回は、あらすじ吹っ飛ばして、いきなり感想にまいります。
 
 
結論から言ってしまうと、
お蝶は既にこの世の人ではない
とね、考えて・・・みたんですよ。(ちょっと、薬売りっぽく言ってみた)

お蝶の主人たち4人が生きているのかどうかは、この際、どうでも良い。
本当に一家を殺してしまったのかもしれないし、全ての殺戮がキツネ面の男が見せていた幻なのかもしれない。
もしも殺されているとしたら、下手人は誰なのか。
生身のお蝶自身なのか、モノノ怪となったお蝶なのか、そのお蝶が操るキツネ面の男なのか・・・
それも、どうでも良い。

恐らく、薬売りは、いつものようにモノノ怪の気配を察知した退魔の剣に導かれて、この屋敷にやって来たのでしょう。
いつもなら家人を問いつめて真実を聞き出すところだけど、今回は違った。
薬売りはお蝶1人を相手に、真実を探り出して、モノノ怪を祓う。
主人や姑たちは、繰り返される同じ会話や、過去の幻の中に現れるだけで、実際には姿を現さない。
だから、誰もいないんじゃないかなー?と、思っただけのハナシです。

母の願いを叶えたいというお蝶の情念が、モノノ怪となってこの場所に留まっていたのであって、現実のお蝶はとうの昔に死んでいるんじゃないだろうか。
主人や姑たちも居なくて、全てがモノノ怪の作り出した幻。
でないとしたら、「あの場所」で、お蝶と家人たちの時間が止まってしまっていると考えるしか無いと思う。
まぁ、それも有りだけど、ちょっと苦しいような。
 
 
では、お蝶が「もう戻りたくない」と言っていた「あの場所」とは
何度も繰り返された、主人や姑たちの会話。
とっくりの欠片を拾い集めながら、窓枠に切り取られた空を見上げ、ほっと息をつくお蝶。
そこに、キツネ面の男が現れて、お蝶に包丁を差し出す。
たぶん、あれが一家惨殺事件の起こった(もしくは、お蝶がキレた)直前。
あの場面のことを指しているのでしょう。

お蝶が「あの場所」を「牢獄だと思い込んだ」と、薬売りは言います。
「思い込んだ」っつーことは、本当は牢獄じゃないってこと。
実は、「あの場所」は、お蝶が現実から目を背けるために逃げ込んだ、堅固な城だった。
城を出れば、お蝶は現実を受け入れなければならない。
母の期待に応えられなかった自分を認めなければならない。
それだけでも、あの場所に留まる理由にはなるかもしれないけれど・・・
一家を惨殺していて、自分も死んでる・・・くらいのヘビーな現実があった方が、家人に虐げられ、その憂さを晴らすために殺戮を繰り返す、あんな酷い場所でも留まっていたいと思う理由としては、説得力がある気がするんだよね。
 
 
それに手を貸していたのがキツネ面の男。
彼はお蝶を失いたく無かったんだと思う。
お蝶が真実を受け入れ、「あの場所」から出てしまえば、自分は必要無くなってしまう。
彼が恋したお蝶も、消えてしまうかもしれない。
お蝶の方も、潜在的には「あの場所」が城であることを知っていた。(だからこそ、キツネ面の男を操ってあの場所に戻させていたわけだし)
だから、ただ窓から空を眺めながら、お蝶はあの台所に留まり、同じことを繰り返していた。
 
 
でも、薬売りが乱入したことで、流れが変わった。

薬売りは、お蝶に事実を見せつけていく。
母親の期待を一身に受け、厳しく躾けられて過ごした少女時代。
そして、母親の希望を叶えるため、好きでもない男の元に嫁ぐ娘時代。

実際に別人格になって勝手に遊んでいたというワケでは無さそうだから、お蝶の場合は、俗にいう多重人格とは違うような気がします。
あれは、お蝶に自分の本心を見せるための演出、かな。
お蝶は、自分がそんな欲求を持っていたことを認識していないから、自分から乖離していくもう1人の自分を見て驚いてる。
なんで認識していないかというと、お蝶は母親の意に添わない欲求を持つ自分の心を次々と封殺してきたから。
そして、殺して来たことも認識していないから。
そんな自分は居なかったことにしてしまっているんですね。

事実を見せつけられ、どんどん追いつめられていくお蝶が「かかさま、聞いて・・・」と訴え続ける場面は、切なく胸に迫るものあり、狂気じみて恐ろしくもあり・・・

で、
「ばっかみたい」
ここで、アタシはぞぞーっとしたワケなんですが(桑島さん、スゴいです)
次から次へと自分の本心を殺し続けたお蝶は、最終的に、母親の期待に応えようと必死になっている自分までも「ばっかみたい」と、殺してしまったんじゃないですかね。
それで完全に自分を見失って、モノノ怪化したんじゃないかとアタシは考えているんですが。
 
 
モノノ怪がキツネ面の男を操り、お蝶をこの屋敷に縛り付けた。
それが「真」
母親のゆがんだ愛情を受け止めようとして歪んでしまった心。
それが「理」
他人の欲望のために、己を忘れたモノノ怪。
それが「形」
薬売りがかざした鏡に映ったのは・・・お蝶自身でした。
 
 
真だの理だのを語っている時点で、既に紙吹雪が散ってるのがスゴく引っ掛かったんですけど。

今回も薬売りの変身シーンは無くて、お蝶がモノノ怪は自分自身だと気付いた直後に、白装束姿のお蝶の背後に、変身を遂げた薬売りが抜き放った退魔の剣を手に立っている場面に飛んでしまってます。
あの紙吹雪は、モノノ怪が滅せられた時に舞い散るのではなかったっけ?
キツネ面の男がモノノ怪ではないのなら、薬売りは斬る必要無いと思うんだけど。
お蝶が真実を受け入れて、操るのをやめてしまったから、キツネ面の男は自然に消滅してしまったのかな。
だから、紙吹雪が散ってるのか?
最後のひとひらをお蝶が手のひらに受け、「ありがとう・・・」と呟いているってことは、そうなのか?
そうかもしれん。いや、分からん。(どっちだヨ)
 
 
で、あのキツネ面の男。
あれの正体は、なんだ?っつー話しですが
元は、煙管に宿るあやかしだったんじゃないかと自分は考えました。
かまどや屏風に宿るあやかしが居るくらいだから、煙管に宿ってたって悪くはないでしょ。
その煙管に宿っていたあやかしと、普通に恋をしたい、誰かに愛されたいというお蝶の情念が結びついて生まれたのが、あのキツネ面の男。
だから、完全にお蝶の別人格というワケでもない。
お蝶に恋をしつつ、操られてもいて、半分はお蝶自身・・・という、ややこしい状況だったのでは。

元があやかしだったとしたら、お蝶との祝言の席に出てきたたくさんの面達は、キツネ面の男のあやかし仲間っつーことで辻褄が合うような気もするし。無理矢理だけど。

私だけの胸の内にあるもの。
同じ時を過ごそうと、同じ景色を見ようと、私とあなたの胸の内にあるのは決して同じではなく。
私だけの胸の内にあるあなた。あなたは、だぁれ?

冒頭の口上が、お蝶とキツネ面の男の関係を物語っていますよね。
彼はあくまでお蝶の心の中に棲む者。
だけど、独立した意思も持っていて、お蝶に恋し、彼女を守ろうとしていた。
他の欲求はお蝶に殺されてしまったけれど、「恋をしたい」という想いには応えてくれる者が在った。
だから、その想いだけは殺されずに、キツネ面の男としてお蝶の中に存在できたんじゃないかな、と思うのです。

キツネ面の男は実は薬売りで、一連の出来事は全て薬売りの打った大芝居だという見方も出来なくはないですが・・・

わざわざ顔を奪われてひっくり返ってみたり、お蝶に真実を見せまいと抵抗してみたり、そんな手の込んだことをする必要は無いと思う。
薬売りがモノノ怪に操られるってのも変な話しだし。
最後の薬売りの態度からして、薬売りがお蝶に惚れていたとはとうてい思えない。
全部が大ウソじゃぁ・・・それでは、お蝶さんが可哀想過ぎる。
本当にお蝶に恋したあやかしが居て、お蝶と一緒に消えてしまった、と、考える方が切ない悲恋物語になって素敵かなぁ・・・とか、思ったりなんかしてね。
その方が、お蝶の「ありがとう」も重みが増すってもんだ。

でも、この考え方だと、キツネ面の男もモノノ怪になっちゃうのよね。
それがネックなんだけれど、まぁ、良いじゃないですか。ロマンチックな方が。
 
 
今回の話し、いくらでも解釈のしようがあって、どれも間違いではないと思います。
モノノ怪の形と真と理。
それさえしっかり押さえておけば、細かい解釈は見る人の自由で良いんじゃないかと。

一家惨殺は(誰の仕業にせよ)本当に起こり、お蝶の心はモノノ怪となって妄想の中に閉じ込められ、現実のお蝶は心神喪失状態で牢に居て、処刑を待っている。
それもアリだと思います。

一家惨殺は妄想でしかなくて、佐々木家の人々はピンピンしてる。
モノノ怪が祓われたことで時間が動きだし、お蝶は自分らしい生き方を求めて、あの屋敷を出て行った・・・
それでも、ぜんぜん構わないと思います。
 
 
最後に、気になったこと、ひとつだけ。
お蝶の主人たちの顔を覆う布、これ、4枚組合わせたらWindowsのロゴですよね。
なんで?何故にWindows???
・・・あっ、そうか、「窓」つながり!
シャレのつもりかーーー!?

すいません、毎度毎度、締まらない締めで。
 
 
 
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2007.08.18

モノノ怪 第六話「のっぺらぼう 前編」 感想

[あらすじ]
自らの夫とその家族を惨殺した咎で死罪を言い渡された女・お蝶。
薬売りはその事件にモノノ怪が絡んでいるとにらみ、お蝶のつながれている牢に姿を現し、お蝶から事情を聞き出そうと試みる。
すると、そこに面をかぶった姿のモノノ怪が現れ、お蝶を連れ出してしまう。

そのモノノ怪は、お蝶を牢から救い出すために生まれたのだと言い、お蝶に「一緒になってくれ」と申し入れる。
お蝶はこれを受け入れ、2人は祝言の席へ。
ところが、その宴の途中で、場面はお蝶が佐々木家に嫁いだ日に変わってしまう。
顔を奪われ、いったんは倒れた薬売りが再び現れ、モノノ怪の芝居を打ち砕いたのだった。

お蝶の戻りたくない「あの場所」とは・・・
そして、面で顔を隠すモノノ怪の、真の狙いとは・・・
 
 

***

薬売りさん、壊れました???
序盤で、いきなりボケてましたが・・・
イワシの頭をメザシの頭と言ってみたり
(「鰯の頭も信心から」のことを言ってるんだと思いますよ、念のため)
味噌で煮ようが塩で焼こうがサバはサバ・・・って
確かにサバですが、意味分かりませんよ。
だいたい、どこをどう辿っていけば「女1人の手でやったこととは思えない」につながるんです?
サバが。

でも、こういうボケは好きです。
あからさまにコミカルなのよりも、シレッとした顔で変なこと口走って妙な笑いを取る方が。
「海坊主」はドタバタしすぎで、ちょっと興ざめデシタ。
加世ちゃん、悪くないんだけどねー。
「化猫」では、ほど良いスパイスになっていたのに、「海坊主」では少々でしゃばり過ぎちゃった感が。

おっと、「のっぺらぼう」の感想でした。
とにかく、前半の薬売りとお蝶の会話は、とっても良かったです。
お蝶に殺害方法を尋ねているところとかね。
薬売りの抑揚の無い口調で畳み掛けるように語りかけ、ことごとく外す。
でも、表情変わらず・・・みたいな。
薬売りさん、怪しさ絶好調。

まぁ、たぶん、ボケたフリして、色々探り出そうとしてたのでしょうが。
退魔の剣も、最初からカタカタ騒ぎっぱなしだったし。

そう、今回は、いつもはなかなか姿を現さないモノノ怪が、いきなり向こうから登場。
薬売りに向かって「怪しいヤツ!」とキッパリ言い切る、積極派。(キミもあからさまに怪しいがね)

「モノノ怪の形、見えたり!」と、格好良く剣をかざす薬売りだけど・・・
退魔の剣は口をカクカクいわせるばかりで、カキーンと鳴らない。
ぽかんと口を開けた退魔の剣は、心無しか恥ずかしそうだ。
とにかく、これはモノノ怪の「形」では無かったのね。
  
  
モノノ怪は「お蝶を牢獄から救い出すために生まれた」と、自分で言ってます。
「牢獄」とは、夫とその家族に虐げられた生活のことを言ってるんですかね?
それとも、お蝶の幼少時代から始まっているのか?(かなり、母親からプレッシャーかけられて育ったみたいですから)
今のところ、まだ分かりません。

この牢が、現実のものではないのは、途中で分かりました。
不審人物と思われる可能性は無きにしも非ずだが、薬売りが本当に詐欺罪(?)でしょっぴかれるとは思えない。
だいたい、小道具、全部(含む退魔の剣)牢に持ち込み可だなんて、あり得ないし。
考え方次第で「城」にも「牢」にもなる、なんて、薬売りは言っていたし。
 
 
とにかく、お蝶さんが怖いですね。
無表情で、まるで人間味が無い。
モノノ怪の方が、感情豊かで、よっぽど人間らしく見えてしまう。

それに、お蝶は溜め込みやすい性格のようです。
「心に澱のように溜まっていく毒を吐き出して欲しかった」と、モノノ怪が言ってますので、お蝶の鬱憤のはけ口としてこのモノノ怪が生まれたのは間違い無さそう。

台所でお蝶に菜切り包丁を手渡しているモノノ怪・・・
佐々木一家惨殺の下手人はこのモノノ怪なのか、それとも手を貸しただけなのか。
そもそも、殺害自体が妄想なのか。
それも、まだ分からん。
 
 
「あの場所」に戻りたくないと言うお蝶さんに、モノノ怪はプロポーズ。
お蝶が承諾すると、モノノ怪は小躍りして喜び、さっそく祝言。
宴もたけなわ、お蝶を見守っていたという面たちも姿を現し、みんなで祝福しているところで、舞台は回る。

祝言は祝言でも、お蝶が佐々木家に嫁ぐ日に場面チェンジ。
間に挟み込まれる、お蝶とその母の会話・・・
「それを見せてはいけない!」と狼狽えるモノノ怪。
と、そこに割り込んで来たのが薬売り。

顔がへのへのもへじだ。
まぁ、せっかくのオトコマエが台無し。

「面と書いてオモテと読む。しょせん人の顔など表に現れている形に過ぎない。これが自分の顔と認めれば容易く自分の顔となる」
ってことで、顔を取り戻す薬売り。

あぁ、そうか、さっきのサバはここにつながってたのね。
表面をいくら取り替えても、物の本質(この物語で言うところの「形」)は変わらないってことだ。

己が定まっていれば、「顔」を取り戻すのは容易い。
コロコロと面を変えるモノノ怪は、つまり、己が定まっていない、と。

フフン、わざわざここに来て顔を取り戻すところを見せたのも、それをモノノ怪に思い知らせるためだな?
 
 
せっかく掴みかけた幸せが崩れて行く・・・と、お蝶は嘆くけれど、全てはモノノ怪の仕組んだまやかしだ、と、薬売り。

欺くからには、隠さねばならなぬ真実がある。
モノノ怪の顔から、するりと面が外れ・・・

「オモテを忘れたモノノ怪。お前の形を現せ」
ってことで、次週に続く・・・
 
 
そこで切るかぁーーー!
今回は、大量のヒントをバラまいただけ・・・という印象で、まだ何とも言えません。
残り一話で、どうやってまとめるのか見ものです。

なんとなく、諸悪の根源はお蝶さんの母君かな、という気はします。

ここで展開されている出来事全てが現実のものではなく、お蝶さんの心の中、かな?・・・とか。

目の前の現実を認めたくないあまりに、心だけが過去のある時に戻ってしまい無限ループに陥っている・・・って、なんか、そんな話しをどこかで見たような見なかったような。

「あの場所」が、どこを指しているのかも、お蝶さんを見守っていたという、たくさんの面の正体もまだ分かりません。
モノノ怪の真の狙いも分かりません。
「お蝶さんと一緒になる」というのがモノノ怪の狙いのようですが、「一緒になる=夫婦になる」という意味ではないような。

仮面→ペルソナ→personal→人格
ってことで、そのあたりがカギかな、たぶん。
 
 
 
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2007.08.11

モノノ怪 第五話「海坊主 大詰め」

[あらすじ]

そらりす丸に姿を現した一艘の虚ろ舟。
それは、50年前に荒れる海を鎮めるために流されたもので、源慧の妹・お庸が彼の身代わりとなって封じられたはずだった。
とすれば、お庸の魂を鎮めてやれば怪異も治まると考えた一行は、虚ろ舟の中を改める。
だが、虚ろ舟はもぬけの殻で、お庸の亡骸すら無かった。

切々と自分と妹と虚ろ舟にまつわる真実を語る源慧。
それでも、退魔の剣は反応しない。
「違う・・・」と、薬売りは言う。
この海に渦巻くモノノ怪は、お庸の怨念ではない。
薬売りのたぐり寄せたモノノ怪の「真」とは・・・
 
 

***

今回もまた、「醜い人間のエゴの犠牲になったか弱い女子供が、モノノ怪になって無念を訴えて来る」って話しかと思ったら、違いましたねぇ。
確かに、モノノ怪を生むのは「人の情念」であって、「死者の情念」とは、これまで、ひとっことも言ってませんでした。
ちょいと意表を突かれましたよ。
 
 
ンでは、気になった点をかいつまんで・・・
 
源慧の語る過去話について。
  
源慧と妹のお庸は、この海の近くの島で生まれ、幼い頃に両親を亡くし寄り添うように暮らしていた。
そして、仏門に入ったのは、島の人たちが決めたから。
幼い子供2人で生きて行くには、島の人たちの世話にならざるを得なかったのではないでしょうか。
だから、「せめて立派な僧侶になって島に帰って来て、育ててやった恩を返してネ」ってな感じで送り出されたのではないかと思います。

まぁ、このへんは本当なんだろうけれど、それ以外の部分は、自分に都合のいいように、源慧が脚色したもの。
ただ、源慧自身も、それが真実だと思い込んでいたから、ややこしいことになってしまっているのね。

脚色その1:源慧とお庸は深く愛し合っていた。
脚色その2:お庸への道ならぬ想いを断ち切るために、迷いを抱えつつも、修行に励んでいた。
脚色その3:島の人々の想いを察し、自ら生け贄になることを申し出た。
この3つは、大ウソ。
 
お庸が他の男と結ばれることを恐れ、その時に自分が抱くであろう嫉妬と絶望を恐れた
と、自分の愚かさを認めてみせる。

虚ろ舟に入る段になると、恐怖が先に立ち、自分には人柱になることなど無理だと悟った
と、いちおう、自分の弱さは認めてみせる。

自分の身代わりとなって虚ろ舟に乗ると言いだしたお庸を、涙ながらに見送るだけで、一緒に虚ろ舟に乗る勇気も無く、お庸の後を追って自害することも出来ず・・・
と、またまた、自分の弱さを認めてみせる。

そんなふうに、なかなかに手の込んだことをして信憑性を持たせていますが、
大いに納得の行かない加世ちゃん。
まぁ、納得いかないわな、普通。
 
 
それでは、薬売りさんに睨みつけられて、ようやく引きずり出されてきた本音。

島の人たちに言われて否応無しに仏門に入ったけれど、それでも修行を続けたのは、坊主になって出世すれば楽な暮らしが出来るから。
欲まみれの俗っぽい発想で、高い志など、コレっぽっちも無かった。

そして、人柱になって欲しいと頼まれ仕方なく島に戻って来たものの、死にたくないに決まってる。

そうしたら、なんと都合の良いことに妹が身代わりになると言い出したもんだから、内心、小躍りして喜んでいた。

ところが、妹は、そんな兄を心から慕っていたのだと言う。
その時、自分は愛される喜びを知った。
そして、自分の心がいかに醜いかを思い知ってしまった。
 
 
それ以降・・・
お庸が自分を恨んでいるのではないか?
純粋に自分を慕ってくれていた妹の気持ちに気付かなかったばかりか、あろう事かその気持ちを利用して自分だけが生き残ってしまった。
お庸を恐れ、そんな自分の醜い心を恐れ続けた源慧。

恐れが恐れを呼び、肥大してしまった源慧自身の心の闇。
やがて、その闇は源慧を離れて海を漂い、モノノ怪となった。

モノノ怪の「真」は、心の奥底にある自分の醜さを隠すために、本人も気付かぬうちに切り離してしまっていた、源慧の分身でした。
 
 
そして「理」は・・・
退魔の剣でモノノ怪を斬るということは、源慧の心を斬るということ。
分かれてしまった心を1つにし、彼が目を背けてしまった本心を心に戻すということ。

それでも良いか、と、問う薬売り。

「斬って下され・・・」

自分の醜さから目を背けること無く、受け入れる。
そして、切り離していた「自分の醜い心」と共に忘れてしまっていた「愛される喜び」を取り戻す。
それが、モノノ怪の「理」となりました。
 
 
薬売りによって解き放たれた源慧の半身は、元に戻る。
そこに横たわっていたのは、美しい姿の僧侶。
(源慧はどう少なく見積もっても60代後半になってるはずだから、ありゃ、いくらなんでも若過ぎだろうが)

自ら目を背けたくなるほどの「醜い自分」を取り戻したとたん、美しい姿になるというのも皮肉なもの。
というか、その「醜い自分」も含めて自分自身なのだよね。
それを無理矢理切り離したら、どうしたって、いびつになってしまう。

大事なのは、「醜い自分」を否定するのではなく、それを受け入れ、「醜い自分」に負けないよう努めること。
それが人として正しく在る、ということなんだな。
全てを受け入れた源慧は、今度こそ真に立派な僧侶になることでしょう。
 
 
二の幕で海座頭が登場したのも、海に棲むあやかしだから、という単純な理由ではなかったようで。
海座頭に「オマエの一番恐ろしいものはなんだ?」と問わせることで、モノノ怪の「真」が誰かの「恐れ」であることを匂わせていたんですね。
 
 
クリムトもどきの絵にも、やっぱり意味がありました。
あの、男女が抱き合っている絵ね。

クリムトの絵に、よく似たのがあるのです。
タイトルは「FULFILLMENT」日本語に訳すと「成就」

源慧が語っている背後に何度も出てきていたし、タイトルからしても適当に持って来たとは考えられないでしょ?

女性の方は幸福そうな表情を浮かべているのに、男性の方は後ろ姿で顔が見えません。
純粋に兄を慕い、その想いに殉じたお庸さんと、本心を誤摩化し続けて来た源慧の姿とも重なると思いませんか?

そして、足元に沈む嘆くような表情の黒い顔。
あれは、源慧が切り離してしまった「醜い自分」ということで。

けっきょく、最初から、あの絵が全てを語っていたということになりますか。
 
 
今回は、やたらめったら薬売りさんがカッコ良かったです。
薬売りが両腕を広げると、袂がふわっと広がって、蝶の羽のように見える。
その格好でヒラヒラ、クルクル、無意味に舞っていたけど、あれはいったいなんだったんだろう?
良いんだけど、意味なくても。キレイだから〜。

フレンドリーに会話してるのも良いけど、やっぱり、凄みのある表情で真実を突き詰めて行く時の薬売りは、ホント、ホレボレしますね。
「それは、真では、ない・・・」とか言って、あの目でギーッと見つめられたら、「すいませーん、なんでも喋ります、喋りますとも!」って、聞かれもしないことまでベラベラと喋ってしまいそうだわ。

念願の変身シーンも拝めたし。
便宜上「変身」と書いているけれど、変身って言うより「もう1人出てきてる」って感じなんですよねぇ。
今回は、変貌を遂げた薬売りに鏡を手渡しているカットが入って、それがどう見ても素の薬売りの手。
う〜ん、どうなっているんでしょう?
分からん。
 
 
残念だったのは、ちょっと源慧が喋り過ぎだった点。
状況から見て、彼に語らせるしか無いんだけれど、もう少し「絵」で表現して欲しかったな。
時々若い声で喋らせたりして、工夫はしているんだけどねぇ・・・
 
 
さて、事件解決の回はエンディング後も油断ならない。

折れた刀に向かって「ありがとう」と呟き、涙を流す辻斬りの侍・佐々木兵衛。
飛び散った刀の破片・・・
右目を押さえて笑う兵衛・・・

なにー、なんなの、その邪悪な笑いはっ!
源慧の穏やかな微笑みとは対極のものだわよ。

まさか、自分の心の醜さに気付き、切り離しちゃったんじゃないでしょうね?

まさか、まさか、そのせいで新たなモノノ怪を生んじゃったとかっ?

コラッ、薬売りさんの仕事、増やすんじゃないよ!

やっぱり、薬売りの仕事は、いつまでたっても終わらないようです。
難儀だねぇ。
 
 
 
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2007.08.05

モノノ怪 第四話「海坊主 二の幕」

[あらすじ]
薬売りの活躍で船幽霊は追い払ったものの、一難去って、また一難。
次いで、そらりす丸を訪れたのは海座頭というあやかし。
海座頭は「オマエのいちばん恐ろしいものは何か?」と乗客たちに問う。
自分の心の奥底に眠る真の恐怖を見せつけられ、バタバタと倒れていく乗客たち。

海座頭は菖源に問う。
彼の恐ろしいものとは、師匠の源慧だった。

そして、源慧は答える。
彼の恐ろしいものとは、この海をあやかしの海へと変じさせたもの。
それは、50年前、虚ろ舟に入れられ、この海へ流された彼の妹。
その妹に会うために、源慧は羅針盤に細工をし、船を龍の三角へと導いたのだった。

やがて、生け簀が赤く染まり、虚ろ舟が姿を現す・・・
 
 

***

わ、若本さん・・・やり過ぎです。

思わず吹き出してしまいましたよ。
「ぁおまえがぁ、いちばんんんっ、恐ろしいものはぁぁ、ぬぁンどわぁぁぁ」とか言われるとね、笑っちゃうって。
若本節絶好調も悪かぁないですが、ちょっと調子に乗りすぎと違いますか。
 
 
ンでは、本編。

薬売りは退魔の剣に導かれて、この船に乗ったようです。
常日頃、退魔の剣に「あっち行け、こっち行け」言われているんでしょうか。
「剣に聞いてくれ」とか、それっぽいニュアンスのことを薬売りは何度も口にしているし、どうも、主導権は退魔の剣の方が握っていそうです。

とにかく、薬売り(と、羅針盤に細工した犯人)が、このあやかしの海に至ったのは必然である、ということで。
 
 
実は、前回、よく意味が分からなかったところがあって、このまま放置されたら気持ち悪いなーと思ってたんですが、しっかりフォローが入ってました。
モノノ怪と神さまのくだりですよ。
「同じようなものだ」と言った後で、「違う」とか言って、どっちなんだよー?と、混乱しておったとですよ。
だから、その件を加世ちゃんがほじくり返してくれたんで、思わず身を乗り出しました。

そして、私の混乱の原因は「モノノ怪」と「あやかし」の違いを理解していなかった点にあると知りました。
神さまと同じなのは「モノノ怪」ではなくて「あやかし」でした。

「あやかし」とは、人が死んでなるもの(ようするに幽霊?)や、物や道具に想いが宿ってなるもの等、その成り立ちは千差万別、
それこそ八百万。数限りなく居るし、ごく自然なものなんだね。
古来より、日本には「八百万の神さま」がいらして、ありとあらゆる物に神が宿ると言われてきたわけで、その理屈でいうと神さまも「あやかし」の一種ってことになるわな。

ただ、「あやかし」の道理は人には理解できない。

一方、モノノ怪はというと・・・
「怪」とは「病」のこと。
「モノ」とは「荒ぶる神」のこと。
モノノ怪は人を病のように祟る・・・?
なんかよく分かんない日本語だな。
荒ぶる神の病・・・
そっか、とち狂った神さまが人にもたらす災い・・・と、言い換えたら分かりやすいかもしれない。

激しい人の情念(悲しみとか憎しみとか恨みつらみ、主に負の感情であろう)が「あやかし」と結びついて生まれるのが「モノノ怪」
つまり、神(あやかし)を狂わせてるのは、人の心の闇ってことだ。

もともと理解不能な「あやかし」と、そんな厄介なものが一緒になったら、そりゃぁ、人の手に負えないわ。
そして、それはこの世に在ってはならない、とても不自然なもの。

で、それを斬ることが出来るのが「退魔の剣」というハナシになる。
するってぇと、なんだ。
退魔の剣は、「あやかし」と「